機関投資家動向
米ジェーン・ストリート・グループが10億ドル(約1570億円)を稼いだとされるインドのオプション市場が世界の金融業界から注目されているが、多くのトレーディング会社は比較的シンプルな戦略を採用している。ボラティリティーに対するショート(売り持ち)だ。
高速取引のトレーダーがオプションを売る一方で、ロング(買い持ち)オンリーのファンドや個人投資家は投機や相場急落への備えとしてオプションを買うことも多い。
ヘッジファンドはメガキャップのテクノロジー株の保有を減らす一方で、人工知能(AI)ブームの恩恵を受け得る幅広い企業に賭けている。ゴールドマン・サックス・グループのストラテジストらが指摘した。
ストラテジストのベン・スナイダー氏の21日付リポートでによると、ファンドは1-3月(第1四半期)に、エヌビディア、グーグルの親会社アルファベット、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、フェイスブックのオーナー、メタ・プラットフォームズのポジションを縮小した。アップルのポジションは積み増したという。
「AIトレードのさまざまなフェーズの中で、AIインフラ投資へのエクスポージャーを持つ企業が最近最も好調で、われわれの顧客との会話で最も関心を集めている」とスナイダー氏は説明した。
同社シニアポートフォリオマネジャーのスリモン氏は21日にブルームバーグテレビジョンで、株式への期待が低い一方、利回り5-6%の米財務省短期証券(TB)が選好されている状況は、市場がいまだに現行サイクル中の「不安」部分にあることを示唆すると分析。
「強気相場における初期の兆候だ」とし、「市場は強気相場の後期にはより高いリターンを期待する」と述べた。
日本企業の自社株買いはここまで過去最高ペースで推移し、株式市場で古くから伝わる相場格言「セル・イン・メイ(5月に売れ)」を封じ、日本株を下支えしている。6月後半の株主総会に向け企業が一段と自社株買いを加速させれば、新たな相場の支援材料になる可能性がある。
日本株市場では、自社株買いを行う企業は今や重要な買い手だ。大和証券によると、日本銀行が21年度に指数連動型上場投資信託(ETF)の買い入れ額を減らして以降、企業が実質的に日本株最大の買い主体となっている。阿部健児チーフストラテジストは、企業は「最も安定的な買い手でもあり、日本株の底堅さに寄与する」とみている。
「AIをテーマとした取引の勢いがまだ続いており、マクロ的な仮説も維持されていることから、今後も最高値更新が続く可能性が高い」と、米国マーケットインテリジェンス責任者アンドルー・タイラー氏らのチームがリポートで指摘した。タイラー氏は米成長率がトレンド並みかそれ以上であること、企業の好業績、米金融政策の現状維持が強気相場を後押しすると予想している。
米アルファベットと米メタ・プラットフォームズは、人工知能(AI)映像生成ソフトウエアでの使用に向け、ハリウッドの大手映画製作会社とコンテンツのライセンス供与について協議している。複数の関係者が明らかにした。
両社は文章入力でリアルなシーンを作り出す技術を開発しており、映画製作会社と何らかの形で提携するために数千万ドルを提示している。マイクロソフトが支援するオープンAIも同様の話し合いを行っている。アルファベットとメタ、オープンAIの3社は、協議についてコメントを控えた。
不動産ウェブサイト運営大手ジロー・グループのストリートイージーがまとめたリポートによると、ニューヨーカーの平均所得は昨年で8万9000ドル(約1390万円)弱であり、年収の30%を超えずに捻出できる住居費は、月2216ドルまでとされる。初月の家賃や敷金、仲介手数料を含む平均的な初期費用(昨年は1万454ドル)を考慮すると、平均的な労働者が無理をせずに支払える家賃の住宅は、市場に出ている物件のうち4.4%しかない。
バークレイズのCMBSストラテジスト、リア・オーバービー氏は「トリプルA格付けの商業用不動産担保証券で初の損失が出たことで、他の最上位債券にも痛みが広がるのは間違いないだろう」と指摘。「こうした損失は、商業用不動産市場が最悪期に突入し始めている兆候かもしれない」と述べた。
フレディマックのチーフエコノミスト、サム・ケイター氏は発表文で、「供給の増加と最近の金利の低下傾向は住宅市場にとって心強い兆候だ」と指摘した。
ジェイン・グローバルは約50億ドル(約7800億円)の資金調達を目指しているが、その15-20%を商品に振り向ける予定だと、事情に詳しい関係者が非公開情報を話しているとして匿名を条件に語った。同ファンドは7月に運用開始の予定。商品デリバティブの取引を行った後で現物取引にも手を広げるという。
巨大ヘッジファンドのミレニアム・マネジメントは、好敵手の1社であるシタデルがコモディティー取引からうらやましいほどの利益を上げるのを何年も見てきた。
シタデルは2022年には約80億ドル(約1兆2500億円)を稼いだが、同社に対抗したいミレニアムはゴールドマン・サックス・グループの花形エネルギートレーダーだったアンソニー・ディウェル氏を採用し、商品部門の責任者に昨年起用した。
しかし、コモディティーのパフォーマンスに関してはシタデルが抜きんでている。22年に主に電力と天然ガスの売買で記録的なパフォーマンスを上げた後、昨年はコモディティー事業で40億ドル以上を稼いだ。
シタデルの成功は、他のヘッジファンドが現物サイドに足を踏み入れるきっかけとなった。バリアズニー・アセット・マネジメントは、デンマークでガスと電力の現物取引を行う部門を設けようとしている。このような事業をスタートさせるには、規制当局の追加認可の取得から、パイプラインスペースの確保や貯蔵タンクなどの資産の購入で多額の費用がかかる。
投資ファンドなどの専門的なノンバンク金融機関が企業の借り手に融資を行うプライベートクレジット市場は、昨年、資産および出資約束金が世界全体で2.1兆ドルを超えた。この約4分の3が米国におけるものであり、米国ではその市場シェアが、シンジケートローンや高利回り債のシェアに近づきつつある。
この市場はおよそ30年前に、市中銀行にとって大き過ぎるかリスクが高すぎる企業や、公開市場で借入をするには小さ過ぎる企業のための資金源として出現した。スピード、柔軟性、配慮といった特徴が借り手にとって価値があることが証明されるにつれ、過去数年間でこの市場が急速に成長してきた。年金基金や保険会社などの機関投資家が、流動性は乏しくとも、より高いリターンと低いボラティリティが魅力のファンドに熱心に投資をしてきた。
2600億豪ドル(約27兆1000億円)規模のオーストラリア2位の年金基金、オーストラリアン・リタイアメント・トラスト(ART)は、今後1年間にプライベートクレジットへの配分を引き上げる方針だ。欧州や北米でチャンスを探している。
米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントは巨額のマージンコールに追い詰められていた2021年3月、ウォール街各社の取引口座から余剰資金を引き出し始めた。同社は当時、ゴールドマン・サックス・グループに約4億7000万ドル(約740億円)を預けていた。
しかしアルケゴスのスタッフは資金を引き出すのではなく、誤ってゴールドマンに送金してしまった。ゴールドマンは直ちには返金に応じなかった。資金確保に奔走していたアルケゴスは、このミスで10億ドル近い不足に陥り、経営破綻に至った。
ブルームバーグ・エコノミクスのチーフ・アジアエコノミスト、チャン・シュウ氏は19日のリポートで、「この規模の介入はそれだけでは住宅供給に多少の効果をもたらすほど大きくないが、信頼感を高め市場を安定させるのに役立つ」と指摘した。
中国国民に預金から投資に資金を移すよう促す政府の取り組みが大きなインパクトをもたらしており、そうした資金の大半が国債などの債券と「理財商品」と呼ばれる資産運用商品に向かっている。
中国の預金総額は4月に1.3%減った。額にして3兆9000億元(約85兆円)の減少だ。当局は先月、銀行が企業に優遇預金金利を提供することを禁じた。高めの預金金利を提供する銀行に資金を預ける一方で、低めの資金を借り入れる「裁定取引」をしている企業に対する締め付けだ。
だが、中信証券の明明チーフエコノミストは、「裁定借り入れの終わりといった要因が預金再配分を大きくけん引し、この動きは続くだろう。消費と投資に向け人々は貯蓄を取り崩しており、これは政策当局にとって喜ばしいことだ」と述べた。
中信の分析によると、理財商品の残高は4月に2兆9500億元増え、債券資産が最大の伸びを示した。ブルームバーグがまとめたデータでは、中国債に連動する上場投資信託(ETF)が同月、4億2800万ドル(約672億円)を集め、昨年12月以来の大きな資金流入となった。
預金からシフトした資金の少なくとも一部が、安全性が高いとされる高配当株へと流れている兆しもある。上海証券取引所の配当指数は今年16%上昇し、先月には2015年以来の高水準に達した。
投資家は中国人民銀行(中央銀行)が追加の金融緩和を実施し、政府の支援策が景気回復を後押しすると想定。だが、不透明な経済見通しに対する懸念も続いており、成長株よりも配当株が好まれている。
とりわけ日本の若年の富裕層は、市場の拡大を担う潜在投資家として注目を集める。リポートでは「このグループが資産を増やし、ポートフォリオのニーズがより洗練されるにつれ、ミューチュアル・ファンドへの資金流入が長期的に大きくなる可能性があるだろう」と指摘している。
AIについてアードーズ氏は、同氏の部門において時間節約と収入増加という2点で寄与していると説明。バンカーはAI活用により、顧客と電話でつながっている間に投資先候補に関する特定の情報を引き出せるようになっており、パソコン上で「探し回る」時間が減っていると指摘。また反復可能な機械的作業が排除され、「達成感のない仕事」も減らしているという。既に1日当たり2-4時間節約できているアナリストもいると、アードーズ氏は述べた。
21日に発表されたFRBの「家計経済と意思決定に関する調査(SHED)」によると、2023年10月時点で成人の約72%が「少なくとも経済的に問題ない」と回答。22年の73%からほとんど変化はなかったが、21年の78%からは低下した。
予期せぬ400ドル(約6万2500円)の出費に対し現金またはそれに相当するもので賄えると答えた割合も前年とほぼ変わらずで、全体の約3分の2だった。
今回の変更は、米証券業界の主要な規制機関である米金融取引業規制機構(FINRA)が、今後数週間以内に職場監視規則をパンデミック前の方式に戻す予定を受けたものだ。
FINRAの規則変更は、多くの銀行トレーダーや一部のディールメーカーにとってリモート勤務の終わりを意味する可能性がある。FINRAの枠組みの下でリモート勤務を許可することは手間やコストに見合わないと管理職が判断するからで、ドイツ銀行などは、自社の方針変更を検討する中で負担の大きさを見極めている。
週5日出勤の義務化についてFINRAの規則変更のせいにする管理職もいる中、規制当局はどちらかと言えば柔軟性を高める措置だと反論している。
フィデリティ・インベストメンツによると、1-3月(第1四半期)に7桁の残高を持つ401(k)口座は過去最多の48万5000口座に達した。
2023年の米労働省労働統計局(BLS)のデータによると、全労働者の40%近くが職場の退職金制度にすら加入していない。また、退職者の約40%は社会保障収入だけに頼っている。
PE業界の監督厳格化を促すロビー団体「金融改革のためのアメリカンズ」は昨年の報告書で、特定の会社名を挙げることなく、「PE投資会社の中には保険ポートフォリオを貯金箱として効果的に利用しているところもある」が、「こういった高リスク投資は保険加入者や経済を危うくし得る」と警告した。
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