テーマ型ETFを利用した投機戦略

ETF

テーマ投資とは

世界的な潮流の変化や政策・ビジネスの動向、さらに技術革新を考慮した銘柄選びは投資の基本であり、投機戦略においても例外ではありません。個別銘柄を利用したテーマ投資の場合、ビジョンは正しかったにもかかわらず銘柄選びを間違えたせいで期待していたパフォーマンスを得られなかった、という悲劇が往々にして起こります。悲劇を避けるために分散投資したいところですが、セクターをカバーする十分なポートフォリオを構築するには、資金力に加えて業界動向に対する継続的なアプローチが必要であり、素人にはやや敷居が高いです。そこで、テーマ型ETFを利用した投資・投機戦略が有効になります。以前紹介したESG型ETFはその代表的なものです。個別銘柄への投資を選好する投資家にとっても、公開されているETFの保有銘柄は参考になります。

基本情報

今回はBUG, MSOS, DRIV, QTUMを紹介します。

BUGはネットワーク、アプリ、モバイル機器へのサイバー攻撃を防止するセキュリティプロトコルの開発や管理を行う企業に投資するサイバーセキュリティETFです。国別内訳はアメリカの企業が88.7%、日本が5.7%、イギリスが4.4%です。主な保有銘柄はZscaler, CrowdStrike, Fortinet, Palo Alto, Okta, Check Pointです。

MSOSは大麻・ヘンプ企業に投資する大麻ETFです。国別内訳はアメリカが91%、カナダが9%です。

DRIVは自然言語処理を用いて、EV、EV用自動車部品、自動運転技術関連の事業を行う企業に投資する自動運転ETFです。国別内訳はアメリカが68%、日本が8%、ドイツが4%、香港が4%、カナダが3%です。主な保有銘柄はAlphabet, NVIDIA, Microsoft, Apple, Toyota, Intelなどのハイテク銘柄なので、独自色が薄く、あまり分散効果が得られません。

QTUMは量子コンピューティングと機械学習関連の技術に投資する量子コンETFです。国別内訳はアメリカが61%、日本が9%、台湾が9%、フランスが6%、オランダが5%と、国際分散効果が期待できます。主な保有銘柄はSplunk, JSR, Cadence, Accenture, NEC, Microsoft, Fujitsu, Marvell, AMD, NVIDIAです。

コード投資対象総コスト純資産高
BUGGlobal0.55.52E+08
MSOSUnited States of AmericaNaN9.51E+08
DRIVGlobal0.689.72E+08
QTUMGlobal0.41.14E+08

モメンタム指標

モメンタム指標としては期間トータルリターンを使うことが多いです。ルックバック期間としては3年までの数値がよく用いられます。

 1 Month3 Month6 Month1 Year3 Year
BUG5.2215.432.3146.61NaN
MSOS-3.06-5.5410.75NaNNaN
DRIV2.377.0918.4695.05104.69
QTUM3.966.4220.4062.20NaN

ベータ

ベータは、市場ポートフォリオの収益率に対する証券ポートフォリオの収益率の限界的な寄与度を示すもので、たとえばポートフォリオのベータは、$$\beta_p=\frac{\sigma_{pM}}{\sigma_M^2}$$で定義されます。定義から明らかなように、ベータは「証券ポートフォリオ収益率」の「市場ポートフォリオ収益率」の変化に対する感応度を示します。したがって、ベータが大きい証券ポートフォリオはよりボラティリティが高く、小さい証券ポートフォリオはボラティリティが低いことを意味します。

 Beta for 1 YearBeta for 3 Years
BUG0.99NaN
MSOSNaNNaN
DRIV1.221.01
QTUM0.69NaN

アルファ

すべての投資家が直面しているリスクとリターンとのトレードオフを示す直線を資本市場線(Capital Market Line, CML)といいます。CMLは無リスク金利を切片とし、市場ポートフォリオのリスク・リターンを通る直線です。同一リスクにおける証券ポートフォリオの平均収益率とCMLの差はアルファと呼ばれ、超過リターンの指標として用いられるとともに、誤った価格付けの証券を探索する指標としても用いられます。

Alpha for 1 YearAlpha for 3 Years
BUG0.25NaN
MSOSNaNNaN
DRIV0.650.93
QTUM1.97NaN

トレイナー測度(Treynor measure)

ポートフォリオのトレイナー測度は$$T_p=\frac{R_p-R_f}{\beta_p}$$

で定義される指標で、\(R_f\)は無リスク金利。ベータをリスク尺度とするときのポートフォリオのリスクプレミアム(超過収益性)を示します。

Treynor Ratio for 1 Year Treynor Ratio for 3 Years 
BUG3.21NaN
MSOSNaNNaN
DRIV4.551.88
QTUM5.80NaN

シャープレシオ(Sharpe ratio)

ポートフォリのシャープレシオは$$S_p=\frac{R_p-R_f}{\sigma_p}$$

で定義される指標で、\(R_f\)は無リスク金利。ポートフォリオ収益率の標準偏差をリスク尺度とするときのポートフォリオのリスクプレミアム(超過収益性)を示します。

トレイナー測度はパフォーマンス測定の基準が十分に分散化されていることを仮定しているのに対し、シャープレシオはポートフォリオの分散も含めたリスクプレミアムを測っているため、相互補完的に用いることが多いです。

Sharpe Ratio for 1 Year Sharpe Ratio for 3 Years 
BUG0.38NaN
MSOSNaNNaN
DRIV0.830.24
QTUM0.77NaN

決定係数

決定係数(coefficient of determination)は、回帰分析における線形回帰式の当てはまりを示す統計的測度であり、ベンチマークに比べてどの程度、分散化が行われているかを測る指標として用いられます。投機の必要性との関連では、ベンチマークとの相関を測る指標としての有用性が高いと思います。

R-Squared for 1 Year R-Squared for 3 Years 
BUG0.42NaN
MSOSNaNNaN
DRIV0.870.90
QTUM0.52NaN

免責事項

記事は、一般的な情報提供のみを目的としてのみ作成したものであり、投資家に対する有価証券の売買の推奨や勧誘を目的としたものではありません。また、記事は信頼できると判断した資料およびデータ等により作成しておりますが、その正確性および完全性について保証するものではありません。また、将来の投資成果や市場環境も保証されません。最終的な投資決定は、投資家ご自身の判断でなされますようお願いします。

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