今週の投資戦略
共通点
- AIおよびソフトウェア株に対する強気な姿勢: 両者とも、AIによる代替懸念からソフトウェア株などが急落した直近の市場の動きを行き過ぎた反応と捉え、投資機会を見出しています。モルガン・スタンレーは売られすぎたソフトウェア株や一部のマグニフィセント・セブン銘柄の購入を推奨しており、バロンズもマイクロソフトを過去10年間で最も割安な買い時とし、AIインフラの恩恵を確実に受ける企業として高く評価しています。
- 資本財およびヘルスケアセクターの選好: テクノロジー以外のセクターへの分散として、両者とも資本財とヘルスケアを推奨しています。モルガン・スタンレーはこれらを景気循環の恩恵を受けるセクターやディフェンシブな高品質銘柄としてポートフォリオに組み入れることを推奨し、バロンズも資本財サービスの年初来での底堅さや、多額の配当を出すヘルスケアセクターの魅力を指摘しています。
- 原油高とインフレ・金利高止まりへの警戒: イランとの戦争に伴う原油価格の高騰がインフレ圧力を強め、FRBによる早期の利下げを困難にしているというマクロ経済環境の認識で一致しています。
相違点
- 半導体銘柄に対するアプローチ: モルガン・スタンレーは、買われすぎている半導体銘柄のポジションを縮小するよう推奨しています。対照的にバロンズは、中東の紛争が台湾や韓国の半導体メーカーに及ぼすサプライチェーンリスクを指摘しつつも、エヌビディアに関しては記録的なフリーキャッシュフローと開発者会議への期待から、依然として上値余地が大きいと強気の姿勢を示しています。
- 金融セクターに対する投資判断: モルガン・スタンレーは、プライベート・クレジット市場の混乱による広範な金融システムへの波及リスクは限定的であると分析し、規制の好転などのプラス材料が株価に織り込まれていない米国金融株を絶好の投資機会として買い推奨しています。一方バロンズは、ビル・アックマン氏による新規クローズドエンド型ファンドの上場計画において、純資産価値を下回る価格に下落するリスクなどを指摘して投資家に慎重な対応を求めており、金融セクター全体への買いは推奨していません。
- 新興国市場・海外株式への見方: モルガン・スタンレーは、ドル安傾向や中国の輸出ブームを背景に新興国市場を全体としてオーバーウェイトとし、特にラテンアメリカやインド、さらには企業再編が進む日本株を有望視しています。バロンズは、エネルギーを中東に依存する台湾や韓国の株式市場が原油供給の減少懸念から即座に下落している状況に焦点を当てており、海外株式への積極的な強気姿勢は示していません。
GIC Weekly by Morgan Stanley
2026年3月16日付のモルガン・スタンレー「GIC Weekly」の資料に基づき、投資戦略の推奨事項を要約します。
📉 投資戦略の推奨事項
- 基本方針:
- プライベート・クレジット業界の価格調整は正当なものであるが、銀行のバランスシートへの直接的なエクスポージャーは少なく、広範な金融セクターに対するシステミックリスクではないと判断しています。
- 市場はすでに割高で集中度が高く、外的なショックに対して脆弱であるため、時価総額加重インデックスを単に保有するよりも、銘柄選別(ストック・ピッキング)を優先するよう助言しています。
- ポートフォリオにおいて、攻め(オフェンス)と守り(ディフェンス)の両面でバランスをとるポジショニングを推奨しています。
- 株式/エクイティ:
- 購入・積み増し推奨(オーバーウェイト):
- 米国金融株: プライベート・クレジットへの懸念による連れ安は過剰反応であり、規制の好転や過剰資本の活用といったプラス材料が株価に織り込まれていないため、バリュエーションの歪みを突く絶好の投資機会であるとしています。
- 大型のコア・クオリティ銘柄: 売られすぎているヘルスケア、ソフトウェア、および一部のマグニフィセント・セブン(Mag-7)銘柄を推奨しています。
- 景気敏感株: 景気循環の恩恵を受けるセクターとして、資本財や素材、エネルギーを選好しています。
- 新興国市場(EM): 全体としてオーバーウェイトとし、地域別ではアジアよりもラテンアメリカを優先しています。また、インドは長期的な成長銘柄として推奨しています。
- 日本株: 企業再編とリフレの進行により見通しが改善していると評価しています。
- 売却・縮小推奨(アンダーウェイト):
- 消費関連セクターや、買われすぎている半導体銘柄のポジションを縮小するよう推奨しています。
- 米国を除く先進国の国際株式については相対的にアンダーウェイトとしています。
- 購入・積み増し推奨(オーバーウェイト):
- 固定収益(債券):
- 米国投資適格債(アンダーウェイト):
- 設備投資やM&Aに伴う社債発行の急増や、長期債のタームプレミアム拡大といった構造的な不均衡を懸念しています。
- 戦略として、短期デュレーションのエクスポージャーを減らし、価格変動を抑えつつ適切なクーポン収入を狙うために、イールドカーブの中期ゾーン(カーブの腹)へ移行することを推奨しています。
- オポチュニスティック債券(マーケットウェイト):
- ハイイールド債は、プライベート・クレジットと比較して流動性、透明性、信用力の面で競争力があるため維持します。
- 新興国債券は利回りが良好で、スプレッド縮小の余地があり、ドル安が投資家の追い風になると見ています。
- 米国投資適格債(アンダーウェイト):
- 代替資産/その他:
- 防衛的アロケーション: ポートフォリオの守りを固める主要な資産として、ヘッジファンド、金(ゴールド)、REIT、インフラストラクチャーへの配分を推奨しています。
- 実物資産(オーバーウェイト): 株式と債券の相関が高まる中での分散効果を重視し、産業用金属、エネルギー・インフラ、住宅不足の解消に関連する機会へ選別的に投資することを推奨しています。
- ヘッジ戦略(オーバーウェイト): 個別銘柄のリスクが高まる環境下において、高品質、低ベータ、低ボラティリティ、および絶対収益・マーケットニュートラル型などの非常にアクティブなファンダメンタルズ戦略を選好しています。
Barron’s Digest
📉 投資戦略の推奨事項
- 基本方針:
- イランとの戦争やホルムズ海峡封鎖による原油価格の高騰、それに伴うインフレ再燃とFRBの利下げ見送りリスクに警戒が必要である。
- ただし、原油価格による株式市場の調整は一時的なものに終わる可能性があり、年末のS&P500の目標値は7600へと引き上げられている。VIX指数が30を大幅に上回れば買い場到来のサインとなる。
- AIの普及によるソフトウエア終末論は行き過ぎており、AIインフラの恩恵を受ける企業が再評価される時期に来ている。
- 株式/エクイティ:
- 購入・選好推奨:
- マイクロソフト: AIエージェントによるソフトウエア代替懸念から売られているが、クラウド事業の成長によりAIインフラの勝者となる立場にあり、S&P500指数と比較して過去10年間で最も割安な水準にあるため買い時である。
- エヌビディア: 株価上昇が一服してバリュエーションに割安感が出ており、記録的なフリーキャッシュフローの創出と今後の推論向けAI需要を見込むと上値余地が大きい。
- サイバーセキュリティー株: イラン戦争の長期化に伴い米国企業へのサイバー攻撃の脅威が高まることで、クラウドストライクやパロアルト・ネットワークスなどが恩恵を受ける見通しである。
- 資本財サービスセクター: 景気減速懸念で下落しているものの、年初来では上昇を維持しており好まれる。
- ヘルスケアセクター: 大手製薬会社やバイオ企業の多くが多額の配当を出しており魅力的である。
- 慎重・待機推奨:
- 新規上場ファンド(パーシング・スクエアUSA): クローズドエンド型ファンドは純資産価値を下回る価格に下落するリスクがあるため、上場直後に飛びつかず割安に放置されるまで待つか、既にディスカウント状態にある既存の欧州上場ファンドを購入する方が賢明である。
- 台湾・韓国の半導体メーカー: 戦争の長期化による中東からの原油や原材料(ヘリウム、臭素など)の供給不足リスクにさらされている。
- 購入・選好推奨:
- 固定収益(債券):
- インフレ高止まりによりFRBが利下げを行う余地はほとんどなく、今年いっぱい金利が据え置かれれば、住宅ローン金利や各種ローン金利も高止まりする。インフレ期待の高まりで10年物米国債利回りが上昇するリスクがある。
- 代替資産/その他:
- 原油: イランのホルムズ海峡封鎖により供給が日量約2000万バレル減少し、価格が1バレル100ドルを超えて急騰している。圧倒的な軍事力をもってしても機雷やミサイルの脅威を取り除くのは困難であり、速やかな停戦がない限り封鎖解除には数週間から数カ月を要する。

Thoughts on the Market Podcast


Guide to the Markets by JP Morgan

Long-Term Capital Market Assumptions-「LTCMA」 by JP Morgan

今週の動き






シタデルの創業者ケン・グリフィン氏は1987年、ハーバード大学在学中に、母親や祖母、その他2人の投資家から集めた26万5000ドルを元手に転換社債の取引を始めた。レイ・ダリオ氏はニューヨークの自宅アパートの一室でブリッジウォーター・アソシエーツを創業した。
ポイント72のスティーブ・コーエン氏は、父親が購読していたニューヨーク・ポストに掲載された銘柄を追うことから投資を始め、その後は取引価格や出来高の分析から相場の変動を予測する手法を独学で身につけた。
3人はいずれも、史上屈指の高収益を誇るヘッジファンドを率いるに至った。
だが、アルフォンソ・ペッカティエロ氏が昨年、自身のマクロ系ヘッジファンドの立ち上げを目指していた際、マルチ戦略ファンド大手2社から侮辱的な反応を受けた。「最初の売り込みは決まって『そんなミッキーマウスのような小さなファンドで何をしているんだ』というものだった」という。同氏はかつてINGグループで200億ドル規模の投資ポートフォリオを運用していた。
両社は3億ドルの運用資金に加え、チーム構築のための資金提供も提示した。ただし条件として、厳格なストップロスが課され、短期的に損失が出た場合にはポジションの解消を余儀なくされる可能性があった。また、ソーシャルメディアでの発信を縮小し、2022年以降育ててきた調査会社マクロ・コンパスを閉鎖することも求められた。
「断った。自分自身の会社で、自分の投資家、自分の戦略、自分の時間軸、そして自分の望む場所にいるチームで運用したい」とペッカティエロ氏。現在の運用資産は依然として3億ドルを大きく下回るが、複数のマルチ戦略ファンドと「セパレートリー・マネージド・アカウント(SMA)」と呼ばれる一任勘定で資金を運用する協議を同氏は進めている。
1.8兆ドル規模のプライベートクレジット市場では、複数の破綻事例や、グローバル・プライベートクレジットファンドの一部で起きている償還請求を受け、融資の質や、人工知能(AI)の進展に伴う変革に直面するソフトウエア業界へのエクスポージャーに対する投資家の懸念が高まっている。金融引き締めやずさんな融資審査も、こうしたぜい弱性につながった。
カルイ氏は「こうした全てから得られる大きな教訓は、投資家の立場からすれば、これはある種の目覚めの瞬間だということだ」として、「人々は、資本をどこに配分するか、どの程度の流動性リスクを負っているか、そして、それに見合った十分なリターンを得ているかについて、もう少し慎重に考えるようになるだろう」と語った。
カルイ氏は、投資家がマルチアセット投資において「どの程度の非流動性リスクを負っているのか、根本的な見直しが行われる」との予想を示した。同氏は今年初めにピムコに入社する前、ゴールドマン・サックス・グループのチーフ・クレジット・ストラテジストを務めていた。
JPモルガン・チェースは特定のローン債券の評価を引き下げ、プライベートクレジットファンド向けの融資を一部制限している。米投資顧問クリフウォーターは330億ドルの主力ファンドで解約請求を受けており、ブラックロックは主力ファンドからの資金引き出しに上限を設けた。ブラックストーンは、ファンドから過去最高の7.9%の持ち分払い戻しに対応した。
カルイ氏は、銀行とオルタナティブ資産運用会社の相互依存関係が、10年前よりはるかに強まっていると指摘した。連邦準備制度(FRB)のデータにその傾向が表れており、銀行による非預金金融機関向けの、未実行の案件を含む融資は、2015年の3000億ドル強から、1.9兆ドルに急増している。極端なシナリオでは、流動性への需要が銀行に圧力となりかねない。
カルイ氏は、プライベートクレジットにはなお魅力的な機会があると述べ、資産担保型ファイナンスを例に挙げた。企業の収益や景気循環に左右されにくく、キャッシュフローがより予測しやすいという。資産担保型ファイナンスは、投資家がより安定的で担保付きの収益を求める中、特に設備ファイナンスやAI関連のインフラ分野などで、近年勢いを増している。
カルイ氏は「資産配分を行う者の視点からすれば、高値圏にある分野を追いかけるのを避け、企業の収益サイクルとの相関が低いリスクを考慮することが極めて重要だ」と強調した。




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