機関投資家動向
ミレニアム・マネジメントやバリアズニー・アセット・マネジメント(BALYASNY ASSET MANAGEMENT LP)、エクソダスポイント・キャピタル・マネジメント、ショーンフェルド・ストラテジック・アドバイザーズなどのマルチマネジャーやマルチ戦略ヘッジファンドは長年、市場の状況に関係なく安定したリターンを求める投資家の間で人気だった。しかし、今年に入りパフォーマンスは低迷しており、8月のリターンは好調だったものの、年初来では他のタイプのファンドに後れを取っている。
「リスクフリーレート(RFR)がゼロの時に7.4%のリターンは素晴らしいが、RFRが5.5%の場合はマルチ戦略ファンドへの懐疑的な見方がずっと強まる。戦略に組み込まれたリスクを考えればなおさらだ」と述べた。
マルチ戦略ヘッジファンドはマーケットニュートラルで株式ポートフォリオを運用する手法を取っており、ロングポジションとショートポジションのバランスを図り、テクノロジーなど特定のセクターに集中することは決してない。「こうしたファンドが利益を上げるにはボラティリティーと分散が必要だが、今年はそのどちらもない」とカプリス氏は語った。
モルガン・スタンレーは米国債の弱気派と意見を異にしている。市場が米経済ソフトランディング(軟着陸)について楽観し過ぎている可能性があると指摘し、米国債の買いを勧めている。マシュー・ホーンバック氏らモルガン・スタンレーのストラテジストはさらに、比較的健全な成長が続いたとしてもインフレは鈍化し続ける可能性があるため、米国債相場は支えられる可能性が高いと分析している。ストラテジストらはリポートで、「米国債デュレーションについてオーバーウエートのスタンスを維持することを引き続き勧める」とし、力強い成長が長期化するという市場の予想は外れる可能性があるため、「高水準の長期債利回りには調整のリスクがある」と論じた。
市場のショートポジションの平均(金額ベース)に基づきS3パートナーズが試算したところによると、超小型を含む小型株の値下がりに賭けた空売り投資家は、今年これまでに130億ドル(約1兆9000億円)近い含み益を得た。中型株や大型株、超大型株の空売りによる損失が約1400億ドルであったのとは対照的だ。景気は暗かった予想を覆し、米利上げは終了に近づき、人工知能(AI)の躍進がハイテク株の急騰を引き起こしたことで、大型株は年初来の大半で上昇した。
USバンク・ウェルス・マネジメントのシニア投資ストラテジスト、ロブ・ハワース氏によると、小型株不振の一因は、今年市場で最もパフォーマンスの良かったテクノロジー銘柄へのエクスポージャーが少なく、パフォーマンスが最悪級の金融やエネルギーへのウエートが比較的高かったことだ。「また、信用状況の引き締まりや融資基準厳格化の影響を受けやすいのも中小企業で、それが小型株に大きな圧力がかかる環境を作り出したと思われる」と同氏は付け加えた。
30年以上日本に投資してきた阿部社長(69)は「今の私はより洗練されている」とブルームバーグとの英語インタビューで語った。「バフェット氏のような投資家が何を考えているのかも、私たちが発掘すべき価値は何なのかも、日本のマクロ環境が私たちのような投資家をいかに支持してくれているのかも理解している」という。
阿部氏によれば、注目を集めたバフェット氏による日本株への投資は、日本が転換期を迎えていることを示す一つのシグナルにすぎない。東京証券取引所が株価純資産倍率(PBR)の改善を求めたことで、企業は株主のために価値を高めることを余儀なくされ、インフレの再来によって利益を上げるために賃金や投資を抑えるという旧態依然としたやり方には頼れなくなっているとの認識を示した。
阿部氏は1980年代に米国でジョージ・ソロス氏の資金運用を手伝った後、日本のバブル崩壊直前にバリュー・アプローチによる日本の小型株への投資で成功を収めた。89年にスパークスを設立し、現在では約1兆7000億円を運用している。
ウォール街で最も強気なストラテジストの1人であるジョン・ストルツファス氏によると、最近の米国株の下げはまだ続く。
オッペンハイマーのチーフ投資ストラテジストのストルツファス氏は顧客向けリポートで、金融当局のインフレ目標が依然達成されていない一方で、株式への「強気度は比較的高い」と指摘。投資家は利上げの長期休止、あるいは利下げへの熱狂を抑え、代わりに「適正な期待」を抱くべきだと論じた。
ドイツ銀行のストラテジストも「現在の下げは緩やかに拡大する」と予想している。
ゴールドマン・サックス・グループのストラテジスト、デービッド・コスティン氏は、米経済のソフトランディング見通しに肯定的で、S&P500種は今後12カ月で4700まで上昇するとみているが、同時に年末までの道のりは不安定になる可能性があると警告した。
投資家はディフェンシブ株、工業株、エネルギー株から成る「サイクル後期のポートフォリオ」に注目すべきだと、マイケル・ウィルソン氏率いるモルガン・スタンレーのストラテジストが論じた。
「このような時期には典型的なことだが、株価がマクロのファンダメンタルズから導き出される適正価格よりも割高になっており、成長の再加速や政策支援の増加に依存する水準となっている」とウィルソン氏は分析した。ウィルソン氏は、ディフェンシブな成長株と、工業株やエネルギー株を組み合わせた「バーベル戦略」を推奨している。特にヘルスケアは、ディフェンシブだが成長株という特性から、今年のアンダーパフォーム後には期待が持てると付け加えた。
シンガポールの政府系投資会社テマセク・ホールディングスが全額出資するベンチャーキャピタル(VC)、バーテックス・ホールディングスがアンカー投資家の「バーテックス・ベンチャーズ・サウスイーストアジア&インディア」は、最も大型の5号ファンドの募集を締め切った。東南アジアとインドの初期段階のスタートアップ企業支援を目的とする同ファンドは、世界的なテクノロジーセクターの減速傾向にもかかわらず、5億4100万ドル(約793億円)を集めた。
英ヘッジファンド、アルゴノート・キャピタル・パートナーズ(ARGONAUT CAPITAL PARTNERS LLP)の創設者、バリー・ノリス最高投資責任者(CIO)は、水素は予見できる将来にもうけたい投資家にとって損な賭けだと述べた。ノリス氏はインタビューで水素について、「残念ながら、完全に時間の無駄だ」と指摘。「多くのこれらの企業のビジネスモデルがうまくいくかどうか懐疑的」であることが、水素関連でショート(空売り)ポジションを取り、株価下落に賭けている理由だと説明した。ショートポジションの対象企業については詳述を避けた。
最もクリーンな方法はグリーン水素と呼ばれるもので、再生可能エネルギーを動力源とする電解槽を使って水を水素と酸素に分解する。しかし、このプロセスはコストが高いため多くの投資家は懐疑的だ。自動車などに利用できるような方法で水素を貯蔵することなども課題だ。ノリス氏は「水素には電解槽の建設という膨大な資本コストがかかる」と述べ、「その資本コストを回収するためには、稼働率を極めて高くする必要がある。つまり、電解槽で水素を生産する安定した電源が必要だ」と指摘した。
カリフォルニア州公務員退職年金基金(カルパース)のニコール・ミュージッコ最高投資責任者(CIO)は、入社から2年足らずで退任することになった。米最大の公的年金基金に新たな波紋が広がっている。
米投資運用会社ブラックロックの大口顧客はプライベート投資をポートフォリオに取り入れていると、同社のエドウィン・コンウェイ氏が指摘した。株式プライベート市場グローバル責任者を務めるコンウェイ氏は14日、ブルームバーグテレビジョンに対し、顧客の機関投資家はポートフォリオの20-50%をプライベート市場に振り向けていると語った。富裕層の関心は「まだ初期段階」だが「極めて大きな需要と伸び」がこれまでにあったとし、組み入れ比率は2-5%だと説明した。
アブダビ首長国のタハヌーン・ビン・ザイド氏が監督するビジネス帝国の一部を成すキメラ・インベストメント(Chimera Investment LLC)は、500億ドル(約7兆4000億円)規模のファンドを新設した。新たなファンドはルナーテという名称で、年内にも運用を開始する。
米ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者レイ・ダリオ氏は14日、債券は保有したくないと述べ、現金を選好していることを明らかにした。世界の中央銀行がインフレ沈静化に取り組む中で投資家が直面する困難を強調した。投資家が米国債を売ることを選択して利回りが上昇した場合、金融当局は紙幣を増発して国債を買い入れるかをどうかを決めなければならないが、そうすればインフレ圧力が高まると語った。ダリオ氏は「われわれは今、そうした動きを目の当たりにしている。私としては、長期的には債券は良い投資対象ではないと考えている」と語った。
この会議で投資についてのアドバイスを求められたダリオ氏は、分散投資し、創造的破壊に注意を払い、新しいテクノロジーを最善の方法で利用できるのが誰かを見極めることの必要性を強調した。
ヘッジファンド会社、ブリッジウォーター・アソシエーツの中国投資の旗艦ファンドは運用成績が同業他社を圧倒しており、中国の富裕層投資家を取り込もうとする世界的な競争で優位が拡大している。同社の中国オンショア運用資産は8月時点で300億元(約6100億円)を突破。昨年は200億元余りに倍増していた。
米連邦準備制度の積極的な利上げの後、利回りを獲得するまたとないチャンスが訪れているため投資家は債券市場に資金を投入すべきだと、ブラックロックのスティーブン・ラプリー氏がブルームバーグテレビジョンの番組で語った。iシェアーズ債券上場投資信託(ETF)グローバル共同責任者の同氏は「利回りを得る一世一代のチャンスが訪れている。金利の頂点に達するタイミングを計るのは非常に難しい。債券での幅広い資産配分を選択する方がベターだ」と話した。同氏は今資金を配分すべき魅力的な選択肢として、iシェアーズ・コア米国総合債券市場ETF(AGG)とブラックロックの新しいアクティブ運用ファンドであるブラックロック・フレキシブル・インカムETF(BINC)を挙げた。
LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンが支援するプライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社Lキャタルトンは、日本の獣医療サービス企業、Withmalの過半数株式取得に近づきつつある。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
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