機関投資家動向
株式
チャールズ・シュワブのトレーディング&エデュケーション担当ディレクター、ジョー・マッツォーラ氏は「金利上昇と利下げ可能性の後退にもかかわらず、1-3月をたやすく乗り切ったと人々は認識し始めている。どこかの時点で何とかしなければならない」と指摘した。
「恐怖指数」として知られるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー指数(VIX)は4日、昨年11月以降で最も高い水準で終了。株価の反発に伴い、5日は低下したが、200日移動平均をなお上回る。
今年3月後半以降、投資家は徐々にヘッジを積み増しており、弱気の3カ月プットオプション価格は、強気オプションに対するプレミアムが1月半ば以降で最も大きくなった。今年に入り注目が高まった保険、つまり小幅な調整でなく、大幅な値崩れに備えるテールリスクヘッジにポジションが上乗せされた。
ベルモント・キャピタル・グループでウェルスマネジメント(富裕層向け資産運用)会社向けヘッジ戦略を担当するスティーブン・ソラカ氏によれば、株式ベンチマークと個別のテック銘柄の両方に連動するポートフォリオヘッジについて、顧客から問い合わせが増えているという。
ブルームバーグがまとめたアークの日々の取引データによると、ARKKは昨年12月以降、テスラ株を230万株以上購入し、比率を約9.6%まで引き上げた。これは現在のトップであるコインベース・グローバル社の9.86%に次ぐものだ。
良品計画は8日、欧州11カ国で「無印良品」事業を統括する英子会社MEHについて、会社再生手続きの申請を行うと発表した。
分析会社バイタル・ナレッジの創業者アダム・クリサフルリ氏は「投資家はテスラと同社のさまざまな製品発表への熱狂を少し抑える必要がある。誇大広告・臆測と現実の間には大きな隔たりが存在しがちだ」とし、「これは、現在のEV市場の状況から目をそらそうとするテスラの取り組みの一つに見える」と電子メールで指摘した。
ただ、中国経済に回復のさらなる兆しが見られることから、政府系基金の株式買いやグローバルファンドからの戦術的な資金流入の後押しを受けて最近の株価上昇が続けば、中国のウエートは高まる可能性がある。
バンク・ジュリアス・ベアのアジア調査副責任者ケリー・チア氏はリポートで、「日本は依然としてS&P500種株価指数と競合する市場だ」とした上で、「目先のリスクは、中国の状況が好転した場合、株価反発を見込んで中国に回帰するため日本で利益確定売りが行われる可能性があることだ」と指摘した。
米マイクロソフトが日本でクラウド・コンピューティングと人工知能(AI)インフラの強化を目的に大型投資を行うと発表したことで、将来的な電力消費の増加を見込む買いで電力株が軒並み急伸した。
ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、ケルビン・オン氏は「マイクロソフトのAI投資は、集中的なコンピューターの利用でより多くの電力を消費する可能性がある」と指摘し、「日本の電力消費にプラスの影響を与える可能性がある」と述べた。
我々の不動産投資の40%を占める倉庫は順調だ。・・・新しい倉庫の供給はほとんどない。
フォート・ピット・キャピタル・グループのダン・アイ最高投資責任者(CIO)によれば、一般に信じられているのとは逆で適度なインフレは成長、貸し出し、借り入れを促進するため、これまで広く収益にとって良いことだった。「収益は名目ベースのため、多少のインフレは企業利益にとって悪いことではない。株式市場は、1-3月期の大幅な上昇からすると、間違いなくそれを嗅ぎ取った」と同氏は指摘した。
アップルはAIの分野で同業他社に後れを取っていると考えられており、同社はiPhoneへのAI機能追加に向けてグーグルのような提携先を探している。AIを中心としたiPhoneの機能強化への期待が高まっていることから、そうした見通しもセンチメントを押し上げていると、JPモルガンは指摘する。
サミク・チャタジー氏らJPモルガンのアナリストは11日付の調査リポートで、「ヘッジファンド投資家は、AIのアップグレードサイクルの機会への期待を強めつつある」と指摘。ただ今年発売のiPhoneに搭載されるのか、それとも来年になるのかについては疑問が残ると記した。
チャタジー氏はその上で、「ヘッジファンドはAIアップグレードサイクルに先立ち、より戦術的なエントリーポイントを構築するため逆風要因に注目している」と述べた。同氏はアップル株の投資判断を「オーバーウエート」としている。
モルガン・スタンレー・ウェルス・マネジメントのマーケットリサーチ・戦略責任者のダニエル・スケリー氏は「アップルは復活すると思う」と指摘。常に勝ち続けてきた銘柄の負けに賭けることは難しいと述べた。
アップルの株価収益率(PER)は26倍で、マイクロソフトのような他の大型テク株よりも割安だ。ブルームバーグがまとめたデータによれば、ナスダック100指数の平均PER27倍も下回る。
スケリー氏はアップルについて「キャッシュフロー、バランスシート、自社株買いなど、ディフェンシブな資質をすべて備えている」と指摘。「製品のAI戦略を一段と明確にしていくだろう。今年ではないかもしれないが、AI対応のiPhone(アイフォーン)への期待は高まっている。言い換えれば、妙味を増している」と話した。
アルファベットの株価は一時0.5%高の160.22ドルとなり、時価総額が2兆ドル台に達した。2021年にも日中ベースで2兆ドルを突破したことがあるが、この節目を上回って終了したことはまだない。
ハイテク株とコモディティーが足並みをそろえて上昇し債券利回りが急上昇している現在の市場の値動きは、バブル形成期を思わせるものだと、バンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストが指摘した。
このような異例の値動きは、金利が高止まりする中で経済成長が堅調に推移する、いわゆる「ノーランディング」シナリオに合致している。しかし、このシナリオにはインフレ加速や資本コスト上昇のリスクもあると、マイケル・ハートネット氏率いるストラテジストがリポートで分析した。
ハートネット氏は最近の値動きを1999年のハイテクバブル前と比較し、「バブル相場の典型」だと断じた。ストラテジストらによれば、現在の状況は投資家が債券とドルを売り、ハイテク株および金、コモディティー、暗号通貨などのインフレヘッジを買うべきであることを示唆している。
UCITSファンドは欧州連合(EU)法の下でヘッジファンドの投資戦略を個人投資家に提供する。
ケプラー・アブソリュート・ヘッジの調査によると、総資産は2018年初めに過去最高の約4330億ドル(約66兆4000億円)に達した。
多くのUCITSファンドの手数料は伝統的なヘッジファンドと同程度であるにもかかわらず、投資会社オーラムのデータによれば、ヘッジファンドの方がリスクレベルに対するリターンの尺度であるシャープレシオシが高く、より大量の資産を扱うのに適している。
UCITSは少額から投資でき、ほぼ毎日現金を引き出せる柔軟性を顧客に提供する。これにより、ヘッジファンドの長いロックアップ期間や数百万ドルもの最低投資額要件に妨げられていた顧客にも門戸が開かれた。
しかしそうした利点もリターンが高ければこそだ。銀行に現金を預けておけば5%の金利がつく今は、UCITSのアンダーパフォーマンスが目立つ。
ケプラーの調査によると、UCITS業界は昨年380億ドルの損失を出し、総資産は2400億ドルと18年のピーク時の約半分になった。UCITSファンドのパフォーマンスは昨年向上したが、4.3%の平均リターンは依然として現金同等資産を下回っている。
三井不が発表した新グループ経営理念・長期経営方針の「& INNOVATION 2030」によると、2030年前後の定量目標として株主資本利益率(ROE)10%以上、1株当たり純利益(EPS)の年平均成長率8%以上としたい考え。成長投資策はコア事業に2兆円程度、企業の合併・買収(M&A)に4000億円以上とし、株主還元策では総還元性向を毎期50%以上、配当性向35%程度とする目標を掲げた。
三井不が24-26年度の総還元性向毎期50%以上、成長投資2兆円程度
三井不に対し、2月に1兆円相当の自社株買いや保有するオリエンタルランド株の持ち分縮減を求めたアクティビストの米ヘッジファンド運営会社、エリオット・マネジメントも今回の対応はここ数カ月間の両者間の対話を反映したもので、歓迎すると表明した。
アークは11日に顧客宛て電子メールで、5400万ドル(約83億円)規模のベンチャーキャピタル(VC)ファンド「アーク・ベンチャー・ファンドは2024年4月10日時点でオープンAIに投資している」と説明。地球にさまざまな生物が急激に出現した「カンブリア爆発のように急拡大するAI能力の最前線にオープンAIはいる」と指摘した。
アークのチーフ・フューチャリストで投資委員会メンバーでもあるブレット・ウィントン氏によると、オープンAIはアークのベンチャーファンドで組み入れ比率が約4%を占める。アークはAI新興企業のアンソロピックにも出資しており、同ファンドでの組み入れ比率は約5%。
ウィントン氏はインタビューで、オープンAIが最近公開した、文章による指示で動画を生成するAIツール「Sora」の「モデルには度肝を抜かれる」と述べ、「技術革新ペースの加速は目を見張るものがあるため、われわれはエクスポージャーを取りたかった」と語った。
債券
デフォルト(債務不履行)の流れが加速する兆候を背景に、格付けが投機的水準の中でも最もリスクの高い社債が投資家にとってますます危険なものになりつつある。
より幅広い債券のスプレッドは指標まで縮小しているが、投資家は最もリスクの高い「CCC」格付け債にペナルティーを科している。この2週間に欧州のこうした債券のスプレッドは、新型コロナウイルス禍であらゆる産業が機能停止状態となって以来と、10年余り前にユーロ圏が債務危機が見舞われて以来の高水準に達した。米国ではスプレッドの拡大はそれほど大きくはないが、それが生じていることに変わりはない。
何年も前から資産運用会社はリターン向上を目指し格付けが最も低い債券を購入してきた。各国・地域の中央銀行の低金利政策で企業がデフォルトに陥る可能性が低かったためだ。数十年ぶりの急ピッチで利上げが進んだことで、一部の企業はかなり割高な水準での借り換えを迫られ、苦しい状況に追い込まれつつある。その結果、債券投資家にはヘアカット(債務減免)の脅威が大きくなっている。
ティケオー・キャピタルの資本市場戦略責任者、ラファエル・テュイン氏は「今後、多少の痛みがあるだろう」とし、「利上げの効果が顕在化するまでに1年半から2年を要するというのが通説だ。今がその時期だ」と指摘した。
為替
SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は、経済指標や日本の当局者発言だけでは、投資家が円買いに転じるとは思えないとの考えを示し、もう少し円売りが進む可能性があり、日本当局による介入のタイミングとぶつかる公算が大きいと指摘した。
マーケット・リスク・アドバイザリーの深谷幸司フェローは、日米金利差縮小の遅れが予想され、投機的な円売りが増え、ドルを対円で数十年来の高値に押し上げているとの見解を調査リポートで示した。
米証券保管振替機関(DTCC)のデータによると9日の時点で、円が2%下落して1ドル=155円になると利益の出るオプションは、円安を見込むポジション全体の18%を占め、先月の約5%から増加した。
BofAのストラテジストは、145円から150円の水準にドル円を押し戻す当局の取り組みは、一時的に円をそのレンジ内に収めることができるかもしれないが、「例えば米連邦準備制度が利下げ開始時期を年末へと一層遅らせれば、ドル円は7-9月には150円から155円のレンジにシフトしかねず、米国で利下げが見送られるなら160円に達するリスクもある」との見解を示した。
不動産・商品
北海ブレント原油が1バレル=90ドルを上回った直接的なきっかけは、イスラエルとイランとの軍事的緊張だった。しかし、上昇相場を支える状況は一層深刻化している。世界的な供給ショックにより、商品相場が主導するインフレ再燃への懸念が強まっている。
メキシコは最近、原油輸出を大幅に削減した。世界最大の石油生産国である米国では、これを受けて製油所が米国産原油の活用を増やすなど、世界的な需給逼迫(ひっぱく)状況を悪化させている。
制裁によりロシア産原油が既に影響を受けているほか、イエメンの親イラン武装組織フーシ派が紅海でタンカー攻撃を続け、原油の輸送に遅れが生じている。こうした中でも、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成するOPECプラスは減産方針を堅持する。
コンサルティング会社エナジー・アスペクツの創業者で調査ディレクターのアムリタ・セン氏は、原油相場の「より大きな原動力は現在、供給サイドにある」と、ブルームバーグテレビジョンのインタビューで指摘。「かなり多くの面で供給の弱さが見られる。一方で需要全般は世界的に健全だ」と述べた。
コンサルティング会社ラピダン・エナジー・グループの創業者で元ホワイトハウス当局者のボブ・マクナリー氏は「市場のファンダメンタルズが堅調なのは間違いない。原油価格100ドルは完全に現実的なものだと考えている。真の地政学的リスクをあと少し織り込めば、そうなる」と、ブルームバーグテレビジョンで述べた。
世界各地でインフレはなかなか収まらないが、そのなかでもカカオ豆は多くの商品を上回るペースで値上がりしている。例えば米NASDAQ(CJ:MNX)では4月1日、終値が1万ドルの大台を突破して1トンあたり10,120ドルを記録した。
日本はカカオショックの影響が大きい国の一つといえる。World Population Review によると、日本の年間チョコレート消費量は一人当たり平均1.2kgで、世界第20位(ブラジルと同率)だが、チョコレート文化の根付いた欧米以外では第1位にあたる。
サクソバンクのコモディティー戦略責任者オーレ・ハンセン氏は、「金の上昇は多くの通常の考え方を覆している。まだ高い金利に関しては特にそうだ」と指摘。シナリオは根強いインフレとハードランディングの可能性にシフトしつつあり、地政学的な不確実性と脱グローバル化を受けた中銀需要の影響もあると分析した。
8日のロンドン金属取引所(LME)の銅相場は日中ベースで2023年1月以来の高値に上昇。供給逼迫(ひっぱく)が強まったほか、中国の需要回復への期待が広がった。
金相場は12日、再び最高値を更新。イランまたはその代理勢力がイスラエルの軍事・政府関連拠点に大規模な攻撃を近日中に仕掛けるとの懸念が広がる中で、トレーダーは最新の米経済データを見極めている。
機関投資家
デスティニー・テック100は64ドルで終了し、最新の規制当局への提出書類によれば、ファンドが保有する原資産の13倍以上のバリュエーションとなっている。同ファンドは四半期ごとに純資産価値を計算しており、20銘柄余りから成るポジションの公正価値は約5430万ドル(約82億4000万円)だという。
現金同等資産から長期債にシフトする理由はないと述べ、リスクプレミアムが小さすぎると語った。現在の経済成長と持続的なインフレの水準で利下げを行う唯一の理由は、米経済をインフレなしに成長させるような大きな生産性向上があった場合だけだと論じた。
トヨタ自動車は米国のベンチャー部門に3億ドル(約460億円)を投入し、炭素回収や人工知能(AI)、宇宙事業の商業化など気候変動やいわゆるフロンティアテクノロジーに焦点を絞った初期段階のスタートアップを支援する。
10日の発表資料によれば、今回の資金投入によりトヨタ・ベンチャーズの運用資産総額は8億ドルを超える。トヨタ・ベンチャーズのゼネラルパートナー、ジム・アドラー氏は「リスクの高い機会を追求しなければ、世界で起こっていることに乗り遅れる」と語った。
気候変動ファンドは水素スタートアップのエコレクトロなどを支援し、ディープテクノロジーファンドは人工衛星サービスを提供するスターフィッシュ・スペースや量子コンピューティングソフトウエアの新興企業HAIQUのような科学に重点を置いたスタートアップに照準を定める予定だ。
マクロファンドが今年は不振のヘッジファンド会社ブレバン・ハワード・アセット・マネジメントにとって、今輝いているのは暗号資産(仮想通貨)ファンドだ。
事情に詳しい関係者によると、運用資産約17億ドル(約2600億円)のBHデジタル・ファンドは1-3月(第1四半期)のリターンが34.5%に上った。これにより2022年3月にファンドが取引を始めて以来のトータルリターンは約51%に達したと、関係者の1人は語った。
旗艦の「マスター・ファンド」は金利見通しの読み誤りで年初に出した損失を3月にやや埋めたものの、今月5日までの年初来の成績は依然としてマイナス2%前後。アルファ・ストラテジーズ・ファンドは同期間にマイナス1.3%前後だという。
中国
中国では2023年、最終消費支出の経済成長への貢献率が82.5%に達した。14億人を超える市場の消費需要は拡大と高度化を続けており、多国籍企業に広大な市場空間を提供している。同時に、現代化されたインフラや完備された工業体系、強大な産業関連能力、良質な人材の蓄積などにより、中国は外資企業に効率的な生産と物流を提供し、運営コストを下げている。中国経済の質の高い発展がもたらした消費と産業の高度化は、多くの外資系企業に絶え間なく新たなチャンスをもたらしている。
金関連企業に投資する上場投資信託(ETF)が中国で最近、熱狂的な取引対象となっており、中国経済の苦境に強いと見られる市場の一角に投資家が殺到している。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアナリスト、レベッカ・シン氏は、「金は史上最高値圏で取引されており、金ETFの需要は過去1週間で急増し、全世界で6億ドル(約910億円)近くが金ETFに純流入している」と指摘。「投資家がコモディティーや海外ETFで保有資産の分散を図っており、中国本土での需要は持続する可能性がある」との見方を示した。
中国株の投資家は、景気循環が上向いた場合に利益を得る安全な方法として「割安なオプション」の利用を検討すべきだと、JPモルガン・チェースは勧告した。
ただ中国の成長見通しの課題を踏まえると、「経済活動の改善だけを理由に市場に再び参入するのは時期尚早だ」とストラテジストらは分析。企業の自社株買いや中国の政府系ファンドの買いで支えられる大型株を志向している。
香港市場に上場される中国企業株の指標、ハンセン中国企業株(H株)指数が10日の取引で、1月22日に付けた年初来安値から約20%上昇し、テクニカルな強気相場入りした。
H株指数はこの日一時2.3%上昇した。同指数の強気相場入りは、中国政府が「ゼロコロナ政策」を転換した2022年終盤以来となる。
世界のベンチャーキャピタル(VC)からの資金調達額は2024年1-3月(第1四半期)に30%減少し、景気減速や新規株式公開(IPO)市場の低迷に投資家が慎重姿勢を崩していないことが浮き彫りとなった。
調査会社プレキンのデータによれば、中国で40%減少したことが市場全体に響き、米国は29%減だった。スタートアップ企業による世界全体の資金調達額は、1-3月期に578億ドル(約8兆8000億円)に縮小した。
こうした数字は、投資家が経済の減速とインフレ高止まり、それがスタートアップに与える影響を懸念していることを示している。23年の世界のVC投資額は、生成人工知能(AI)などの新技術が資金を集める中でも、17年以来最低に落ち込んだ。
ムーディーズのシニアアナリスト、ショーン・シオンは「中国は、生産性の伸び鈍化や生産年齢人口の減少など、経済成長のハードルに対抗する手段としてAIに賭けている」とし、「しかし、導入には大規模な投資が必要で、企業は執行リスクに直面している」と述べた。
世界最大のヘッジファンド運用会社ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者レイ・ダリオ氏はこのほど、ソーシャルメディアへの投稿で、中国への投資を継続していく考えを示した。世界を理解し、投資を多様化させるには、中国市場に関心を持つことが極めて重要だとしている。
人工知能(AI)関連銘柄への関心の高まりが、台湾で空前の投資ブームを引き起こしている。
台湾株の指標、加権指数はこの1年で約30%上昇。世界有数の半導体メーカーで米エヌビディアの主要サプライヤーである台湾積体電路製造(TSMC)は55%高と、台湾株の上げをけん引している。
台湾の人々が現在保有する台湾株連動型ETFは500億米ドル(約7兆6000億円)を突破。1年前から80%余り増え、2019年の12倍だ。債券ファンドや海外株式を重視したものを含めると、ETFの保有総額は1300億米ドルに上る。
台湾は日本、中国に次ぐアジア3位のETF市場だが、日中両国では購入の大部分を中央銀行や政府系の買い手が占める一方、台湾で株式ファンドに投じられた資産の約80%は個人投資家に由来すると台北の証券会社CTBCインベストメンツは分析。
中国の習近平国家主席が掲げる「共同富裕」推進への対応として、複数のミューチュアルファンド運用会社が従業員の給与上限を約300万元(約6300万円)に設定することを提案している。内情に詳しい複数の関係者の話でわかった。
今回の動きは、他の中国金融機関における給与の上限設定やインセンティブ報酬の支払い繰り延べを含む、一段と広範な決定を受けたものだ。金融業界に対しては共産党の管理が強まっており、国有銀行も行員の報酬を制限している。
中国のミューチュアルファンド業界にとって、給与上限の規制案は花形ファンドマネジャーが圧倒的な影響力を発揮していた時代からの劇的な転換となる。中国のメディアによると、ほんの数年前までグローバルマネジャーも地元マネジャーも、数千万元の小切手を手に優秀な人材の確保を競い合っていた。
一般
ダイモン氏は株主への年次書簡でAIの重要性を語った。同行はマーケティングや不正行為、リスクなどで400以上のAI使用事例を特定し、多くのAI専門家やデータサイエンティストを集めて生成AIの導入を模索し始めている。
同氏は「われわれはAIのもたらす結果が驚異的であり、かつ過去数百年の主要な技術的発明に匹敵するような革新的なものになると確信している」と述べ、「印刷機や蒸気機関、電気、コンピューティング、インターネットなどを思い浮かべてほしい」と続けた。
同氏はまた、米国経済は依然として好調だが、インフレ持続や量的引き締め、ウクライナと中東で続く戦闘が大きなリスクになっているとの懸念を繰り返した。「市場はソフトランディングの確率を70-80%と織り込んでいるようだ。インフレと金利の低下に伴う緩やかな成長だ」と指摘した上で、「私はこれよりもずっと低い確率を見込んでいる」とも述べた。
サマーズ氏はブルームバーグテレビジョンで「次の政策金利の動きが下向きではなく、上向きになる可能性を真剣に考えるべきだ」と指摘。その確率は15-25%のレンジとの見方を示した。
ハーバード大学の教授でブルームバーグテレビジョンに定期的に出演する同氏は「現在の状況を踏まえると、6月利下げは米金融当局が2021年夏に犯した過ちに匹敵するほど危険で重大な誤りと思われる」と発言。「現時点で利下げは必要ない」と続けた。
シンガポールの政府系投資会社テマセク・ホールディングスは、欧州への投資を拡大する計画だ。
欧州・中東・アフリカ(EMEA)責任者のナギ・ハミエ氏は、今後5年間に欧州全域で最大250億シンガポール・ドル(約2兆8000億円)の投資を目指すと述べた。世界有数の富裕層一族関連企業を含む企業とのパートナーシップを模索する考えだ。
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ナギ・ハミエ氏「欧州は1、2年前よりも良い状況にある」とハミエはテマセクのパリ事務所開設前のインタビューで語った。「私が欧州に来ることを志願したのは、われわれが活躍できる可能性がたくさんあると考えたからだ」と述べた。
テマセクは、アジアのルーツと長期的な投資姿勢を、欧州のグローバル企業やファミリービジネスと組み合わせる方針だ。ハミエ氏は、フィアット創業者一族であるアニェッリ家の投資持ち株会社 エクソールのジョン・エルカン最高経営責任者(CEO)や、仏LVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンの創業者ベルナール・アルノー氏、グッチのオーナー、ケリングのフランソワ・ピノー氏らを、テマセクが非常に良好な関係を築いている人物として挙げた。
ハミエ氏は「一族企業と協力することに価値を見いだしている」として、テマセクはプライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社などに比べ柔軟な価値提案ができ、一族企業もテマセクとの連携を望むかもしれないと語った。
ドイツ銀行とバンク・オブ・アメリカ(BofA)は年内の米利下げ回数について、12月に1回のみとの見通しをそれぞれ示した。3月の米コア消費者物価指数(CPI)が3カ月連続で市場予想を上回る伸びとなったことを受けて、予想を修正した。
米金融当局がインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)コア価格指数は、今週発表された消費者物価指数(CPI)よりも弱めな数字となりそうだ。CPIは予想上振れとなり、金融市場を揺るがしていた。
3月のPCEコア価格指数は前月比0.2%か0.3%上昇となったもようだと、複数のアナリストが11日に指摘。同日に公表された3月の米生産者物価指数(PPI)を受けた見方だ。
ゴールドマン・サックス・グループとシティグループ、JPモルガン・チェース、サンタンデールUSキャピタル・マーケッツもPCEコア指数について丸めて0.3%上昇という同様の予測を示した。オックスフォード・エコノミクスの米国担当エコノミスト、マシュー・マーティン氏とキャピタル・エコノミクスのポール・アシュワース氏は0.2%上昇を見込んでいる。
「CPIがまたも高水準となった後なだけに、PPIは米金融当局者に一定の安堵感を与える。当局者は最近の物価統計について、近い将来の利下げを検討するにはあまりに過熱しているとみている可能性がある」とマーティン氏はリポートに記述。
「初回利下げが9月となる確率は高まっているとみているが、PPIのような比較的低調な統計は6月利下げの可能性を引き続き残す。6月は現時点における当社の基本シナリオだ」と続けた。
イングランド銀行(英中央銀行)の経済予測手法を検証していたバーナンキ元米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、英中銀に対し、予測だけでなく公や投資家との意思疎通を改善するためにも、英金利に関して独自の見通しを公表することを検討するよう求めた。
ミシガン大の消費者調査ディレクター、ジョアン・シュー氏は発表文で、「インフレ期待は上昇したが伸びは小幅であり、消費者は高インフレの再来を懸念してはいないようだ」と指摘。その上で、「消費者は、インフレ率が2022年以降に大幅に鈍化してきたことを十分認識している一方、現在のディスインフレペースには満足していない」と付け加えた。
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