今週の投資戦略
共通点
- AIの実装と費用対効果の重視 モルガン・スタンレーは割安となっているテクノロジーやソフトウェア株の購入を推奨しています。バロンズは、単なるAIの期待ではなく、AIを活用して実質的なコスト削減や利益成長を証明できる企業を評価し、マイクロソフト、オラクル、ジータ・グローバル、ブレーズ、アンプリチュード、クラビヨなどのソフトウェア企業を選好しています。また、データドッグ、スノーフレーク、セールスフォースといった企業にも言及しています。CBインサイツも、企業のAI導入が実験段階から実装段階に移行しており、実際の業務フローでの運用や費用対効果を証明できるかが今後の優位性を決めると分析しています。
- 時価総額加重インデックスへの過度な依存に対する警戒と分散投資 モルガン・スタンレーは、市場が割高で集中度が高い状況やマクロ経済の不確実性を背景に、パッシブな時価総額加重インデックスへの依存から脱却し、能動的な銘柄選別によるポートフォリオの分散を推奨しています。バロンズも同様に、米国主要株価指数におけるハイテク株への過度な集中リスクを軽減するため、均等加重型ETF(RSP、EDOW、QQQE、RSPT)、売上高加重型ETF(RWL)、ファンダメンタル加重型ETF(PRF)、キャッシュフロー加重型ETF(COWZ、VFLO)、配当重視型ETF(SDOG、DGRW)といったスマートベータ戦略を活用した分散投資を推奨しています。
- AI市場を牽引するフロントランナーへの注目 モルガン・スタンレーとバロンズは共に大型テクノロジー株の業績成長を評価し、市場を牽引する存在として言及しています。CBインサイツは、AI活動の勢いが一握りの企業に集中していると分析し、エヌビディア、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、アルファベット、セールスフォースの5社だけでAI関連活動全体の32%を占め、インフラ層などのエコシステム構築のハブとして機能していると指摘しています。また、IBM、アクセンチュア、アップル、メタの動向にも注目しています。
相違点
- マクロ経済や地政学リスクへの依存度 モルガン・スタンレーとバロンズは、イランとの戦争によるホルムズ海峡の封鎖懸念、原油価格の高騰、インフレの高止まり、米国連邦準備制度理事会による金利据え置き見通しといった広範なマクロ経済および地政学的な要因を前提に投資戦略を構築しています。一方、CBインサイツはマクロ経済の動向には言及せず、AIエージェントの自律化に伴うインフラ層やガバナンス層の重要性の高まりといった、特定技術の普及プロセスと企業の事業戦略に特化して分析しています。
- 半導体銘柄への投資判断 モルガン・スタンレーは、買われすぎている半導体銘柄のポジションを明確に縮小するよう推奨しています。対照的にバロンズは、製造工程の改善とAI半導体への投資によって再建が進むインテルや、AIデータセンター向けのメモリー需要によって利益が急増し予想PERが極めて低いマイクロン・テクノロジーに対して買いを推奨しています。
- 個別セクターおよび代替資産への具体的な選好 モルガン・スタンレーはグローバルな視点から、ヘルスケア、消費関連、金融、一部の資本財やエネルギーを選好し、新興国市場ではラテンアメリカやインドを推奨し、日本株にも強気な見方を示しています。固定収益では米国投資適格債や米国を除く先進国株式を縮小する一方で、ハイイールド債や新興国債券を維持し、代替資産としてヘッジファンド、金、REIT、インフラ、産業用金属、エネルギーインフラ、住宅不足関連などへ分散投資を推奨しています。バロンズは米国内の市場に焦点を当て、買収ターゲットや資本配分改善の余地がある割安な地方銀行(ビーコン・ファイナンシャル、バンク・オブ・ホープ、バンクユナイテッド)を推奨し、シチズンズ・フィナンシャル・グループにも言及する一方で、割高になったJPモルガン・チェースへの投資には慎重な姿勢を示しています。また、特定のテーマ型ETF(公益株のUTES、銀行株のKBWB)や、代替資産としてイギリス絵画や印象派のアート作品への投資を推奨しています。
- AI普及に伴う既存事業の淘汰リスクの捉え方 バロンズは、AIエージェントの台頭によって顧客サービスのあり方が劇的に変化するため、コールセンター向けソフトウェア企業は生き残りが極めて困難になるとして回避を明確に推奨しています。モルガン・スタンレーとCBインサイツは、AI導入による業務フローの再設計や効率化には言及しているものの、特定の既存ソフトウェア事業に対する淘汰リスクや回避推奨にまでは言及していません。
GIC Weekly by Morgan Stanley
📉 投資戦略の推奨事項
- 基本方針:
- イランとの戦争による下落からの株価の回復が急速に進んでいるものの、無人機やAIを活用した軍事衝突の形態変化、欧米同盟の亀裂、資源ナショナリズムの台頭という3つの構造的変化がリスクプレミアムに影響を与えるため、相場のモメンタムを追うことには慎重であるべきとしている。
- インフレの高止まりやスタグフレーションの懸念が残るため、受動的な時価総額加重インデックス投資に単に依存するのではなく、能動的な銘柄選別(アクティブ戦略)によってポートフォリオのバランスをとることを推奨している。
- 株式/エクイティ:
- 購入推奨・選好(オーバーウェイト):
- テクノロジー、ソフトウェア、ヘルスケア、消費関連セクター、および金融株において割安となっている銘柄を推奨している。
- 一部の資本財やエネルギー銘柄も選好している。
- 新興国市場(EM)は全体としてオーバーウェイトとし、地域別ではアジアよりもラテンアメリカを優先している。また、インドは長期的な成長が見込めるとして推奨している。
- 日本株については、企業再編とリフレの進行により見通しが改善していると評価している。
- 売却・縮小推奨(アンダーウェイト):
- 買われすぎている半導体銘柄のポジションを縮小するよう推奨している。
- 米国を除く先進国の国際株式についてはアンダーウェイトとしている。
- 購入推奨・選好(オーバーウェイト):
- 固定収益(債券):
- 米国投資適格債(アンダーウェイト):
- 設備投資やM&Aに伴う社債発行の急増や、長期債のタームプレミアム拡大といった構造的な不均衡を懸念している。
- 短期デュレーションのエクスポージャーを減らし、価格変動を抑えつつ適切なクーポン収入を狙うために、イールドカーブの中期ゾーン(カーブの腹)へ移行することを推奨している。
- オポチュニスティック債券(マーケットウェイト):
- ハイイールド債は、プライベート・クレジットと比較して流動性、透明性、信用力の面で競争力があるとして選好している。
- 新興国債券は利回りが良好でスプレッド縮小の余地があり、ドル安が投資家の追い風になると見ている。
- 米国投資適格債(アンダーウェイト):
- 代替資産/その他:
- 防衛的アロケーション: ヘッジファンド、金(ゴールド)、REIT、セカンダリーファンド、ベンチャーキャピタルおよびグロースエクイティ、インフラストラクチャーを引き続き重要な資産配分として維持することを推奨している。
- 実物資産(オーバーウェイト): 株式と債券の相関が高まる中での分散効果を重視し、産業用金属、エネルギー・インフラ、住宅不足の解消に関連する機会へ選別的に投資することを推奨している。
- ヘッジ戦略(オーバーウェイト): 個別銘柄のリスクが高まる環境下において、高品質、低ベータ、低ボラティリティ、および絶対収益・マーケットニュートラル型などの非常にアクティブなファンダメンタルズ戦略を選好している。
Barron’s Digest
📉 投資戦略の推奨事項
- 基本方針:
- 米国主要株価指数におけるハイテク株への過度な集中リスクを軽減するため、時価総額加重型インデックスへの依存を減らし、非時価総額加重型ETF(スマートベータ戦略)を活用してポートフォリオを分散させることが推奨される。
- AIの普及に伴い、単なる期待ではなく、AIの実装によって自社製品の価値を高め、実質的なコスト削減や利益成長を証明できる企業を評価の軸とする。
- インフレや地政学リスクの動向からFRBの金利据え置きが見込まれる中、売上高だけでなくキャッシュフローなどを基にした割安なバリュエーションを持つ銘柄の選別が重要である。
- 株式/エクイティ:
- 購入推奨・選好:
- インテル: 経営刷新や製造工程の改善、AI半導体への投資によって再建が進んでおり、大幅な上値余地があるためドルコスト平均法での購入が推奨されている。
- 不当に売られたソフトウェア株: AI脅威論で下落したものの、優れた成長を維持しているマイクロソフトやオラクルが推奨される。
- 買収ターゲット候補のソフトウェア株: AIを活用してコスト削減可能なジータ・グローバル・ホールディング、ブレーズ、アンプリチュード、クラビヨなどが注目されている。
- マイクロン・テクノロジー: AIデータセンターのメモリー需要増により利益が急増しており、予想PERが極めて低く割安な銘柄として注目されている。
- 割安な地方銀行株: ビーコン・ファイナンシャル、バンク・オブ・ホープ、バンクユナイテッドなど、買収のターゲットになり得る、あるいは資本配分(自社株買い)の改善余地がある地方銀行が有望視されている。
- スマートベータETFを通じた分散投資: 均等加重型ETF(RSPなど)、ファンダメンタル加重型ETF(PRF)、キャッシュフロー加重型ETF(COWZ、VFLO)、配当重視型ETF(SDOG、DGRW)のほか、データセンター需要を見込んだ公益株ETF(UTES)や銀行株ETF(KBWB)への投資が推奨されている。
- 慎重・回避推奨:
- コールセンター向けソフトウェア企業: 顧客サービスのあり方がAIエージェントによって劇的に変化するため、生き残りが極めて困難になると指摘されている。
- 購入推奨・選好:
- 代替資産/その他:
- アート(美術品)投資: アート市場全体のリターンに回復の兆しが見られ、特にイギリス絵画と印象派の作品が買い手に選好されている。ただし、100万ドル未満の作品はリターンのばらつきが大きいため注意が必要であり、長期間保有された作品が必ずしも優れたリターンを生むという定説は通用しないことが指摘されている。

CB Insights
📉 投資戦略の推奨事項
- 基本方針:
- 企業のAI導入は実験段階を終えて実装競争のフェーズへ移行しており、投資や提携は一部の先行企業に集中しているため、これらの動向を注視する必要がある。
- 自律的に作業をこなすAIエージェントの台頭に伴い、AIの機能そのものだけでなく、安全かつ大規模な展開に必要なインフラ層や、本番環境でのAIの動きを監視・管理・制御するガバナンス層の重要性が高まっている。
- 今後の投資の焦点はAI技術の目新しさから、実際の業務フローでの運用、実装、ガバナンス、そして費用対効果(ROI)を証明しやすい用途へと移るため、実験段階から実行段階への転換を果たした企業が優位性を築くことになる。
- 株式/エクイティ:
- 注目・選好推奨(フロントランナー企業):
- エヌビディア、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、アルファベット、セールスフォースの5社だけで大手企業のAI関連活動の約32%を占めており、エコシステムをいち早く構築し市場を牽引しているこれらの企業が優位な位置にある。
- エヌビディアはインフラ層に深く組み込まれたプラットフォームで圧倒的な地位を築いており、マイクロソフトやアマゾンはクラウド提供や提携を通じて勢力を拡大している。
- 注目・投資推奨(インフラ・スタートアップおよびM&Aターゲット):
- インフラおよび基盤モデル企業: 企業の投資は垂直型アプリケーションよりも、基盤モデル、推論、データツール、オーケストレーション(連携)といった導入を可能にするインフラ層へ優先的に流入しており、引き続き有望な投資先となっている。
- ガバナンスおよび制御関連企業: AIエージェントの身元確認(KYA)、権限管理、モニタリング、評価などを行うプラットフォームやシステムへの需要が急増しており、モザイクスコアの高い有望な新興市場を形成している。
- 小規模なインフラ・垂直型AI企業: トップレベルのスタートアップに資金が集中しているため、大企業が機能の差を埋めるための現実的なM&Aの標的は、より小規模なインフラ、ガバナンス、垂直型AI企業へと移る可能性がある。
- 注目・選好推奨(フロントランナー企業):

Thoughts on the Market Podcast


Guide to the Markets by JP Morgan

Long-Term Capital Market Assumptions-「LTCMA」 by JP Morgan

今週の動き






ポーラー・キャピタルでグローバル新興国市場・アジア株式部門責任者を務めるジョリー・ノーデッカー氏(ロンドン在勤)は、「メモリーはある意味で新たなパラダイムに入っている」が、「メモリーの循環性が二度と見られなくなるという見方には同意しない」と述べた。
アリエル・インベストメンツの新興国市場株ポートフォリオマネジャー、クリスティン・フィルポッツ氏(ニューヨーク在勤)は、「最終的な論点は需要を満たすためにどれだけスピーディーに供給が拡大するかにある」と指摘。過去のサイクルでは、需要が弱まる中で供給が急増した経緯があり、「非常に注視しているリスク」だと述べた。
ラウンドヒル・インベストメンツのデーブ・マッツァ最高経営責任者(CEO)はメモリーについて、「現在、AIアクセラレーターのロードマップと直接連動し、共同設計されている」と説明。さらに、「メモリー企業はハイパースケーラーと長期契約を結ぶケースが増えており、これが事業の循環性を根本的に変えつつある」と語った。
ニューヨークのアパーチャー・インベスターズでポートフォリオマネジャーを務めるトム・タリー氏は、メモリーの歴史を振り返ると利益の循環性は極めて高いとし、こうしたリターンが持続するとの確信を市場が持つには時間がかかるとの見方を示した。
ベター・ホームの最高経営責任者(CEO)兼創業者、ビシャル・ガーグ氏はインタビューで、「暗号資産は、これまで主に富裕層に限られていた金融手段へのアクセスを、一般の米国人にも広げる」と述べた。
コインベースの消費者・プラットフォーム事業開発責任者、マーク・トロイアノフスキー氏は、「住宅ローンの審査に通るために株式を売却することはない。株式を担保に借り入れるからだ」と指摘。同様にこの仕組みは「現実の用途のために暗号資産から実用的な価値を引き出すことを意味する」と語った。




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