今週の投資戦略
共通点
・AI投資の過熱に対する警戒とバリュエーション懸念に基づく分散投資の推奨 モルガン・スタンレーは、市場が割高で特定銘柄への集中度が高く外部ショックに脆いと警告し、受動的な時価総額加重インデックスへの依存を避け、能動的な銘柄選別によるヘッジを推奨しています。バロンズも同様に、株式市場がAIに対する見方で動く「AIオン/オフ」の状態にあり、アルファベットやテスラなどの巨額のAI設備投資によるキャッシュフロー悪化への懸念を指摘し、インデックスへの過度な依存ではなく幅広い有望分野への分散を促しています。
・ヘルスケアセクターへの注目 モルガン・スタンレーは、安定性や高品質を求めるディフェンシブな投資先としてヘルスケアや健康維持機構(HMO)へのエクスポージャー追加を推奨しています。バロンズも、AIブームへの資金集中により過剰な株価調整を受けた医療機器セクターを有望視し、アボット・ラボラトリーズ、ダナハー、インテュイティブ・サージカル、エドワーズ・ライフサイエンシズ、ボストン・サイエンティフィックの押し目買いを具体的に推奨しています(主力製品が伸び悩むメドトロニックについては様子見を推奨)。CBインサイツも最新のテクノロジートレンドとして、医療向け音声AIプラットフォームやAIエージェント開発への資金流入に注目しています。
・実質金利の上昇に対する警戒 モルガン・スタンレーは、30年物の米国債実質利回りが過去20年近くで最高水準に達していることを、株式バリュエーションを引き下げる根本的なリスク要因として注視しています。バロンズも同様に、無リスク債券の実質利回りが数年ぶりの高水準にあり、これがテクノロジー分野などのリスクの高い投資のバリュエーションを圧迫し、AIブームを支える資金調達コストを上昇させていると警告しています。
相違点
・投資スコープと具体的な個別銘柄へのアプローチ モルガン・スタンレーはマクロ経済を前提に、新興国市場(ラテンアメリカやインド)および日本株のオーバーウェイト、半導体関連以外の新興国市場の選好、米国を除く先進国の国際株式のアンダーウェイトといったグローバルな地域別配分を提示しています。対照的にバロンズは個別のテーマや銘柄に特化しており、世界的な産業復興とインフラ建設ブームの恩恵を受ける銘柄として、ジェイコブズ・ソリューションズ、マーティン・マリエッタ・マテリアルズ、グルポ・メヒコ、ユナイテッド・レンタルズ、ウィルスコット・ホールディングス、ロックウェル・オートメーションを推奨し、ETFを通じて韓国のハンファ・エアロスペース、LIGディフェンス&エアロスペース、ヒョソン・ヘビー・インダストリーズ、トゥサン・エナビリティなどの資本財企業を推奨しています。またAI関連では、エヌビディアのライバルとしてアドバンスト・マイクロ・デバイシズ(AMD)を有望視する一方、スペースXのIPO後の株価低迷を指摘し、AI関連銘柄から資金が流出した場合の代替先としてアドビ、コグニザント・テクノロジー・ソリューションズ、アップルを挙げています。CBインサイツは、法定通貨とステーブルコインに対応するエージェント型コマースなどのAIネーティブな金融プラットフォーム動向や、グーグルから競合他社へノーベル賞受賞者を含む優秀なAI研究者が流出している人材獲得競争に焦点を当てています。
・ディフェンシブ資産(生活必需品)に対する投資判断 モルガン・スタンレーは、相場の下振れリスクに備え、現在は不人気となっている生活必需品セクターへのエクスポージャー追加を推奨しています。一方のバロンズは、生活必需品株は成長が鈍化しているため、ディフェンシブな運用を求める投資家であっても投資を避けるべきだと明言し、代わりに米財務省短期証券(TB)を優先して保有するよう推奨しており、見解が大きく分かれています。
・債券および代替資産の運用戦略 モルガン・スタンレーは、債券においてクレジットよりも中期金利を選好し、価格変動を抑えつつクーポン収入を狙うためイールドカーブの中期ゾーン(カーブの腹)への移行を推奨する一方、設備投資やM&A活発化による社債発行増を懸念して米国投資適格債をアンダーウェイトとしています。代替資産では、実物資産(産業用金属、エネルギー・インフラ、住宅不足関連)やヘッジファンド(高品質、低ベータ、絶対収益型など)への分散投資を追加するよう推奨しています。バロンズは、インフレが高止まりするリスクをヘッジする長期投資家向けの有効な手段として米国インフレ連動国債(TIPS)を具体的に推奨しており、代替資産の文脈では、若い投資家に対して暗号資産の短期売買を避けるよう警告しています。CBインサイツは、エージェント型コマースの基盤として、機関投資家向けレイヤー1ブロックチェーンなどトークン化された金融インフラの動向に注目しています。
GIC Weekly by Morgan Stanley
📉 投資戦略の推奨事項
- 基本方針:
- 長期債の実質利回りの上昇、利益率や価格決定力などのピーク到達への疑念、そしてイラン停戦交渉の決裂に伴う地政学的リスクの再燃といったファンダメンタルなリスク要因が浮上しており、株価の非対称な下振れリスクが続く可能性があると警告されている。
- 相場の道のりは平坦ではなく、今はリスク管理と忍耐の時期であるため、アクティブ運用者は水面下のボラティリティを活用し、パッシブ投資家は忍耐強くあるべきだと推奨されている。
- 生成AIによる生産性ブームへの期待はすでにコンセンサスとなっているが、市場は割高で特定銘柄への集中度が高く、外部ショックに対して非常に脆くなっているため、受動的な時価総額加重インデックスへの依存を避け、能動的な銘柄選別を行うことが推奨されている。
- 株式/エクイティ:
- 購入推奨・選好:
- 米国株では、単にインデックスを保有するよりも、金融、ヘルスケア、一部の資本財、およびエネルギー銘柄での銘柄選別が推奨されている。
- 安定性や高品質を求め、生活必需品、健康維持機構(HMO)、REIT、住宅といった現在は不人気なエクスポージャーへの追加が推奨されている。
- 新興国市場は全体としてオーバーウェイトとされ、ビジネスに好意的な政治的安定が見込まれるラテンアメリカや、長期的な成長を見込むインドが推奨されている。また、半導体関連以外の新興国市場も選好されている。
- 日本株については、企業再編と長年のリフレ進行に伴い見通しが改善しているとして選好されている。
- 売却・縮小推奨:
- 新興国市場において、半導体銘柄の大幅な上昇によりインデックス構成が歪んだため、オーバーウェイト配分を一部縮小したことが報告されている。
- 米国を除く先進国の国際株式については全体としてアンダーウェイトとされている。
- 購入推奨・選好:
- 固定収益(債券):
- クレジット(社債)よりも中期金利を選好している。
- 米国投資適格債については、設備投資やM&A活発化による社債発行の急増を懸念し、アンダーウェイトとされている。
- 短いデュレーションのエクスポージャーを制限し、価格変動を抑えつつ適切なクーポン収入を狙うために、イールドカーブの中期ゾーン(カーブの腹)へ移行することが推奨されている。
- ハイイールド債はプライベート・クレジットと比較して競争力があり、新興国債券などは経済成長に伴いスプレッド縮小の余地があるとして、オポチュニスティック債券全体ではマーケットウェイト(中立)とされている。
- 代替資産/その他:
- ポートフォリオの安定剤として、ヘッジファンド、実物資産、ベンチャーキャピタル、グロース・エクイティによる分散投資を追加することが推奨されている。
- 実物資産(オーバーウェイト): 株式と債券の相関が高まる中での分散効果を重視し、産業用金属、エネルギー・インフラ、住宅不足の解消に関連する機会へ選別的に投資することが推奨されている。
- ヘッジ戦略(オーバーウェイト): 個別銘柄のリスク増大や銘柄間のばらつき拡大を背景に株式のヘッジポジションが追加されており、高品質、低ベータ、低ボラティリティ、絶対収益・マーケットニュートラル型などの非常にアクティブなファンダメンタルズ戦略が選好されている。
Barron’s Digest
📉 投資戦略の推奨事項
- 基本方針:
- 経済の安全保障やサプライチェーンの分散を背景に、世界的な産業復興とインフラ建設ブームが進行しており、建材や機器、オートメーションなどの需要が爆発的に高まる長期的なトレンドとして注目されている。
- 医療機器セクターはAIブームへの資金集中や医療保険関連の懸念から株価が急落しているが、市場の懸念は行き過ぎであり、優れたキャッシュフロー利回りを持つ優良銘柄の押し目買いの好機となっている。
- 株式市場はかつての「リスクオン/オフ」ではなく、AIに対する見方によって資金が移動する「AIオン/オフ」で動いており、AI関連の巨額の設備投資によるキャッシュフロー悪化への懸念が強まっている。
- 無リスク債券の実質利回りが数年ぶりの高水準に達しており、資本コストの上昇がテクノロジー分野などリスクの高い投資のバリュエーションを圧迫しているため、インフレリスクのヘッジが求められている。
- 若い投資家に対して、暗号資産の短期売買やSNSの情報に頼るのではなく、低コストな株式インデックスファンドへの長期積み立てを行うことが推奨されている。
- 株式/エクイティ:
- 購入推奨・選好:
- 産業・インフラ・建材関連: 建設ブームの恩恵を受ける銘柄として、ジェイコブズ・ソリューションズ(エンジニアリング・建設)、マーティン・マリエッタ・マテリアルズ(骨材)、グルポ・メヒコ(銅・鉄道)、ユナイテッド・レンタルズ、ウィルスコット・ホールディングス(機器レンタル)、ロックウェル・オートメーション(産業オートメーション)が推奨されている。
- 韓国・日本の資本財企業: アジアの生産能力強化が評価されており、韓国のハンファ・エアロスペース、LIGディフェンス&エアロスペース、ヒョソン・ヘビー・インダストリーズ、トゥサン・エナビリティが有望視されている。
- 関連ETF: 建設・製造業ブームに乗る商品として、テマ米国製造業・リショアリングETF、グローバルX米国インフラ関連ETF、iシェアーズ米国インフラETF、および資本財企業を含むiシェアーズMSCI韓国ETFが挙げられている。
- 医療機器株(押し目買い): 業績が底堅いにもかかわらず過剰な株価調整を受けたとして、アボット・ラボラトリーズ、ダナハー、インテュイティブ・サージカル、ボストン・サイエンティフィック、エドワーズ・ライフサイエンシズが推奨されている。
- 半導体・ハードウエアおよび金融: キャッシュフロー懸念のあるハイパースケール・データセンター構築企業よりも半導体やハードウエア分野が選好され、また金融セクターが著しく過小評価されているとして推奨されている。
- AI関連の資金流出の恩恵を受ける銘柄: AIへの懸念が強まった場合の代替先として、アドビ、コグニザント・テクノロジー・ソリューションズ、アップルへの資金流入が期待されている。
- AIサーバー・半導体関連(特定銘柄): AIサーバー市場への本格参入と推論コンピューティングの台頭を追い風にしているアドバンスト・マイクロ・デバイシズ(AMD)が、市場から過小評価されている有望な企業として注目されている。
- 慎重・待機・回避推奨:
- メドトロニック: 主力製品が伸び悩んでいるため、成長軌道への復帰が明確になるまで様子見が賢明とされている。
- テスラ: 決算の不調以上に、将来の期待を牽引してきた「マスク・プレミアム」の消失が最大のリスクとされ、投資家の信頼の揺らぎが警戒されている。
- 生活必需品株: 成長が鈍化しているため、ディフェンシブな運用を求める投資家には避けるべきとされている。
- スペースX: 上場後の成績が振るわず、大規模なロックアップ解除による売り圧力が警戒されている(ただし指数組み入れによる買いの可能性も指摘されている)。
- 購入推奨・選好:
- 固定収益(債券):
- 米国インフレ連動国債(TIPS): 実質利回りが数年ぶりの高水準にある中、インフレ率が高止まりするリスクをヘッジする長期投資家向けの有効な手段として推奨されている。
- 米財務省短期証券(TB): ディフェンシブな投資家にとって、成長が鈍化する生活必需品株よりも優先して保有すべき安全資産として推奨されている。
- 代替資産/その他:
- 暗号資産: リスクを取りすぎる若い投資家に対し、暗号資産の短期売買は避けるべきであると忠告されている。

CB Insights
📉 投資戦略の推奨事項
- 基本方針:
- 医療向けAIエージェントや、法定通貨とステーブルコインに対応するエージェント型コマースなど、AIネーティブなプラットフォームおよびインフラ開発への資金流入が投資の焦点となっている。
- AI開発企業の競争において、優秀な研究者の獲得が鍵となっており、報酬面で優位に立つ企業への人材流出が業界の勢力図に影響を与えていると指摘されている。
- 株式/エクイティ:
- 注目・投資選好(スタートアップ・テクノロジー動向など):
- 医療向けAI関連企業: 医療向け音声AIプラットフォームやAIエージェントを開発する企業が、AIスタートアップの中でも引き続き有望な資金調達候補として注目されている。
- 自律型ファイナンス・決済インフラ関連企業: 越境決済からエージェント型コマースやAIネーティブな企業財務プラットフォームへ事業を拡大する動きがみられ、エージェントのID確認、決済の承認、自動決済の仕組み(プログラマブル・ボルト)などの基盤インフラを開発する新興企業が有望視されている。
- AIモデル開発企業(人材動向): 報酬面で優位に立ち、競合他社からノーベル賞受賞者を含む上級研究者を積極的に採用しているアンソロピックが、新規株式公開(IPO)に向けて競争力を高めているとして注目されている。一方で、人材が流出しているグーグルのAI研究部門については、コストの高いプロジェクトになりつつあると指摘されている。
- 注目・投資選好(スタートアップ・テクノロジー動向など):
- 代替資産/その他:
- ブロックチェーン・トークン化金融: エージェント型コマースの基盤として、法定通貨とステーブルコインの両方に対応するウォレットの展開や、ステーブルコインおよびトークン化された資産を管理する機関投資家向けレイヤー1ブロックチェーン(メタルなど)への出資といった、トークン化された金融インフラの動向が注目されている。

Thoughts on the Market Podcast


Guide to the Markets by JP Morgan

Long-Term Capital Market Assumptions-「LTCMA」 by JP Morgan

今週の動き










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