機関投資家動向






シンガポールで開かれた「フューチャーチャイナ・グローバル・フォーラム」のパネル討論会で、「金融秩序への脅威が見えている」とした上で、「その他の要因も重なれば、米国の覇権そのものが終焉を迎えるか決定づけることになる」と語った。
同氏は、米国が30%過剰支出しており、12兆ドル(約1800兆円)規模の国債発行が必要だと指摘した。
「世界市場にはそうした国債に匹敵する需要がなく、それが需給の不均衡を生む」とし、歯止めのきかない信用拡大は「人間の本性」に起因すると述べた。


日本生命保険が海外向けのプロジェクトファイナンスの分野で融資を拡大している。人工知能(AI)を強化する米企業のデータセンター建設向けなどの需要が旺盛で、融資残高は3月末から1割増えて2025年度中に1兆円の大台に達する見込みだ。
同社ストラクチャードファイナンス営業部の芝田景部長が取材に応じて明らかにした。芝田氏は「データセンターの案件が昨年ごろからものすごい勢いで増えている」と述べた。その上で「規模も大きいし、スプレッド(上乗せ金利)もいい」と述べ、資金運用収益の拡大に寄与するとの認識を示した。
約80兆円の資金を運用する日本生命は、運用手段多様化の一環として、事業主の企業ではなく事業そのものが生み出す収益から利息と元本を回収するプロジェクトファイナンスを強化してきた。大手銀行が取りまとめる案件などに資金を拠出する。米プラットフォーム企業などが世界各地で建設計画を進めるなど環境の好転を捉え、収益拡大を図る。

米資産運用大手アポロ・グローバル・マネジメントは珍しい金融商品の構造を用いて、保険会社から100億ドル(1兆4800億円)を調達する計画だ。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。プライベート資本とアニュイティー(個人年金)提供企業とのつながりが強まっている最新例となった。
ニューヨーク証券取引所に株式を上場しているアポロは、特別目的事業体(SPV)を用いて、クレジットファンドの自社持ち分を担保にした高格付けの債券を販売する方向だ。関係者らは非公開の情報であることを理由に、匿名で話した。対象となるのはダイレクトレンディング(直接融資)や資産担保金融、ハイブリッド資本、投資適格債などだという。

DEショーはすでにクオンツ取引のみで運用するという従来のスタンスからシフトしており、運用資産の半分超は裁量的な戦略が採られ、トレーダーによる投資判断が可能となっている。



ウォール街のベテランであるヤルデニ・リサーチのエド・ヤルデニ氏は「アナリストは通常、決算シーズンを前に控えめな見通しを出す傾向にあるが、今回は特に慎重だった。ストラテジストも同様だと思う」と述べた。そのうえで、「私は経済の底堅さに対して一貫して楽観的な立場をとってきたが、それでも関税にもかかわらず企業収益や利益率がほとんど揺らがなかったのには驚いている」と語った。

OpenAIのような人工知能(AI)企業は、データセンターに数千億ドル規模の投資計画を次々と打ち出してきたが、その巨額の資金をどう捻出するのかは示していない。コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーは、資金不足が従来の想定を大きく上回る可能性があると試算している。
ベインが23日に公表した年次報告書「グローバル・テクノロジー・レポート」によると、AI企業は需要拡大に伴うコンピューティング能力の確保に向け、2030年までに年間で計2兆ドル(約300兆円)の収入が必要となる。しかし、ChatGPTといったサービスの収益化は遅れており、データセンターや関連インフラへの支出に追いつかず、年間で8000億ドルの収入不足に陥る可能性がある。
この報告書は、AI業界の企業価値やビジネスモデルに対する懸念を一層強めかねない。OpenAIのChatGPTやグーグルの「Gemini(ジェミニ)」の普及が進み、各国の企業がAI開発にしのぎを削るなか、コンピューティング能力とエネルギー需要は急増している。一方で、AIがもたらすコスト削減効果や、企業が新たに収益を生み出す力は、そのスピードに追いついていない。
ベインのグローバル・テクノロジー部門責任者デービッド・クロフォード氏は「現在のスケーリング則が維持されれば、AIは世界的にサプライチェーンへの負担を強めていく」と指摘した。
さらにベインは、世界のAI向けコンピューティング需要が30年までに200ギガワットに達し、その半分を米国が占めると予測。技術やアルゴリズムの飛躍的進歩が負担を軽減する可能性はあるものの、サプライチェーンの制約や電力供給不足が成長を阻む恐れがあるとした。

米国だけでも企業の従業員の40%が職場でAIを使用していると報告されている(2年前は20%だった)。AIは既存のデジタルインフラに導入可能で、特別な訓練なしに簡単に利用できるため、幅広い用途で既に有用であることが、この急速な普及を後押ししているとAnthropicは説明した。
Claude.aiの個人ユーザーの間では、コーディングが依然として最も多い利用法(36%)であるものの、教育的タスクの利用が9.3%から12.4%へ、科学的タスクが6.3%から7.2%へと顕著に増加している。さらに、ユーザーがClaudeにより多くの自律性を委ねるようになっており、「指示的」な会話(Claudeにタスク全体を委任するパターン)が27%から39%に急増している。これは、モデルの能力向上や、ユーザーがAIへの信頼を深めていることを示唆している可能性があるとしている。企業によるAPI利用では、この「指示的」な自動化の割合が77%とさらに高くなっている。
AIの地理的な普及状況は非常に偏っており、Anthropic AI利用指数(AUI)で見ると、イスラエル(人口比7倍)やシンガポール(同4.57倍)のような高所得で技術的に先進的な国が、1人当たりのClaude利用率で上位に位置している。米国では、ワシントンD.C.が1人当たりの利用率で最も高く(人口比3.82倍)、ユタ州(同3.78倍)がそれに続いている。低普及国ではコーディングの利用が多い一方、高普及国では教育、科学、ビジネスなど多岐にわたる用途が見られる。このような不均一な普及は、AIの恩恵が既に豊かな地域に集中し、世界的な経済格差を拡大させる可能性を示唆している。
企業によるAPI利用を見ると、個人ユーザーのClaude.ai利用とは異なり、自動化への傾倒がさらに顕著だ。ビジネス利用では77%が自動化パターンを示しており、特にコーディングや管理業務といったプログラムによるアクセスに適した専門的なタスクに集中している。企業は、タスクのコストよりもモデルの能力や自動化によって得られる経済的価値を重視する傾向があり、高コストのタスクほど利用頻度が高いことが示されている。しかし、複雑なタスクでAIを効果的に展開するには、適切な文脈情報を提供することが重要であり、分散した情報を集約・整理できていない企業にとっては、これがAI導入のボトルネックとなる可能性もある。




「採用については非常に慎重に考えている。新たに人員を組織に加えるには十分な理由が必要だとするイーロン・マスク氏の哲学を取り入れているからだ」と、ヘルシンキで記者団に語った。
運用資産2兆ドル(約297兆円)規模のノルウェー政府系ファンドはAI導入を進める一方で採用を当面凍結した。セールスフォースもAI活用により採用人数を抑制。スウェーデンのフィンテック企業のクラーナ・グループは2023年に採用を停止し、人員を2割以上削減した。だがAI依存で低下した品質を改善するため、その後は顧客サービス担当者を再び採用している。
ウッド氏は「リサーチ・アソシエートは採用する。新しい血が必要だ。新たな世代は最新の技術を学んできており、すでに新しい世界に片足を踏み入れている」と語った。


具体的には、SMBCグループでは次の「3つの柱」を立てて、グループ全体の企業価値向上を早期に実現することを目指した。
■(1)業務の標準化と集約による効率化
従来は拠点や子会社ごとにバラバラだった経理プロセスを共通化、標準化。システムコストの低減、人的資源の再配置を行う
■(2)グループ経営を進化させるための経理の情報統制
財務会計、管理会計の両方でデータの精度と即時性を高め、グループ経営の舵取りに必要な共通言語として機能することで経営基盤となる。これにより、個社最適からグループ最適へ
■(3)従業員のエンゲージメント向上
テクノロジー活用だけでは完結せず、現場の納得感、当事者意識、オーナーシップに基づいて改革を進める

通信では普通、1つのパルスに情報の「0」か「1」のどちらかを乗せて送る。だが量子力学的な性質が顕著に現れる粒子を使い、その状態の違いで「0」または「1」を記録すれば、0と同時に1でもあるような、状態の「重ね合わせ」を作ることができる。
アリス(通信の研究では送信者のことをこう呼ぶ)が0と1の重ね合わせにした粒子を送り、ボブ(同じく受信者のこと)がこれを測定すると重ね合わせが壊れ、0か1かのどちらが現れる。いったん測定したら、二度と元の状態には戻せない。この性質を使ったら、これまでとは違う通信が可能になるのではないか──。
青年の名はスティーヴン・ウィーズナー。米コロンビア大学の大学院生で、この近くのニーブス研究所で加速器を使った実験に取り組んでいた。畑違いの通信に思いをはせたのは、父の友人だったクロード・シャノンの影響だ。
やがてウィーズナーは2つのアイデアに行き着いた。1つはアリスがボブに2つの情報を送り、ボブはその一方だけを読むことができるがどちらを読んだかアリスにはわからない「量子紛失通信」だ。後に古典通信において独立に考案され、複数の参加者が安全に入札する手法などに応用された。
もう1つは偽造できない「量子マネー」だ。量子マネーには、秘密の認証番号を粒子の量子状態で表して記録する。量子状態は複製が不可能で、しかも測定したら状態が変化する。誰かが不正に読み出そうとしたら痕跡が残り、量子状態を調べれば検知できる。
だが論文を見せた友人たちは一様首をかしげ、教授は真面目な研究に戻るようウィーズナーを諭した。ウィーズナーは諦めず、1970年ごろに論文を米国電気電子学会(IEEE)の学術誌に投稿したが、掲載を断られた。
そんな中、1人だけウィーズナーの話に熱心に耳を傾けた人物がいた。学部生のときに同じ大学だった友人のチャールズ・H・ベネットだ。当時ハーバード大学の大学院で分子の挙動をシミュレートする研究をし、DNAのらせん構造をつきとめたジェームズ・ワトソンのティーチング・アシスタントも務めていた。微小な粒子の振る舞いを利用して情報処理をするというウィーズナーのアイデアを「すごく面白いと思った」という。
ウィーズナーはベネットのアパートを訪れ、共用の台所のテーブルで自らのアイデアを語った。ベネットは手元の紙に「量子情報理論」と書き、具体的な方法をメモした。日付は1970年2月24日。量子情報という言葉が「量子の性質を使って古典ではできない情報処理をする」という現在の意味で使われた記録は、これが最初だと思われる。
ウィーズナーが独力で考案した量子紛失通信と量子マネーは、最初の量子情報技術である。だが当時は、論文を出すことすらできなかった。「あまりに時代に先駆けていた。当時の研究者には、一体何をやっているのか理解できなかったと思う」と、東京大学特命教授の井元信之は話す。
ウィーズナーはその後まもなくアカデミアを去った。彼のアイデアはそのまま埋もれるかと思われたが、十数年後に初の量子暗号通信につながり、その過程で論文も出版された。だが彼は二度とアカデミアには戻ってこなかった。量子情報科学の真のファーストランナーだったウィーズナーは、2021年8月に世を去った。

マジューリ:ひとつ目は、ルール13「早く買ってゆっくり売る」という、タイミングに関するものだ。「株価の下落を待って買う」戦略は、「買い続ける」「すぐに買う」戦略よりパフォーマンスが劣ることはデータが証明済みだ。
ふたつ目は、ルール9「リタイアで大切なのはお金だけではない」というものだ。「仕事を辞めたら何をするのか」をリタイア前に明確にすべきだ。仕事中心だった人たちは、リタイア後、やることがなくなってしまう。
こうした問題は、お金とは関係がない。問題は、リタイアしたことで、人間としての存在が危機に陥ることだ。リタイア後、「自分の時間をどう使うか」「社会のなかで、自分自身をどう位置付けるか」が重要になってくる。アイデンティティは、人間の生き方において非常に重要なものだ。
──若い世代に向けてメッセージを。
マジューリ:貯金も投資も、将来、理想的なかたちで使うことがポイントだ。投資とは、「将来の消費」を増やすために「今日の消費」をあきらめることだ。お金の目的は、やりたいことをやることにある。要は、充実した人生を送ることだ。この点を忘れてはならない。

AIの進化は、リーダーシップにおけるスキルの重点を変化させる。従来重視されたデータ処理などのハードスキルはAIに代替され、人間には謙虚さや適応力といったソフトスキルがより一層求められるようになる。激しい変化と不確実性を特徴とするAI時代においては、効果的なリーダーシップの核となる要素を再考する必要がある。

採択率は全体でおよそ3割に過ぎない。すなわち7割が落選するわけであり、研究者にとって採択通知は学会発表以上に心臓に悪い瞬間である。
バイオサイエンス分野の実感としては、年間500万円の基盤研究(B)が研究室運営の最低ラインであり、年間150万円の基盤研究(C)では細胞培養の試薬や、チューブ(検体などを入れる試験管類)などのプラスチック消耗品を購入するだけで息切れする。
研究員や技術員を雇用するには、より大型の研究費が不可欠である。これら研究費で足りない分は他から研究資金を調達する必要がある。
また、過去に研究費が優秀な研究者に集中するという問題点が指摘されたため、その改善策として特定の個人や研究室に科研費が集中することを防止する重複制限が設けられており、基盤研究(C)に採択されている研究者は挑戦的研究に申請できない等の制限がある。
Googleはいい感じです。よく覚えるのは2年間前Geminiの為に立ち上がった研究者と競争から逃げた研究者。現在シリコンバレーで一番ホットなのはAppliedEngineerとForwardDeployedEngineer、つまりプロダクトを考えられるエンジニアや研究者です。プロダクトやモデルを作れない考えられない研究者の価値はとことん下がりました。現在の競争の中で本当に価値があるプロダクトやモデルを作るのは難しいです。楽しい難しい問題だけでなくかなりの地味な積み重ねが必要です。日本はこの点を理解してないと思います。

404 Mediaいわく、AI台頭で生まれた新しいプログラミングのジャンルがあるといいます。それは「Viveコーディング修正スペシャリスト」。仕事内容は役職そのまま、AI生成コードのバグを見つけ修正します。

例えば、アイスラーに採用されたグレッグ・ブガイ氏はゲーム理論やクオンツ分析、ファンダメンタルズ分析を組み合わせて、オプション市場における構造的なゆがみやプライシングのアノマリーを突き止め、それを収益機会に結び付ける手法を用いている。
もっとも最先端モデルも絶対確実ではない。大手石油トレーディングデスクのいくつかは、地政学的ショックと予測不能な米国の通商政策を理由に、第2四半期に利益が前年を下回ったと報告している。

ウォール街で1日当たり6520億ドル(約96兆4000億円)の取引を高速ネットワークでさばくマーケットメーカーのシタデル・セキュリティーズ。その原動力の一つは意外にも、一冊の紙の本だ。
その本は数百ページに及び、厚紙に印刷され、製本には丸一日かかる。分厚い冊子で、重さは約50ポンド(約23キロ)と推定される。社内では「ゴールブック」と呼ばれ、年に一度作成される。
完成すると、最高経営責任者(CEO)のペン・チャオ(趙鵬)氏に手渡される。数学オリンピック出身の俊才である趙氏は、冊子の余白に走り書きやメモを加え、控えめ過ぎると感じた目標には修正を促す。
このブックには社員約1800人それぞれから寄せられた5000件超の目標が記されている。元社員や現役幹部へのこの冊子についての取材で明らかになったのは、データに基づく厳格な成果管理が、シタデル・セキュリティーズがウォール街の大手銀行と取引覇権を競う力の源になっているということだ。
アルファキューション・リサーチ・コンサーバトリーの創業者、ポール・ロワディ氏「シタデル・セキュリティーズは細部への執着が尋常ではない。これが同社の成功を支える秘訣(ひけつ)の一つだ。組織のあらゆる部門が費用ではなく収益源と見なされている。この考え方を持つ企業は非常に少ない」と述べた。
2002年の設立以来、シタデル・セキュリティーズはマーケットメーク業務で伝統的な銀行に挑み、株式やオプション、債券、外国為替へと事業を広げてきた。現在、米国株の個人投資家向け取引の約35%が同社のプラットフォームを経由して執行されている。昨年は過去最高の97億ドルの取引収入を計上し、今年上期も好調を維持して欧州の大手ライバルを上回った。
シタデル・セキュリティーズが年商100億ドル規模の巨人に成長するはるか前、創業者のケン・グリフィン氏と趙鵬CEOは、次の一手を模索していた。事情に詳しい関係者によると、両氏は事業部門や新市場での目標を含む年間計画を立てることを決め、これが後に「ゴールブック」へと発展した。





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