アンドルー・ロー氏が率いるヘッジファンド運用会社キャクストン・アソシエーツは、6月に成績が一段と悪化し、上期を20%のマイナスで終えた。ジェフ・タルピンズ氏のエレメント・キャピタル・マネジメントは6月に7.7%のマイナスとなり、年初来の成績をマイナス15.4%に下げた。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
マクロヘッジファンド運営EDLキャピタルの創業者、エドゥアール・ドラングラード氏は「3月はマクロファンドの業績を決定的に悪くした」と指摘。規模11億ドル(約1500億円)のEDLキャピタルは今年プラスのリターンを上げている数少ないマクロヘッジファンドの一つ。「マクロの大半はSVB破綻に起因する債券取引で損失を出した」と説明した。
FUND | H1 RETURN |
---|---|
HAIDAR CAPITAL MANAGEMENT LLC | -28.5% |
CAXTON ASSOCIATES LP | -20 |
Element Capital Management, LLC | -15.4 |
Brevan Howard Master | -6 |
Brevan Howard Alpha Strategies | -2 |
ROKOS CAPITAL MANAGEMENT LLP | -0.5 |
KIRKOSWALD ASSET MANAGEMENT LLC | 1.8 |
MELQART KEAL MACRO FUND | 4 |
EDL CAPITAL AG | 7.2 |
Source: Investor documents, Bloomberg reporting |
運用資産600億ドル(約8兆3200億円)のツーシグマは、このほどスタッフを採用し、トレーダーや分析担当者の面接を行っている。株式やマクロ、債券投資の人材確保を狙っているという。ただ、DEショーやミレニアム・マネジメント、シタデルといった同業他社が提供しているような運用担当者の裁量で戦略を決めるディスクレショナリー投資商品にツーシグマが近く参入する計画はない、と関係者らは話している。ツーシグマでは新規採用のトレーダーを複数のチームと協業させ、クオンツ投資を補完することを目指しているという。
人間のトレーダーが分析や過去の経験を使ってリスク評価やプライシング、売買のタイミング判断を行うといった、裁量的な要素を投資戦略に取り入れるメリットを認識しているのは、ツーシグマに限らない。マン・グループやDEショーといった自動売買にルーツを持つ投資会社も、ディスクレショナリーとクオンツ両方の戦略を駆使することで巨大ヘッジファンドへと成長した。
キャシー・ウッド氏のアーク・インベストメント・マネジメントは11日、暗号資産(仮想通貨)交換業者コインベース・グローバルの株式保有をほぼ1年ぶりに減らした。
BofAがEPFRグローバルのデータを引用したリポートによると、世界の株式ファンドには過去7週間で700億ドル(約9兆6500億円)近い資金が流入している。BofAのストラテジスト、マイケル・ハートネット氏は、景気が過熱もしないし冷え込みもしないだろうという市場の楽観論は長続きしない公算が大きいと分析した。
同氏は「今のところゴルディロックスがリスク資産を支配しているが、年後半には消費者物価インフレの加速と政策引き締め、貯蓄の増加が予想される」とし、「8月下旬から9月上旬にかけてリスク資産をショートすることを考える」と説明した。
GSのクリスチャン・ミュラーグリスマン氏率いるチームはリポートで、「米国のリセッションリスクは依然として高く、インフレが今後さらにしぶといことが判明し、中央銀行のタカ派サプライズを招くかもしれない」と述べた。
リスクプレミアムの低下と比較的鈍い利益の伸びが株価の上昇余地を抑えるとして、「世界の株価はこの先、『ファット・アンド・フラット(ボラティリティーが拡大しリターンは低い)』なレンジにとどまるとみている」と続けた。
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