今週の投資戦略
モルガン・スタンレーの「GIC Weekly」(2026年1月20日付)と「Barron’s Digest」(2026年1月18日号)の資料に基づき、両者の投資戦略における共通点と相違点を要約します。
共通点
- 「マグニフィセント・セブン」への集中からの脱却と市場の広がり:
- 両者とも、投資対象が超大型ハイテク株から他のセクターや銘柄へ広がっていること(Broadening)を好意的に捉え、その傾向が続くと見ています。
- モルガン・スタンレーは「S&P 493(マグニフィセント・セブン以外の銘柄)」の利益成長が加速すると予測し、バロンズも「物色対象の広がりは上昇相場の継続を支える」としています,,。
- パッシブ運用から「銘柄選別(Stock Picking)」へのシフト:
- モルガン・スタンレーは、市場が割高で集中度が高いため、時価総額加重インデックスを単に保有するよりも「銘柄選別」を優先すると明言しています。
- バロンズも、もはやハイテク株を単純に購入すればよい状況ではなく、個別の「勝者」を選ぶことが重要であるとして、多くの個別銘柄を推奨しています。
- 推奨セクターの一致(ヘルスケア、エネルギー、資本財):
- ヘルスケア: モルガン・スタンレーは選好セクターに挙げ、バロンズもストライカー、ボストン・サイエンティフィック、ベクトン・ディッキンソンなどを推奨しています,,。
- エネルギー・インフラ/資本財: モルガン・スタンレーはエネルギーや一部の資本財を選好し、バロンズもカクタス(石油機器)やウエイスト・マネジメント(廃棄物処理)、ナイソース(公益)などを推奨しています,,。
- AI関連の「社債」に対する警告:
- 両者とも、AI投資を行う巨大ハイテク企業の社債や、米国の投資適格社債(IG)に対して慎重です。
- モルガン・スタンレーは設備投資やM&Aによる社債発行急増とスプレッドの狭さを懸念し、アンダーウェイトとしています。
- バロンズも、ハイパースケーラー(アマゾン、メタ等)の社債供給過剰と利回りの魅力の薄さを指摘し、「AI関連で投資すべきは株式市場」と断じています,,。
相違点
- 小型株(Small-Caps)へのスタンス:
- Barron’s: 強気。記事「小型株の好調は持続するか」において、小型株は長期的な低迷を経て割安(PER 18倍対S&P500の25倍)であり、利下げや大企業の設備投資の恩恵を受けて復権すると論じています,。
- Morgan Stanley: 相対的に慎重。大型株(S&P 500)の目標株価を引き上げ強気を維持していますが、小型株(Russell 2000)のバリュエーションについては、小型グロース株が過去と比較して割高(85パーセンタイル)であることをデータで示しており、推奨の主眼は「大型株の中での広がり」にあります,。
- 国際分散投資の焦点:
- Morgan Stanley: 新興国市場(Emerging Markets)を重視。中国の輸出ブームや商品価格の上昇、ドル安傾向を背景に、新興国(特にインド、ラテンアメリカ)を「オーバーウェイト」とし、先進国市場(日本除く)は「アンダーウェイト」としています,。
- Barron’s: 欧州の優良企業を選好。ラウンドテーブルにおいて、SAP(ドイツ)、ASML(オランダ)、ネスレ(スイス)、LVMH(フランス)といった欧州のクオリティ銘柄を具体的に推奨しています,,,。
- 債券の代替投資先:
- Morgan Stanley: 「カーブの腹(中期債)」。ボラティリティを抑えつつクーポンを得るために、デュレーションを短期から中期へシフトすることを推奨しています。
- Barron’s: 住宅ローン担保証券(MBS)。政府支援機関(GSE)による買い入れやスプレッドの縮小を背景に、投資適格債の代替としてMBSを選好しています,。
- 政策リスクへの注目点:
- Morgan Stanley: マクロ的な視点から、選挙に関連した財政刺激策や規制緩和、およびそれに伴うボラティリティの上昇をリスク/機会として捉えています。
- Barron’s: 具体的な政策として、トランプ氏が提案する「クレジットカード金利の10%上限」を取り上げ、シンクロニー・フィナンシャルや航空会社(マイル提携)への打撃を懸念点として詳細に分析しています,。
GIC Weekly by Morgan Stanley
2026年1月20日付の報告書(GIC Weekly)に基づき、投資戦略の推奨事項を要約します。
📉 投資戦略の推奨事項
- 基本方針:
- 強気だが慎重な選別を推奨: S&P 500の目標値を7,500〜7,800とし強気姿勢を維持するものの、市場はすでに割高で集中度が高く、ショックに対して脆弱であるため、時価総額加重平均インデックス(パッシブ投資)を単に保有するよりも、「銘柄選別(Stock Picking)」を優先する。
- 利益成長の広がり: マグニフィセント・セブン以外の「S&P 493」銘柄の利益成長率が加速(2025年の6-8%から2026年は14-16%へ)するという見通しに基づき行動する。
- 株式/エクイティ:
- 米国株式 (Overweight):
- 購入推奨セクター: 金融、ヘルスケア、一部の資本財(Industrials)、エネルギーを選好する。
- 新興国株式 (Overweight):
- 推奨理由: 中国の輸出ブームによる財のデフレと各国の利下げ、産業用コモディティ価格の上昇とエネルギー価格の下落、ドル安傾向が新興国にとって「完璧な組み合わせ(perfect brew)」となっている。
- 注目地域: インド(長期的な成長株として推奨)、ラテンアメリカ(親ビジネス的な政治安定)、アジアの戦略的再編機会。
- 国際株式(先進国) (Underweight):
- 日本: 企業再編とリフレの進行により見通しは改善している。
- 米国株式 (Overweight):
- 固定収益(債券):
- 米国投資適格債 (Underweight):
- 戦略: FRBの利下げはすでに織り込み済みであり、長期債にはインフレ圧力やタームプレミアム拡大の懸念がある。したがって、短期デュレーションのエクスポージャーを減らし、「カーブの腹(belly of the curve)」(中期ゾーン)へ移行して、価格変動を抑えつつ適切なクーポン収入を狙う。
- 懸念点: 設備投資やM&Aの増加に伴う社債発行の急増を予想している。
- オポチュニスティック債券 (Market-Weight):
- ハイイールド債: プライベート・クレジットと比較して流動性、透明性、信用力で勝るため、効果的に競争できている。
- 新興国債券: 利回りが良く、経済成長に伴うスプレッド縮小の余地があり、為替も追い風となっている。
- 米国投資適格債 (Underweight):
- 代替資産/その他:
- 実物資産 (Overweight):
- 推奨: 株式と債券の相関が高まる中で分散効果を重視するが、広範な投資には慎重。産業用金属、エネルギー・インフラ、および住宅不足の解消を目的とした機会に焦点を絞る。
- ヘッジ戦略 (Overweight):
- 推奨: 個別銘柄のリスク(Idiosyncratic risk)や株式間の分散が高まっているため、株式ヘッジポジションを追加した。非常にアクティブでファンダメンタルズ重視の戦略(特に高品質、低ベータ、低ボラティリティ、絶対収益/マーケットニュートラル型)を選好する。
- 実物資産 (Overweight):
Barron’s Digest
📉 投資戦略の推奨事項
- 基本方針:
- 市場の広がりに注目: 「マグニフィセント・セブン」などの超大型ハイテク株だけでなく、市場の物色は小型株、中型株、海外株(先進国・新興国)へと広がっており、この傾向は継続する可能性が高い。
- 「質(クオリティ)」と「生産性」: 単なるAIブームへの投資ではなく、AIを活用してコスト削減や収益向上(生産性向上)を実現している企業や、強固な財務基盤と持続可能な競争優位性を持つ企業を選別する。
- AI関連は「債券より株式」: AI関連企業の社債は供給過剰とスプレッドの縮小により魅力が薄いため、AIテーマへの投資は株式市場で行うべきである。
- 株式/エクイティ:
- 購入推奨 (Buy/Overweight):
- 小型株・バリュー株: S&P小型株600指数のPERは18倍とS&P500(25倍)に比べて割安であり、利益成長の加速や利下げ、設備投資の恩恵を受けると予想される。
- 具体的な推奨銘柄: アラスカ航空 (ALK)、デュオリンゴ (DUOL)、e.l.f.ビューティー (ELF)、ナイト・スイフト (KNX)、サウスウエスト・ガス (SWX)。
- ラウンドテーブル(専門家)の推奨銘柄:
- AI活用・プラットフォーム: ドアダッシュ (DASH)、メルカドリブレ (MELI)、シフト4ペイメンツ (FOUR)、SAP (SAP)、シノプシス (SNPS)。
- ヘルスケア・バイオ: ストライカー (SYK)、ボストン・サイエンティフィック (BSX)、ベクトン・ディッキンソン (BDX)、および買収候補となるバイオテック企業群(サイトカイネティクス (CYTK)など)。
- 消費・回復テーマ: 経営改革が進むスターバックス (SBUX)、住宅市場回復を見込むホームデポ (HD)、ブランド力が回復基調のナイキ (NKE)、LVMH、ネスレ (NSRGY)。
- インフラ・産業: ディア (DE)(AI農業)、ウエイスト・マネジメント (WM)、エックス・ピー・オー (XPO)、RBCベアリングス (RBC)、カクタス (WHD)、アリソン・トランスミッション (ALSN)。
- 高配当・インカム株: 配当利回りが社債利回りを上回り、配当性向が健全(75%以下目安)な銘柄。
- 通信・医薬品・物流: ファイザー (PFE)、ベライゾン (VZ)、UPS。
- 食品セクター: 株価下落により利回りが魅力的になっているクラフト・ハインツ (KHC)、ゼネラル・ミルズ (GIS)など。
- その他個別:
- IMAX: 2025年の興収が過去最高。2026年の映画ラインナップが強力で市場シェアも拡大中。
- 半導体製造装置: ASMLホールディング (ASML)。
- 小型株・バリュー株: S&P小型株600指数のPERは18倍とS&P500(25倍)に比べて割安であり、利益成長の加速や利下げ、設備投資の恩恵を受けると予想される。
- 慎重・回避検討 (Caution):
- クレジットカード発行会社・航空会社: トランプ政権による「カード金利上限10%」案が実現すれば、シンクロニー (SYF)などの発行会社や、マイル収益に依存するデルタ航空 (DAL)などの収益に打撃となる可能性がある。
- メタ (META): AIインフラへの巨額投資(10年で1兆ドル超)は、投資回収への懸念から株価の重荷となる可能性がある。
- 購入推奨 (Buy/Overweight):
- 固定収益(債券):
- 回避推奨: 「ハイパースケーラー」の社債(アマゾン、メタ、マイクロソフト等)。AI投資のための起債急増(供給過剰)と、国債に対するスプレッドが過度にタイト(低利回り)であるため、リスクに見合わない。
- 購入推奨: 住宅ローン担保証券 (MBS)。ジニーメイ、ファニーメイなどが発行するMBSは、投資適格社債の代替としてポートフォリオマネジャーに選好されている。
- 代替資産/その他:
- 石油/エネルギー: イラン情勢の悪化(体制崩壊の危機)に伴う供給ショックのリスクがあり、原油価格が急騰する可能性がある。この場合、米国債が安全資産として買われる展開が予想される。
- スペシャル・シチュエーション: 企業分割やM&A、資産売却などのイベントが価値を顕在化させる銘柄(例:キューリグ・ドクター・ペッパー (KDP)の事業分割や保有株売却オプション)。

Thoughts on the Market Podcast


Guide to the Markets by JP Morgan

Long-Term Capital Market Assumptions-「LTCMA」 by JP Morgan

今週の動き








MMM

The Palantirization of Everything
SequoiaのパートナーであるSonya Huang氏は、私たちが「プロダクト主導型成長(PLG)」から「エージェント主導型成長(ALG)」の時代へと移行しつつあると指摘しています。
PLGから「エージェント主導型成長(ALG)」の時代へ
「Claude Codeを積極的に使っていれば、この変化は一目瞭然です。AIが『データベースにはSupabaseを使うべきだ』とか『ホスティングはVercelにしよう』と提案してくる。あなたが使うべきツールを、AIがあなたに代わって選んでくれるのです。」
「プロダクト主導型成長(PLG)は、『優れた製品こそが勝つ』という理想に私たちを近づけました。しかし、結局のところ人間は怠惰な生き物です。すべてのレビューを読み込むことはできませんし、ついウェブサイトの見栄えが良いものをデフォルトで選んでしまいがちです。」
「一方で、エージェントにはあなたの代わりに選択を行うための無限の時間があります。 あらゆるドキュメントを読み漁り、すべてのユーザーコメントを精査して、あなたのユースケースに本当に必要なものは何かを導き出してくれるのです。」
エージェントスキルマーケットプレイス、SkillsMP
Claude for Life Sicencies にしれっと追加されていた驚愕のプラグインTool Universe がヤバすぎる。なんと600種類以上の科学ツールを搭載したAIサイエンティストのプラグイン。 開発元は、ハーバード大学医学大学院のZitnik 研究室 僕も使ってみたけど、正直、もうワイの手には追えないので、プロの方々の使った感想を教えて欲しいです。 おそらく、科学研究、論文の査読、執筆、リサーチクエスチョン、クリニカルクエスチョン設計にも使えるのかと思ったのですが、自分には判断できません笑 ClaudeデスクトップまたはClaude Codeで使えます。 Web版Claudeでは使えませんが、なんとGemini CLI やChatGPT APIでも使えます。 ただ、今時点ではClaude Codeで使うのが絶対いいです。理由は最後に解説します。
Tool Universeの主なツール ・fda_drug_label(158): FDA医薬品ラベル情報の検索 ・opentarget(54): 創薬ターゲット・疾患関連データ ・rcsb_pdb(39): タンパク質3D構造データベース ・software_bioinformatics(37): バイオインフォマティクスツール情報 ・agents(25): AIエージェント機能 ・euhealth(21): EU医療データ ・fda_drug_adverse_event(15): FDA副作用報告データ ・hpa(13): ヒトタンパク質アトラス ・gwas(13): ゲノムワイド関連解析データ ・uniprot(12): タンパク質データベース ・clinical_trials(10): 臨床試験情報 ・pubchem(9): 化合物データベース とにかく、全部突っ込んだ感も否めないツールの種類と量。 以下は科学研究用のAIエージェントツール合計25個
文献・テキスト処理(3種) ・ScientificTextSummarizer:生物医学論文の要約(重要発見・方法論・結論の抽出) ・MedicalLiteratureReviewer:系統的レビューの実施、複数研究の統合分析 ・MedicalTermNormalizer:薬剤名・疾患名のスペルミス修正・標準化
研究支援(3種) ・HypothesisGenerator:背景情報から新規仮説を生成 ・ExperimentalDesignScorer:実験デザインの評価(仮説明確性、サンプルサイズ等) ・ProtocolOptimizer:プロトコルの改善提案
論文査読支援(8種) ・NoveltySignificanceReviewer: 新規性・インパクト評価 ・LiteratureContextReviewer: 先行研究のカバー率評価 ・MethodologyRigorReviewer: 方法論の厳密性評価 ・DataAnalysisValidityReviewer: 統計分析の妥当性チェック ・ResultsInterpretationReviewer: 結論の妥当性評価 ・WritingPresentationReviewer: 文章・図表の品質評価 ・ReproducibilityTransparencyReviewer: 再現性・透明性評価 ・EthicalComplianceReviewer: 倫理基準の遵守チェック
開発者向け(8種) ・DescriptionAnalyzer:ツール説明文の改善提案・DescriptionQualityEvaluator:ツール説明文の品質スコアリング ・AdvancedCodeQualityAnalyzer:コードの複雑性・セキュリティ・性能分析 ・DomainExpertValidator:ドメイン専門家視点でのツール検証 ・ToolQualityEvaluator:ツール設定・実装の品質評価 ・LabelGenerator:ツール用キーワードタグ生成 ・ToolMetadataGenerator:ツールメタデータJSON生成 ・ToolMetadataStandardizer:メタデータの標準化・正規化
ワークフロー・その他(3種) ・ToolRelationshipDetector:ツール間のデータフロー互換性を検出 ・QuestionRephraser:質問文を3通りに言い換え ・call_agentic_human:人間らしい実用的な回答を生成
ToolUniverse コネクタでできることの例: ・科学ツールを探す:「タンパク質構造予測のツールを探して」 ・生物学データベースを問い合わせる:「UniProtのタンパク質 P05067 の機能を教えて」 ・創薬ターゲットを調べる:「2型糖尿病の疾患ターゲット関連を探して」 ・計算生物学ワークフローを実行する:「EGFR阻害剤を探して、ChEMBLから活性データを取得して」 ・複数ステップの研究パイプラインを組む:「アルツハイマー病の薬剤ターゲットを特定し、そのターゲットに作用する承認薬を探して」 試しに僕も「アルツハイマー病の薬剤ターゲットを特定し、そのターゲットに作用する承認薬を探して」と投げてみましたが、確かに出力は出るものの、「まぁそうだよね。」という既知のデータしか出なかったので、この後、「まだ承認されていない、新規作用機序医薬品の候補となり得るリード化合物の候補を提案して」と言ってみた。 で、途中までいい感じに動いてたんだけど、あまりのツールの多さに、コンテキスト圧縮の上限値を迎えて、敢えなく動かなくなりましたw なので、当面の間は、Claude CodeのTool Search tool で不要なToolはコンテキストに入れないようにする必要がある。 今後、Skill化されたら、また違うかもしれない。 リプ欄にTool Universのリンクとかも貼っとくので、みてみてください。




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