ソフトバンクグループの孫正義社長は8日の決算会見で、4-6月期(第1四半期)に創業来最大の赤字を計上したことを受け、運営するビジョン・ファンド(SVF)で大規模な人員削減を行うと表明した。傘下の米投資会社フォートレス・インベストメント・グループの売却方針も明らかにした。孫社長は、業績悪化が始まった前期(2022年3月期)から経営の守りを固めるため、投資規模の縮小や保有資産の現金化を進めてきたが、「次に行うのはコスト削減」だと強調。企業評価に対しバブル状態にあったのではないかと反省しており、SVFの人員削減は「シニアやジュニア、フロントやバック」など「聖域なく、世界的に行うべき」と語った。
1号ファンドでは米配車サービス大手のウーバー・テクノロジーズの保有株式を売却。ブルームバーグのデータによると、3月末時点では3.18%のウーバー株を保有していた。2号ファンドでは中国のオンライン不動産取引プラットフォーム運営の貝殻找房(KEホールディングス)の全株式を売却した。孫正義社長は5月の決算会見で、前期(2022年3月期)に過去最大の赤字を計上したことを受け、世界情勢が混とんとしている中では保有資産の資金化や現金化を進めるほか、「今後取るべき行動は徹底した守り」だとして、新たな投資は厳格な基準で行う考えを示していた。ビジョン・ファンドの出資先企業の株価は4-6月期に大きく下落した。中国の人工知能(AI)大手の商湯集団(センスタイム)が49%、米食事宅配のドアダッシュが45%、ウーバーが43%、韓国電子商取引のクーパンが28%それぞれ下げ、下落率は世界株式のベンチマークであるMSCIワールド指数の17%を上回った。
エネルギーや原材料など物価高の影響で倒産に追い込まれる企業が急増しており、早ければ8月にも年間の最多件数を更新する可能性が高いことが帝国データバンクの調査で分かった。同社が8日公表した調査結果によれば、「物価高倒産」は1-7月で累計116件と、2018年 1 月の調査開始以降で最多だった21年(138 件)を大幅に上回るペース。7 月は31件と前年から8割増加し、単月では最多となった。
ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、マイク・マクグローン氏は「株式相場が底を打てば」、暗号資産(仮想通貨)はアウトパフォームしそうだと予想。「年前半の株式相場急落時よりも強力な市場の原動力はもはやほとんどない」と語った。グラスノードのアナリストらはリポートで、「22年の弱気相場はデジタル資産にとって記録的なマイナスとなったが、リスクオフのセンチメントがある程度続いた後は、弱気相場のリリーフラリーか、それとも持続的な強気相場の始まりかに関心が向けられる」と分析した。ビットコインは7月に27%上昇と、月間上昇率は10月以来の大きさとなった。イーサは70%上昇し、月間ベースで21年1月以来の大幅高だった。ただ、依然として昨年終盤に付けた高値からは程遠い水準にとどまっている。ビットコインは2万3000ドル前後で推移。昨年11月は6万9000ドル近辺だった。テクニカル分析に特化した調査会社フェアリード・ストラテジーズの創業者でマネジングパートナーのケイティ・ストックトン氏は、仮想通貨の投資家は株式相場から手掛かりを得ているが、その関係は双方向で機能していると指摘。「両方ともリスク資産であるため、そうするのは理にかなっている」と述べた。
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