機関投資家動向20230820-26(随時更新)
ライアン・ハモンド、デビッド・コスティン両氏を含む同行のアナリストは、AIの活用を通じて生産性向上かコスト削減、あるいはその両方を実現することで長期的に1株当たり利益(EPS)を押し上げる可能性が非常に高い企業を組み入れたバスケットを考案。2024年のコンセンサス利益予想を基準にすると、その指数(証券コード:GSTHLTAI)構成企業のEPSはAI関連の生産性改善により、中央値で72%上振れする可能性があることを突き止めた。
今のところ、ゴールドマンの同指数(均等加重)に組み入れられた銘柄の多くは、ウォール街が熱い視線を送るスター選手ではない。石油・天然ガス会社オキシデンタル・ペトロリアムは株価が低迷。薬局チェーンを展開するウォルグリーン・ブーツ・アライアンスは今年、S&P500種株価指数の構成銘柄の中で値下がり率上位に入る。ゴールドマンの指数は目下、全体としてS&P500種をアンダーパフォームしている。背景には、同行の戦略が将来的なAIの影響を重視していることがある。
マイケル・ハートネット氏率いるストラテジストは25日のリポートで「年後半には、AIの新たなブームというよりトラブルを予想している」と説明。中央銀行の流動性とハイテク株の相関関係を強調し、現在の利上げサイクルで米連邦準備制度のバランスシートが約3兆ドル(約438兆円)縮小している一方で、ナスダック指数が過去最高値を更新しているのは不自然だと指摘した。
ハイテク株比率の高いナスダック100指数は8月に低迷し、昨年12月以降で最悪の月間パフォーマンスとなりそうだが、それでも年初来35%上昇している。同指数はAIがハイテクセクターの利益を押し上げるとの期待から上期に記録的な上昇となったが、金融政策が高成長企業に与える影響が投資家の間でより一般的なテーマとなりつつある。
「中央銀行は何よりも、低くて安定したインフレを維持することを重視する。市場はそれを十分に理解していないと思う」とブルックス氏は語り、経済情勢が悪化すれば連邦準備制度が引き締め政策を維持する粘り強さを持たないかもしれないという見方があることを指摘した。AQRは、他のファンドが過去数十年で最も急激な米国債券相場下落によって打撃を受けた昨年、記録的な利益を上げた。
ブルックス氏は「痛みを伴わないディスインフレ」が起こる確率は半年前より高まっているとしながらも、ソフトランディングへの市場の期待に水を差しかねないリスクはまだあるとみている。マクロ経済の不確実性が残っているにもかかわらず、過去の平均を上回る株価バリュエーションは極めて楽観的なシナリオを織り込んでいる。「このようなことは何度も何度も繰り返されている。市場は非現実的な時間スケールでマクロ経済の混乱が収束することを期待している」と同氏は話した。
24日の調査リポートによると、MSCI中国指数の基本シナリオ目標(来年6月)は60と、以前の予想から14%下方修正された。弱気シナリオでは、現行水準の約60から33%下落し、40になるとみている。ローラ・ワン、ジョナサン・ガーナー両氏らアナリストはリポートで、今回の目標引き下げはモルガン・スタンレーが最近、来年にかけての中国経済成長予測を引き下げたことに関連していると説明。
「不動産セクターの問題や地方政府の資金調達事業体、デフレ、刺激策実施の遅れで利益に対する圧力がさらに大きく強まっている。目標の下方修正は、2023年の利益予想を大きく引き下げたこととバリュエーション指標見通し引き下げの組み合わせによるものだ」とコメントした。
ブルームバーグがまとめたデータによると、債券は株式の配当利回りに対して180ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)のイールドプレミアムを提供している。この差は過去15年で最も大きい。低金利時代の終焉(しゅうえん)にトレーダーが賭けているため、この差は今後も続くか、さらに拡大する可能性が高い。
低金利時代の終焉に賭ける投資家は、歯止めが掛かる兆しが見えない債券相場の下落に耐えなければならないが、EPFRグローバルの最新データは、こうした痛みにもかかわらず株式から債券へのシフトが起こっていることを示唆する。
シンガポールを拠点に約10億ドル(約1450億円)を運用するシルバーデール・キャピタル(SILVERDALE CAPITAL PTE LTD)のサンジェイ・ググラニ最高経営責任者(CEO)はブルームバーグテレビジョンに、「投資適格債でさえ株式と同じようなリターンをもたらしている。新しい債券の時代の幕開けだ。この20年近く、これほど素晴らしい利回りはなかった」と話した。
BNYメロンのインサイト・インベストメント部門でグローバル・クレジット責任者を務めるアダム・ホワイトリー氏は「より高いインフレ率と経済の先行き不透明感という現在の環境で、投資家は株式に代わる比較的安全な資産として債券に注目している」と話した。
「市場は良いニュースで天井に達し、悪いニュースで底入れする」とウィルソン氏。エヌビディアについて「あの会社から出たニュースとして、これ以上良いものは考えられない」と述べ、株式相場が上昇できなかったことは、「上昇勢いが尽きたことを示す、新たなテクニカル的なサインだ。これで人々が熱狂するような新しいテーマが必要になるが、それが何になるのか私には分からない」と話した。
キャシー・ウッド氏率いるアーク・インベストメント・マネジメントは22日、決算発表を受け株価が下落したズーム・ビデオ・コミュニケーションズを買い増した。ブルームバーグが集計した取引データによると、アークのファンド2本はズーム・ビデオ・コミュニケーションズ株計12万2831株を取得。アークのズーム株購入は約2カ月ぶり。
アーク・インベストメント・マネジメントを率いるキャッシー・ウッド氏は、オランダの決済処理サービス会社アディエンへの投資を拡大した。アディエン株は成長減速を受け、先週に一時約40%下落し、3年ぶりの安値を付けていた。
上海半夏投資管理中心の創業者である李蓓氏は、中国株売りの主な要因は海外ファンドだと指摘。海外投資家は市場のボラティリティーを増大させており、「まとめると、彼らは目的のないハエの集団だ」と同氏はソーシャルメディアの微信(ウィーチャット)に21日に投稿した記事でコメントした。
李氏は、スラム街再開発の促進や、地方政府の資金調達事業体(LGFV)のリスクに対処する取り組みは、利下げよりも景気刺激に効果的だと指摘。最近の中銀の政策の動きや海外ファンドの資金引き揚げに基づくと、「新たな良い買い場」が生まれる可能性が高いという。
コラノビッチ氏は21日に顧客向け文書で、ファンダメンタルズは倍率の拡大から切り離されており、消費者の健全性は損なわれつつある上、企業センチメントは依然として厳しいと指摘。これらの要因が楽観的な業績予想のコンセンサスに下振れリスクを突きつけると付け加えた。
コラノビッチ氏は主な逆風として、金融引き締め策や資本コスト上昇、一部の海外経済がリセッション(景気後退)に陥るリスクに言及。第2四半期決算発表シーズンでは、マクロ経済の逆風が残る中、伸びは弱く、企業のガイダンスもあまり明るいものではなかったと分析した。
米ヘッジファンド運営会社、スカルプター・キャピタル・マネジメント(旧オクジフ・キャピタル・マネジメント)は、先月にリズム・キャピタル(RITHM CAPITAL CORP)と合意した6億3900万ドル(約933億円)を上回る条件の買収提案を複数の買い手候補から受けた。
スカルプターが21日に提出した委任勧誘状によると、これら買収提案の一部は同社を7億ドル強に評価している。20日にはボアズ・ワインスタイン氏やビル・アックマン氏、マーク・ラスリー氏を含むヘッジファンド連合が1株当たり12ドルと、リズムの提案(11.15ドル)を上回る価格を提示したと報じられていた。
中国の百度(バイドゥ)が22日発表した4-6月(第2四半期)決算は、売上高が予想を超える伸びとなった。中国政府が低迷する経済を活性化させようと民間セクター規制を緩めたことから、大手インターネット各社が成長を取り戻している。中国で昨年終盤まで厳格な新型コロナウイルス規制が実施されていたが、これが解除されたことから、中国の検索エンジン最大手の百度もアリババグループやテンセント・ホールディングス(騰訊)同様、広告と個人消費の持ち直しから恩恵を受けている。
元ドイツ銀行のトレーダー、アレックス・ガーコ氏は金利変動やインフレの余波を追い風に資産を築き、金融界の大富豪らと肩を並べるほどになっている。
ガーコ氏の資産は108億ドル(約1兆5800億円)に急増。同氏のクオンツトレーディング会社XTXマーケッツ(XTX MARKETS LLC)は今年、16億ポンド(約3000億円)の記録的な配当をオーナーらに支払った。XTXでは利益も50%余り増加し、同氏の純資産はほぼ倍増したことがブルームバーグ・ビリオネア指数で明らかになっている。
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