機関投資家動向
「Tロウ・プライス・インターナショナル・バリュー・エクイティー・ファンド」を運用するロンドン在勤のコリン・マックイーン氏は、「過去3年間、比較的コントラリアン(逆張り)な株式ピッカーにとって良い時期だった」と振り返る。同ファンドの過去1年間のリターンはドル建てベースで23%と、日本に投資する世界の他の全てのファンドをパフォーマンスで上回った。
クルーグマン氏は7月25日付のニューヨーク・タイムズ紙のコラムで、「人口動態の調整を加えると、日本は著しい成長を達成した」と指摘。「日本は訓戒的なストーリーというよりも、むしろロールモデルのようなものだ。繁栄と社会的安定を保ちながら、困難な人口動態の中をやりくりする方法の手本だ」と評価した。
文化的ダイナミズムを理由に「東京は新しいパリだ」と論じるエコノミストのノア・スミス氏は、2019年のブルームバーグ・オピニオンのコラムで、東京の多様性は「移民に対する日本のますますオープンな姿勢の結果である部分が大きい」と分析。「日本は人種的に純粋な島ではない。むしろ、ごく普通の豊かな国であり、移民、多様性、マイノリティーの権利、人種差別、国民性といった、ごく普通の問題に対処している」と指摘した。
これは「日本の経済見通しがそれなりに良好」で投資対象としても「魅力的」なことを意味すると、Tロウ・プライスのマックイーン氏は言う。労働年齢人口が減少する中で、「特に女性の労働力参加の大幅増加」が「株主の利益につながる企業改革のトレンド」と合致しているとした。
長期債に投資する上場投資信託(ETF)としては最大の「iシェアーズ米国債20年超ETF(TLT)」 の価格が、2020年の過去最高値から48%下落した。金利をより高い水準でより長く維持する可能性を示唆した米連邦準備制度の金融政策が影響し、痛みが生じた。
ストラテガス・セキュリティーズのテクニカルストラテジスト、トッド・ソーン氏は「金利見通しに尽きる。上向きの大きな動きにインフレが火を付け、景気が予想より強い状況を考え併せると、金利の上昇傾向が続くことをそれは意味する」と指摘した。
TLTは21年の6%、昨年の33%に続き、今年に入り約10%下げている。「バンガード・エクステンデッド・デュレーション米国債ETF(EDV)」の年初来の下落率が14%に達するなど、他のロングデュレーション・ファンドも痛手を負っている。
ウッド氏はソフトウエア企業2社、ユーアイパスとトゥイリオに注目。ユーアイパスには「素晴らしい経営陣がいる」とし、管理タスクや社内ワークフローの自動化を手掛ける同社が、あらゆる企業が基盤を築くことができるプラットフォームになり得ると指摘。「セクシーではないが、非常に収益性が高い」との見方を示した。
B2C(企業対個人消費者)のメッセージングの支援で最も有名なトゥイリオについては、ウーバー・テクノロジーズの配車プラットフォームやフードデリバリーアプリのメッセージングをサポートしていると、ウッド氏は指摘。「昨年は消費者と企業の間で1兆件のメッセージが送信された」とし、同社が「そうした全てのデータを入手し、その取り組みが加速しているのは言うまでもない。そして今や同社はそれをAIで活性化している」と述べた。
インフレ再加速が予想される中でハードランディングの可能性が高まりつつある今こそ、割高なグロース株を手放してバリュー銘柄に投資するべきだと、ロブ・アーノット氏は指摘した。インフレ率はベース効果により年末までに5%近くに上昇すると、スマートベータの先駆企業リサーチ・アフィリエイツを創業した同氏は予想。今年ずっと大型テクノロジー株への投資再開がやみくもに広がるなかで見過ごされてきた、割安銘柄への追い風になるとの見方を示した。
「より高くより長く」の米金融政策から恩恵を受ける上場投資信託(ETF)に殺到するトレーダーは、利回り急上昇を捉える最良の日々は終わったとの警告を受けた。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のデータによると、銀行ローンETFの9月の資金流入額は10億ドル(約1500億円)を超え、2021年6月以降で最大だった。50億ドル規模のインベスコ・シニア・ローンETF(BKLN)には9億2000万ドルが流入した。
10年物米国債利回りは25日に2007年以来の高水準に達したが、固定金利の債券と異なり、変動金利債は基準金利が上昇するにつれて利回りも上昇するため、債券の価格が下がりにくい。
利回り上昇はインカム志向の投資家にとっては魅力的だ。「より高く、より長くのセンチメントがローン債権への資金流入を後押ししている可能性が高い。短期金利は今後1年程度は5.25%以上で推移すると予想されるため、銀行ローンの利率は9%以上になる」と、シュワブ・センター・フォー・ファイナンシャル・リサーチの債券ストラテジスト、コリン・マーティン氏は述べた。
チーフ市場ストラテジストのコラノビッチ氏は27日付の顧客向けリポートで、米株式市場のボラティリティーが上昇すると予想。シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー指数(VIX)が今夏の株高局面で低下したのは、「テクニカル的な逸脱」だと述べ、マクロ経済のファンダメンタルズを反映していないと指摘した。
コラノビッチ氏は、株式市場でボラティリティー上昇を見込む背景として高水準にある米政策金利が米経済の方向性に不透明感を投げかけている点に言及。投資家が資金引き揚げに動き、株式は現金に代わる魅力的な選択肢でなくなると予想した。
ヘッジファンド運営会社ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者で、資産家のレイモンド・ダリオ氏は「米国が債務危機に陥るだろう」と述べる一方、発生スピードは「その需給問題の関数」になるだろうと指摘した。
アックマン氏はその中で、短期的には地政学的緊張が引き続き市場にとって最大のリスクだとした上で、エネルギー価格と金利の上昇も依然、懸念材料であると語った。一方で、多くの企業はインフレ率3%の環境でもうまくやっていけるとの見方を示した。このほか、パーシング・スクエアが先にグーグル親会社アルファベット株を買い増したのは人工知能(AI)に大いに関係がある判断だと説明した。
日本の通貨・金利戦略責任者の山田修輔氏はリポートで「日本の基本的な国際収支は、対外直接投資が縮小しないため黒字に転じていない」と指摘した。米連邦準備制度のドット・プロット(金利予測分布図)が示唆するように「米利下げ開始が2024年下期の後半になる場合、あるいは24年に全く利下げがない場合は、ドルのピークはそれぞれ1ドル=155-160円と160-165円のレンジまで上昇する可能性がある」と予想した。インフレに伴い家計が円の現金同等資産から、海外資産を含むリスク資産にシフトする可能性があるともBofAは指摘した。
ヘッジ目的で大量の株式売買が可能なマーケットメーカーは現在、株価の大きな流れに身を任せざるを得ない態勢だ。つまり株価が下がれば売り、上がれば買うというもので、これは上昇・下落の両方で株価変動を激化させる。「ショート・ガンマ」として知られるこのポジションは、ゴールドマンが2019年に統計を開始してから最も極端なレベルに達している。同氏はリポートで「市場に規則性はなく、この四半期末まではファンダメンタルズよりフローが値動きをけん引する」とし、「この動態は超短期でなおネガティブだ」と論じた。ゴールドマンのモデルによれば、相場が1%変動すれば、33億ドル相当の株式の買いまたは売りが生じる可能性がある。
160億ドル(約2兆3900億円)規模のJPモルガン・ヘッジド・エクイティ・ファンド(JHEQX)は、相場下落やボラティリティからポートフォリオを守るためにデリバティブを使用するロング株プロダクト。数万件のプット(売る権利)契約は29日に期限を迎え、その権利行使価格は今のS&P500種株価指数をさほど大きく下回らない。重要なのは、期限が近づき株価指数が権利行使価格を下回る可能性がある時期に、取引の反対側にいるディーラーが望まぬエクスポージャーを抱えるリスクがあることだ。実質的に株式のロングポジションを持ってしまうことになるからだ。このリスクをヘッジしたいディーラーらは、ポジションをニュートラルに戻すために市場をショートにする取引を採用する。これがデルタヘッジと呼ばれるプロセスの一面であり、株価指数の動きを速めボラティリティーを増幅する可能性があるとして一部で懸念されている。
JHEQXはその突出した影響力の大きさから、デリバティブの世界では「鯨」として知られる。市場の標準に比べると大規模なオプションのポジションが集中しているだけでなく、規則正しいトレーディングパターンもよく知られており、他のプレーヤーがこれを利用することを可能にしている。
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