GIC Weekly by Morgan Stanley
📉 投資戦略の推奨事項
- 基本方針:
- 投資は、過去15年間の「パッシブ、米国グロースのみ、プライベート資産に甘いポートフォリオ」から、よりアクティブ運用され、マルチアセットで、グローバルかつバリュー志向のポートフォリオへと移行すべきである。
- より包括的なセクター、アセットクラス、および地域分散が求められる。
- 日々の流動性(デイリー・リクイディティ)がプレミアムを取り戻す。
- セクター、アセットクラス、地域全体でより包括的な分散を求める。
- 株式/エクイティ:
- 推奨されるポジショニング(2026年〜2030年):
- アクティブマネージャーをオーバーウェイトする。
- バリューをオーバーウェイトする。
- 大型優良株(ラージキャップ・クオリティ)をオーバーウェイトする。
- セクターでは、金融、エネルギー、ヘルスケアをオーバーウェイトする。
- 米国株式の評価倍率は正常化する(フォワードPERは17倍から18倍のレンジ)と予測され、アクティブ運用が有利になる。
- S&P 500のリターンは長期平均を下回り、平均で年率5%~6%にとどまる見込み。
- 国際株式はすべてオーバーウェイトする(特にエマージング・マーケット (EM))。
- インド、日本、ブラジル、メキシコにおいて、非常に魅力的な機会が生まれる可能性がある。
- エネルギー、素材、資本財、オートメーションなどの景気循環産業にも魅力的な機会が生まれる可能性がある。
- 推奨されるポジショニング(2026年〜2030年):
- 固定収益(債券):
- 引き続きクレジット(社債)を支持する(地方債を含む)。
- IGクレジット(投資適格クレジット)をオーバーウェイトする。
- 米国債については、ベンチマークを下回るデュレーションを支持する。
- ポートフォリオの分散が重要となる。これは株式と債券の間の正の相関が持続するためである。
- 代替資産/その他:
- 実物資産(Real Assets)をオーバーウェイトする。
- ゴールド(金)、居住用不動産、インフラは、インフレリスクが持続するため、引き続きアウトパフォームするはずである。
- 市場の相関関係の不安定さ、構造的に高い金利、市場のボラティリティは、ヘッジファンドの配分を支持する(オーバーウェイト推奨)。
- プライベート市場の非流動性プレミアムは正常化し、リターンは年率20%ではなく約10%に留まると予想される。
- プライベート資産のポジショニングはマーケットウェイト(市場並み)に留まる。
Thoughts on the Market Podcast


Guide to the Markets by JP Morgan

Long-Term Capital Market Assumptions-「LTCMA」 by JP Morgan

今週の動き









投資銀行のピッチデック作成やデューデリジェンスを AI エージェントで自動化する Model ML が FT Partners 主導で7,500万ドルの Series A を調達、累計8,700万ドルに
2025年初頭のシード調達からわずか半年程度で大型 Series A を実施、UBS、HSBC、Big 4など大手金融機関が顧客に
金融サービス向け生成 AI 市場は2023年の約16.7億ドルから2030年に約160億ドルへ成長見込み——CAGR 約39%(Grand View Research)
11月24日、ニューヨークとロンドンに拠点を置く Model ML は、FT Partners が主導する Series A ラウンドで7,500万ドルを調達したと発表した。Y Combinator、QED Investors、13Books、Latitude、LocalGlobe が参加し、累計調達額は8,700万ドルとなった。
Model ML が自動化するのは、投資銀行のアナリストやアソシエイトが日常的に行う「ドキュメント作成業務」だ。ピッチデック、インベストメントメモ、デューデリジェンス報告書といった資料は、複数のデータソースから情報を集め、Word・Excel・PowerPoint に整形して仕上げる必要がある。この作業は非常に時間がかかり、ミスも発生しやすい。
同社 CEO の Chaz Englander 氏は「高リスクなビジネスはドキュメントで回っている。アナリストは週末を使って数字の照合やスライドの書式調整に追われる。それでも100ページの資料すべてのデータを確認するのは現実的に不可能で、ミスは避けられない」と説明している。
Model ML の AI エージェントは、メール、CRM、ファイリングシステム、第三者データベースなど複数のソースからデータを取得し、過去のフォーマットを踏襲した「そのままクライアントに提出できる」ドキュメントを自動生成する。単なるチャットボットやデータ検索にとどまらず、スキーマを解釈し、必要なコードを書いてデータを変換し、検証機能付きで完成品を出力する点が特徴だ。
同社が強調するのは、AI による「検証」の能力だ。インタビューを実施した EU-Startups によると、McKinsey と Bain のコンサルタントを対象に Word と PowerPoint の実際のアウトプットを検証するテストを実施したところ、コンサルタントが1時間以上かけた作業を Model ML は3分未満で完了したそうだ。単に20倍速いだけでなく、精度でも上回ったという。
こうした能力を背景に、同社は1年足らずで UBS、HSBC、OpenAI、Big 4(四大会計事務所)のうち2社、プライベートエクイティの Three Hills Capital など大手顧客を獲得した。
Three Hills Capital の Fiona Satchell シニアマネージングディレクターは「月次ポートフォリオ報告の更新から投資メモの初稿作成まで、重要なプロセスが効率化された。反復的な手作業がなくなり、付加価値の高い分析に時間を使えるようになった」と述べている。
金融サービス向けの生成 AI 市場は急拡大している。Grand View Research によると、2023年の市場規模は約16.7億ドルで、2030年には160億ドルに達する見込み(CAGR 39.1%)。また、エージェント型 AI に限定した金融サービス市場は、Mordor Intelligence の推計で2025年の55億ドルから2030年には332億ドルへ拡大するとされ、CAGR は43%を超える。
こうした成長を背景に、投資銀行向け AI スタートアップへの資金流入が加速している。Axios Pro によると、同分野では Juniper Square が11億ドル評価で1.3億ドルの Series D を調達、Rogo が5,000万ドルの Series B を実施するなど、複数の大型案件が相次いでいる。M&A プラットフォームの Datasite が AI スタートアップ Blueflame AI や Grata を買収するなど、業界再編の動きも出てきた。
NeurIPS2025 3日目午前の基調講演StanfordのYejin Choi教授の「The Art of (Artificial) Reasoning」が非常に示唆に富んでいた。 「力任せのスケーリング(Brute-force scaling)の時代は終わり、Smarter scalingへ」という提言。#NeurIPS2025 #AI #LLM
- Effortful RL: 1.5Bの小規模モデルでも、ハイパラ(クリッピング等)を極めれば巨大モデルに肉薄できる 。
2.Prismatic Synthesis: 教師モデルは小さくても(R1 32B)、勾配空間での「多様性」でデータをフィルタリングすればSOTAを超えられる 。
3.RL as Pre-training: 事前学習段階から「思考(Thought)」に報酬を与えることで、推論能力の土台を作る 。
計算量よりも「データの質(勾配多様性)」と「学習の工夫」で戦う、AI民主化への希望を感じる内容でした。

経営コンサルティングファームのBoston Consulting Group(BCG)とMIT Sloan Management Review(MIT SMR)はAIによるビジネスへの影響に関するレポート「エージェント型エンタープライズの台頭:リーダーはいかにしてAIの新時代を乗りこなすべきか(The Emerging Agentic Enterprise: How Leaders Must Navigate a New Age of AI)」を共同で発表した。12月2日に発表された。
調査によると、従来型AIの導入率は過去8年間で72%、生成AIは3年で70%だった一方、AIエージェントは登場からわずか2年ですでに35%の企業が導入を進め、44%の企業が近く導入を計画していることがわかった。
また、複数の工程を自ら実行し、状況に合わせて学習・適応するAIエージェントを、回答者の76%が仕事で「道具よりも同僚に近い存在」と認識していることがわかった。
ほかにも、AIエージェントを先進的に導入している企業(先進企業)で、以下のような調査結果が得られている。
66%の先進企業が「今後自社の業務体制に変化が生じる」と予測(AIエージェントの導入予定がない企業では42%)
58%の先進企業が「今後3年以内に自社のガバナンス構造に変化が生じる」と予測
43%の先進企業が「スペシャリスト採用よりジェネラリスト採用を重視するようになる」と回答
45%の先進企業が「中間管理職層の削減」を、29%が「新入社員向けの職種の減少」を見込む
先進企業で働く従業員の95%が「AIの導入が仕事への満足度に良い影響を与えている」と回答
73%の先進企業が「AIエージェントの活用によって組織としての競争優位性が高まる」と回答(AIエージェントの導入予定がない企業では53%)
先進企業の従業員の76%が「AIエージェントを使うことで、同僚との差別化にもつながる」と回答(AIエージェントの導入予定がない企業では49%)
両者は、ビジネス戦略について毎年グローバルに調査しており、9回目となる今回は、世界116カ国21業界の企業や組織に属する2102人へのアンケート調査、企業でAIに関わる取り組みを主導する経営幹部11人へのインタビューを2025年春に実施した。






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