今週の投資戦略
共通点
- プライベート市場や未公開株に対する警戒と懸念 モルガン・スタンレーとバロンズは共に、プライベートクレジット市場のストレスやデフォルト懸念、流動性の低さに対する警戒感を示しています。モルガン・スタンレーはプライベートクレジットの混乱を認識しており、バロンズは非上場のプライベートクレジットファンドや未公開株ファンド(スペースX関連など)の極端な価格変動リスクやディスカウント問題に注意を促しています。
- ヘルスケアセクターおよび関連分野への高い関心 三者ともヘルスケア領域の投資機会に注目しています。モルガン・スタンレーは割安となっているヘルスケア銘柄を購入推奨の対象に挙げています。バロンズでも、JPモルガンによる米国の戦略的投資分野の一つとしてヘルスケアが含まれていることが言及されています。CBインサイツは、AIを活用したデジタルヘルス分野(ウエアラブル端末の診断機能、高齢者ケア、音声AIなど)におけるスタートアップのM&Aや独自の健康データを持つ企業の価値向上を予想しています。
- AIおよびソフトウェアの動向に対する注視 モルガン・スタンレーはAIの企業導入による生産性向上シナリオには懐疑的でありつつも、割安なソフトウェア株を選好しています。バロンズは、建設分野やデータ基盤など業種に特化したAIインフラやソフトウェア企業(スノーフレークやJフロッグなど)の成長性を評価しています。CBインサイツは、医療業界での人手不足を背景としたAIファーストのシステム構築や、オープンAIとアンソロピックによる医療AIモデルの競争激化といった具体的なAIの実用化動向を分析しています。
相違点
アセットアロケーションと銘柄選別のスタンス モルガン・スタンレーは、市場が外部ショックに対して脆弱であるとして、株式、債券、現金、実物資産、代替資産への最大限の分散投資を図り、守りを固めるリバランスを重視しています。バロンズは、市場の調整局面においても、割安なバリュー・金融株、特定の航空株、あるいはディスカウント価格で取引される上場事業開発会社(BDC)など、個別銘柄の選別(ストック・ピッキング)に重きを置いています。CBインサイツは資産配分には言及せず、独自の臨床データを持つ企業や音声AI開発企業など、具体的なM&Aターゲットや投資テーマの特定に焦点を当てています。
分析対象とマクロ経済要因への依存度 モルガン・スタンレーとバロンズは、イラン戦争や原油価格の高騰、インフレの再燃、スタグフレーションのリスクといった広範なマクロ経済および地政学的な要因を前提とし、株式、債券、代替資産など多岐にわたる資産配分を論じています。一方、CBインサイツはマクロ経済の動向には触れず、医療・ヘルスケア分野における未公開スタートアップ企業の技術動向やM&A、規制緩和の影響など、特定の産業に特化したミクロな分析を行っています。
半導体銘柄に対する投資判断 モルガン・スタンレーは、市場が割高になっているとして、買われすぎている半導体銘柄のポジションを縮小(アンダーウェイト)するよう明確に推奨しています。対照的にバロンズは、エヌビディアのフリーキャッシュフロー創出力や、インテルのファウンドリー事業など、AIコンピューティング需要の恩恵を受ける半導体関連企業に対しては引き続き強い上値余地を見込む専門家の意見を取り上げています。
GIC Weekly by Morgan Stanley
📉 投資戦略の推奨事項
- 基本方針:
- 経済の減速、価格上昇、消費や生産性の下方修正など、スタグフレーションの兆候が見られるため、リスク管理に焦点を当てるべきである。
- 利益予想の上方修正はテクノロジーなど少数のセクターに集中しており、市場はすでに割高で集中度が高く、外的なショックに対して脆弱である。
- 時価総額加重インデックスを単に保有するよりも銘柄選別(ストック・ピッキング)を優先し、株式、債券、現金、実物資産、代替資産への最大限の分散を図るようリバランスを検討する。
- スタグフレーションのシナリオでは、価格決定力を持つメガキャップ(超大型)の長期的成長株が有利になる。
- 株式/エクイティ:
- 購入・積み増し推奨(オーバーウェイト):
- 価格決定力を持つメガキャップの長期的成長株。
- テクノロジー、ソフトウェア、ヘルスケア、消費関連産業、金融セクターにおいて割安に取引されている銘柄。
- 一部の資本財およびエネルギー。
- 新興国市場(EM)は全体としてオーバーウェイトとし、地域別ではアジアよりもラテンアメリカを優先する。また、インドは長期的な成長銘柄として推奨する。
- 日本株については、企業再編とリフレの進行により見通しが改善していると評価する。
- 売却・縮小推奨(アンダーウェイト):
- 買われすぎている半導体銘柄のポジションを縮小するよう推奨する。
- 米国を除く先進国の国際株式についてはアンダーウェイトとする。
- 購入・積み増し推奨(オーバーウェイト):
- 固定収益(債券):
- 米国投資適格債(アンダーウェイト):
- 設備投資やM&Aに伴う社債発行の急増や、長期債のタームプレミアム拡大といった構造的な不均衡を懸念する。
- 短期デュレーションのエクスポージャーを減らし、価格変動を抑えつつ適切なクーポン収入を狙うために、イールドカーブの中期ゾーン(カーブの腹)へ移行することを推奨する。
- オポチュニスティック債券(マーケットウェイト):
- ハイイールド債は、プライベート・クレジットと比較して流動性、透明性、信用力の面で競争力があるため維持を推奨する。
- 新興国債券は利回りが良好で、スプレッド縮小の余地があり、ドル安が投資家の追い風になると見ている。
- 米国投資適格債(アンダーウェイト):
- 代替資産/その他:
- 防衛的アロケーション: ヘッジファンド、金(ゴールド)、REIT、インフラストラクチャーを引き続き重要な守りの資産配分として推奨する。
- 実物資産(オーバーウェイト): 株式と債券の相関が高まる中での分散効果を重視し、産業用金属、エネルギー・インフラ、住宅不足の解消に関連する機会へ選別的に投資することを推奨する。
- ヘッジ戦略(オーバーウェイト): 個別銘柄のリスクが高まる環境下において、高品質、低ベータ、低ボラティリティ、および絶対収益・マーケットニュートラル型などの非常にアクティブなファンダメンタルズ戦略を選好する。
Barron’s Digest
📉 投資戦略の推奨事項
- 基本方針:
- テクノロジー投資の環境は不透明感が増しており、相場の変動は激しいものの、銘柄選別(ストック・ピッキング)には絶好のタイミングである。
- 原油価格の高騰によりインフレが再燃し、FRBの利下げ期待が後退する中、不確実性に備えるため、容易に現金化できる流動性の高い資産を重視すべきである。
- 株式市場は調整局面にあるが、バリュエーションの低下と予想利益成長の加速がみられるため、相場の底打ちは投資家が考えるよりも近い可能性がある。
- 株式/エクイティ:
- 購入推奨・選好:
- AI半導体・インフラ: コンピューティング需要が極めて旺盛であるため、エヌビディアやブロードコム、半導体製造装置のASMLホールディング、MKSを選好している。また、インテルもファウンドリーや先端半導体の製造能力から有望視されている。
- ソフトウェア・データ管理: AIのインフラ側でデータ基盤やセキュリティを提供するスノーフレーク、クラウドフレア、Jフロッグや、オンプレミス環境での恩恵が期待されるIBMを選好している。
- バリュー株・金融株: 強固な競争優位性を持ち、市場平均より割安なキャピタル・ワン・ファイナンシャル、チャブ、タイソン・フーズを推奨している。また、外部ショックに強いバークシャー・ハサウェイも評価されている。
- 航空および関連部品: 燃料高でも利益予想の下方修正が限定的なデルタ航空やユナイテッド航空などの強固な航空会社と、GEエアロスペースやトランスダイム・グループなどのアフターマーケット部品サプライヤーを選好している。
- 慎重・待機・回避推奨:
- マグニフィセント・セブンの一部: フリーキャッシュフローの不透明感や新たなIPOによる資金流出の懸念がある。特にメタは、巨額の設備投資負担やSNSの危険性を巡る裁判での敗訴が長期的な重しになると指摘されている。
- 財務基盤の弱い航空会社: アメリカン航空やジェットブルーなどは、収益性が低くボラティリティが高いため長期投資には向かないとされている。
- 未公開株ファンド: スペースXの未公開株を保有するクローズドエンド型ファンド(デスティニー・テック100など)は純資産価値を大幅に上回るプレミアムで取引されており、値動きが激しいため注意が必要である。
- 購入推奨・選好:
- 固定収益(債券):
- プライベート・クレジット市場への懸念から打撃を受け、大幅にディスカウントされて割安に取引されている上場事業開発会社(BDC)や、クローズドエンド型のジャンク債ファンド、レバレッジド・ローン・ファンドに注目することが推奨されている。
- ジャナス・ヘンダーソンが運用する債券ETF(JAAAやJMBSなど)は長期的にベンチマークを上回る良好なパフォーマンスを上げており、評価されている。
- 代替資産/その他:
- プライベートエクイティおよび非上場プライベート・クレジット: 手数料が高く、流動性が低いことに加え、デフォルトの増加が予測されているため、個人投資家はこれらの領域へ誘導されることに警戒し、投資に慎重になるべきであると警告されている。

CB Insights
📉 投資戦略の推奨事項
- 基本方針:
- 2026年のデジタルヘルス分野では、単独の専門ツールではなく、独自データと測定可能な結果にひも付いた総合型AIプラットフォームが優位に立つと予測されている。
- 医療機関の人手不足や高齢化を背景にAIを活用した業務の自動化が必須となっており、自社でシステムを構築するよりも、独自の臨床データや規制当局の認可を持つスタートアップを買収(M&A)して競争優位を速やかに築く動きが加速する。
- 株式/エクイティ:
- 注目・買収ターゲット候補(M&A動向および未上場株投資):
- 独自の健康・臨床データ保有企業: 栄養指導や保険数理に関するデータを持つフードスマートやアービタル・ヘルスなど、他社が容易に構築できない独自の臨床データセットを持つ企業が、最先端のアルゴリズムを持つ企業以上に有力な買収対象となる。
- 診断機能を搭載したウエアラブル端末企業: 規制緩和と消費者の予防医療需要を背景に、臨床的なバイタルサイン追跡に進出しているオーラやフープなどが事業を拡大している。
- 医療特化型AIスタートアップ: オープンAIとアンソロピックによる医療分野での参入競争が激化しており、独自のデータセットや臨床の専門知識を既に有するスタートアップが買収や提携の主なターゲットになる。
- 高齢者ケア向け総合型AIシステム企業: 深刻な介護職員不足に対応するため、モニタリングや人員予測などを自律的にこなすAIシステムを開発するインスパイレンやテトンAIなどに資金が集中している。
- 医療向け音声AIエージェント企業: 電話での会話を構造化データに変換し、フロントデスクの反復業務を大々的に自動化できるヒポクラティックAIやアソート・ヘルスなどの企業が競争優位に立つ。
- 注目・買収ターゲット候補(M&A動向および未上場株投資):

Thoughts on the Market Podcast


Guide to the Markets by JP Morgan

Long-Term Capital Market Assumptions-「LTCMA」 by JP Morgan

今週の動き








ヘッジファンドの米国エクスポージャーに関する別のリポートで、ゴールドマンの同チームは「投げ売りの兆しが出始めている」とし、市場に対するファンドの悲観姿勢がピークに近づいている可能性を示唆した。
過去6週間の累計では、米国株の売り越しは過去10年で3番目の大きさとなった。売却規模は新型コロナウイルス禍時の水準に迫ったものの、トランプ米大統領が「解放の日」と呼んで包括的な関税措置を発表した2025年4月の局面には及ばなかったと、ゴールドマンの同チームは分析した。
一方、トレンド追随型の商品投資顧問(CTA)は、過去1カ月で約1900億ドル(約30兆円)を売却し、現在は世界の株式全体で約500億ドルのネットショートとなっている。ゴールドマンのカレン・モーガン氏は「システマティック勢は勢いを失いつつある」と指摘。「今後1カ月は上昇余地の方が大きい。CTAはあらゆるシナリオで買い手に回ると当社ではみている」と続けた。
「状況は始まりよりも終盤に近づいているように感じられるが、従来の意味での『イニング』がないゲームをしているようでもある」と同行のブライアン・ギャレット氏は顧客向けリポートで指摘。戦争の明確なタイムラインを示せる市場参加者はおらず、情勢緩和には多くの当事者の合意が必要だが、現時点でその兆候は見られないとした。
「『相場の底を言い当てた』と主張できるバイサイドのアナリストになるのは魅力的だが、知的誠実さに照らせば、現時点で底打ちとはまだ言えない」と続けた。

ファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)株価が、30日の取引で51%急伸した。フレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)も47%大幅上昇し、数カ月続いた株価の下落傾向に一定の歯止めがかかった。
二つの米政府支援機関(GSE)の株式を保有するヘッジファンド運営会社パーシング・スクエア ・キャピタル・マネジメントの最高経営責任者(CEO)、ビル・アックマン氏が「ファニーとフレディは、ばかばかしいほど割安だ」と発信したことが影響した。
政府の管理を終わらせる提案をホワイトハウスに働きかけてきたアックマン氏は先週末、ファニーとフレディが「最高の非対称性」を提供し、「株価は10倍になる可能性があり、間もなく起きることもあり得る」とX(旧ツイッター)に投稿した。
同氏は「世界で最も質の高い企業の幾つかが、極めて安い価格で取引されている。質の高い銘柄を買う絶好の機会が久々に訪れた」と指摘した。

詳細は非公表だとして匿名を要請した関係者によると、エクソダスポイント・キャピタル・マネジメントやバリアズニー・アセット・マネジメント、ミレニアム・マネジメントなどのマルチストラテジー・ヘッジファンドがマイナスのリターンを記録し、年初からの2カ月に上げたプラスの一部または全てを失った。
一方で、ケポス・キャピタルのアルファ・ファンドや、スイスのADAPTインベストメント・マネジャーズなど、際立つ成績をあげた勝ち組も存在する。




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