機関投資家動向
世界銀行は昨年3月、世界の潜在成長率、つまりインフレを引き起こすことなく経済が成長できる長期的な最も高い成長率は30年まで年率わずか2.2%と想定。これは過去30年間で最低の水準で、投資と貿易、生産性という通常景気拡大の原動力となる3つの力が全て弱くなっているためだという。
「マクロ環境が悪いからこそ、財政赤字が問題になる」とブラジエ氏は言う。
同氏が顧客に勧めることはシンプルだ。 長期債には手を出すなということだ。
さまざまな市場に賭けるチームを持つこれらの企業にとって、23年は困難な年だった。幅広いマルチストラテジー・ファンドを含む「ピボタルパス・マルチストラテジー・インデックス」の昨年の上昇率はわずか5.6%で、最も成績の悪かったカテゴリーの一つだった。
バリアズニー・アセット・マネジメントとショーンフェルド・ストラテジック・アドバイザーズは苦戦し、それぞれ5%以下のリターンにとどまった。ミレニアム・マネジメントとシタデルはトレンドに逆行し、それぞれ10%と15.3%のリターンを上げた。
210億ドルを運用するバリアズニーを率いるドミトリー・バリアズニー氏は昨年10月、ヘッジファンドは新しい分野に進出するのに十分な経験豊富な人材を確保するため、トレーダーの外部チームを獲得する必要があると説明。社内で人材を育成することは重要だが、それだけでは十分ではないと、カナダのトロントで開催された投資家会議で語った。
運用資産約100億ドルのショーンフェルドは昨年、イジー・イングランダー氏のミレニアムと提携交渉を行っていたが、2年にわたりリターンがさえなかったため十分な投資家を見つけられず、最終的に交渉を断念した。
地政学的リスクが「マグニフィセント・セブン」と称されるテクノロジー大手7社に打撃を与え、新規株式公開(IPO)が活気を取り戻し、日本は世界最高の先進国市場に浮上する。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)が2024年に市場を驚かす可能性のある展開をまとめたリストの中でこう予想した。
同リストは、毎年「びっくり10大予想」を年明けに発表していた著名ストラテジストで昨年10月に死去したバイロン・ウィーン氏に敬意を表して、BofAが自社版として作成した。
資産運用最大手の米ブラックロックは、世界で雇用する人員のおよそ3%に相当する約600人を削減すると明らかにした。業界の急変化に合わせリソースの再配分を図る。
ラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)とロブ・カピト社長は「業界は当社創業以降ないほど急速な変化に見舞われている」と従業員宛ての文書で指摘。「何よりも重要なのは、新しいテクノロジーが資産運用業界のみならず、あらゆる業界を一変させそうなことだ」と述べた。
両氏はさらに、インデックス投資とアクティブ投資の両戦略において上場投資信託(ETF)は優先すべき手段となったと説明。ブラックロックは欧州とアジアを含む世界中で成長しているとも主張した。
ブラックロック以外にも、ウェリントン・マネジメントやティー・ロウ・プライス・グループなど複数の大手運用会社が最近、人員削減や予算再配分を行っている。
ケトナー氏は、経済見通しと金利見通しのどちらかを修正する必要があるとし、HSBCとしては「金利見通しの方にやや行き過ぎ、かつ若干の熱狂」をみていると説明。これがリスク資産のロングポジション拡大をもたらし、急反転のリスクを高めていると述べた。
ゴルディロックス・シナリオが反転した場合に「隠れる場所はほとんどない」と指摘。反転に備えるポジションとしては、英ポンドやスウェーデン・クローナの代わりにドルを保有することや、短期の高格付け債やエネルギー、日本株への投資などを挙げた。
9日の米株式市場で、「ティンダー」などの出会い系プラットフォームを運営するマッチ・グループが上昇。アクティビスト(物言う投資家)のエリオット・インベストメント・マネジメントがマッチの株式約10億ドル(約1440億円)相当を保有していると、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。
無リスクの金利すら上回れなかったことは、ウォール街のポートフォリオマネジャーにとっては大きな屈辱だ。連邦準備制度の積極的な金融引き締めが最も期間の短い利回りを5%余りに押し上げ、そのハードルを高くした。
ゴールドマンの主任クレジットストラテジスト、ロトフィ・カルイ氏は「突然、現金が債券はもちろんリスク資産にすら対抗できる選択肢として台頭した。基本的に、システマティック戦略がアウトパフォームするにはハードルが高過ぎた」とインタビューで語った。
中でも、先物市場でのロングやショートを通じて資産価格の勢いを追う商品投資顧問業者(CTA)として知られるクオンツは大きな痛手を被った。ブルームバーグのCTA指数は昨年6.8%下落した。
金利上昇の時代は一部のシステマティック戦略や運用者にとっては好都合だった。金利差から利益を得るキャリートレードは、借り入れコストと共にスプレッドが拡大したため、リターンが向上した。大手ハイテク株の急騰はグロースファクターのリターンを後押しした。
クオンツ大手のAQRキャピタル・マネジメントは、さまざまな取引を組み合わせたアブソルートリターン戦略で23年にプラス18.5%の素晴らしい成績を記録。イジー・イングランダー氏のミレニアム・マネジメントは約10%、DEショーが運用する最大のヘッジファンドは10%弱のリターンを上げた。
とはいえ、現金資産のリターンが上昇するにつれ、投資家の期待も高まっている。BNPパリバが昨年10月に発表した調査によると、投資家はヘッジファンド投資の年間リターン目標を、前回調査の6.85%から9.75%に引き上げた。約90%の投資家が、ハードルレート(運用会社が運用報酬を徴収する前に越えなければならないリターンの最低要件)は無リスク金利または関連ベンチマークを下限とするべきだと回答している。
米資産運用会社ルーミス・セイレスは低迷する中国の不動産セクターについてポジティブな姿勢を強めており、最近の再編が実を結びつつあり、センチメントの改善が予想よりも早期の回復につながる可能性があるとみている。
3030億ドル(約44兆円)の資産を運用するルーミスのファンドマネジャー、マット・イーガン氏によれば、長く待ち過ぎた投資家がチャンスを逃すこともあり得るという。同業のフィデリティ・インターナショナルも好機だと感じており、住宅不況を乗り切った不動産開発会社に投資すれば大きな利益が得られることを過去の事例が示していると説明した。
世界最大の資産運用会社である米ブラックロックのヘッジファンドマネジャー、 アリスター・ヒバート氏は株式投資に有利となった昨年に2桁のリターンを計上。同氏として過去最悪のマイナスを記録していた前年から盛り返した。
「ブラックロック・ストラテジック・エクイティー・ヘッジファンド」の2023年リターンはプラス16%と、3年ぶりの好成績だった。事情に詳しい関係者の話、およびブルームバーグが確認した投資家向け書簡で明らかになった。22年は12%のマイナスだったと、関係者は匿名を条件に話した。同戦略の運用資産は昨年11月末時点で96億ドル(約1兆4000億円)。
アーク・インベストメント・マネジメントを率いるキャシー・ウッド氏は、 ビットコイン現物投資型の上場投資信託(ETF)を米証券取引委員会(SEC)が10日承認しながら、ゲンスラー委員長がビットコインを承認したり支持したりするものではないとの声明を出したことに驚いたと述べた。
ウッド氏は「彼は暗号資産全体を侮辱した。信じられなかった」と、X(旧ツイッター)で放送されたブルームバーグラジオとのインタビューで語った。「破壊的イノベーションが起きている中では、よくあることだ」とも指摘した。
サマーズ元米財務長官は米経済について、ソフトランディング(軟着陸)の可能性が高まったとみている。労働市場が堅調ぶりを維持しながらも、インフレが落ち着きつつあるというのが理由。
サマーズ氏は11日にニューヨークのエコノミック・クラブで開かれたイベントで、2021年以降の「どの時点よりも現在はソフトランディングの可能性が恐らく高まっている」と発言。まだ確実とまでは言えないものの「非常に現実的な可能性だ」と付け加えた。
ゴールドマンは、原油価格の下落をよそに「米経済成長や金利低下、ドル下落により、われわれの1株利益予想には上振れの可能性があるとみている」と記した。
S&P500種構成企業の23年10-12月(第4四半期)決算については、ここ最近の数四半期よりもハードルが高いとしつつも、「全体としてアナリスト予想を上回る」との見通しを示した。
資産家クリス・ロコス氏のヘッジファンドは2023年に8.8%のリターンを上げ、年初のマイナス分を取り戻した。
情報が非公開だとして匿名を条件に述べた事情に詳しい関係者1人によれば、同氏のファンド(運用資産約160億ドル=約2兆3000億円)は12月にリターンが約1%のマイナスとなった。
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