機関投資家動向 20230709-15

一般

アンドルー・ロー氏が率いるヘッジファンド運用会社キャクストン・アソシエーツは、6月に成績が一段と悪化し、上期を20%のマイナスで終えた。ジェフ・タルピンズ氏のエレメント・キャピタル・マネジメントは6月に7.7%のマイナスとなり、年初来の成績をマイナス15.4%に下げた。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

マクロヘッジファンド運営EDLキャピタルの創業者、エドゥアール・ドラングラード氏は「3月はマクロファンドの業績を決定的に悪くした」と指摘。規模11億ドル(約1500億円)のEDLキャピタルは今年プラスのリターンを上げている数少ないマクロヘッジファンドの一つ。「マクロの大半はSVB破綻に起因する債券取引で損失を出した」と説明した。

FUNDH1 RETURN
HAIDAR CAPITAL MANAGEMENT LLC-28.5%
CAXTON ASSOCIATES LP-20
Element Capital Management, LLC-15.4
Brevan Howard Master-6
Brevan Howard Alpha Strategies-2
ROKOS CAPITAL MANAGEMENT LLP-0.5
KIRKOSWALD ASSET MANAGEMENT LLC1.8
MELQART KEAL MACRO FUND4
EDL CAPITAL AG7.2
Source: Investor documents, Bloomberg reporting

運用資産600億ドル(約8兆3200億円)のツーシグマは、このほどスタッフを採用し、トレーダーや分析担当者の面接を行っている。株式やマクロ、債券投資の人材確保を狙っているという。ただ、DEショーやミレニアム・マネジメント、シタデルといった同業他社が提供しているような運用担当者の裁量で戦略を決めるディスクレショナリー投資商品にツーシグマが近く参入する計画はない、と関係者らは話している。ツーシグマでは新規採用のトレーダーを複数のチームと協業させ、クオンツ投資を補完することを目指しているという。

人間のトレーダーが分析や過去の経験を使ってリスク評価やプライシング、売買のタイミング判断を行うといった、裁量的な要素を投資戦略に取り入れるメリットを認識しているのは、ツーシグマに限らない。マン・グループやDEショーといった自動売買にルーツを持つ投資会社も、ディスクレショナリーとクオンツ両方の戦略を駆使することで巨大ヘッジファンドへと成長した。

キャシー・ウッド氏のアーク・インベストメント・マネジメントは11日、暗号資産(仮想通貨)交換業者コインベース・グローバルの株式保有をほぼ1年ぶりに減らした。

BofAがEPFRグローバルのデータを引用したリポートによると、世界の株式ファンドには過去7週間で700億ドル(約9兆6500億円)近い資金が流入している。BofAのストラテジスト、マイケル・ハートネット氏は、景気が過熱もしないし冷え込みもしないだろうという市場の楽観論は長続きしない公算が大きいと分析した。

同氏は「今のところゴルディロックスがリスク資産を支配しているが、年後半には消費者物価インフレの加速と政策引き締め、貯蓄の増加が予想される」とし、「8月下旬から9月上旬にかけてリスク資産をショートすることを考える」と説明した。

株式ファンドに大量資金流入、夏以降の株ショートを推奨-BofA
投資家は株式に大量の資金を投入しているが、年後半にはインフレ高止まりとタカ派的な中央銀行のリスクが市場を支配するため、株を空売りする好機だとの見方をバンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストが示した。

GSのクリスチャン・ミュラーグリスマン氏率いるチームはリポートで、「米国のリセッションリスクは依然として高く、インフレが今後さらにしぶといことが判明し、中央銀行のタカ派サプライズを招くかもしれない」と述べた。

リスクプレミアムの低下と比較的鈍い利益の伸びが株価の上昇余地を抑えるとして、「世界の株価はこの先、『ファット・アンド・フラット(ボラティリティーが拡大しリターンは低い)』なレンジにとどまるとみている」と続けた。

世界的な株高、ゴールドマンは懐疑的-長引くリスクを指摘
世界的な株高は、インフレとリセッション(景気後退)リスクの後退を示唆しているとも言えるが、米ゴールドマン・サックス・グループのストラテジストの見方はより懐疑的だ。
キャクストンやエレメント、2023年上期はマクロヘッジファンドの冬
世界的な大手マクロヘッジファンドの一部にとって、2023年上期は極めて厳しい業績となった。債券市場のボラティリティー(変動性)に起因する損失を埋めるのに苦戦を強いられた。
クオンツ大手ツーシグマ、人間の判断も戦略に加味へ-人材採用に着手
クオンツヘッジファンド運用大手の米ツーシグマ・インベストメンツは、投資戦略を多様化する一環として、コンピューターではなく人間の判断を重視して収益を上げるトレーダーの採用に初めて乗り出す。
キャシー・ウッド氏率いるアーク、約1年ぶりにコインベース株を売却
キャシー・ウッド氏のアーク・インベストメント・マネジメントは11日、暗号資産(仮想通貨)交換業者コインベース・グローバルの株式保有をほぼ1年ぶりに減らした。

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記事は、一般的な情報提供のみを目的としてのみ作成したものであり、投資家に対する有価証券の売買の推奨や勧誘を目的としたものではありません。また、記事は信頼できると判断した資料およびデータ等により作成しておりますが、その正確性および完全性について保証するものではありません。また、将来の投資成果や市場環境も保証されません。最終的な投資決定は、投資家ご自身の判断でなされますようお願いします。

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