機関投資家動向
ヘッジファンド運営会社ブリッジウォーター・アソシエーツの旗艦ファンド「ピュア・アルファII」は2023年のリターンがマイナス7.6%となった。事情に詳しい関係者が明らかにした。損失は23年最後の2カ月に発生したという。
クリフ・アスネス氏率いるAQRキャピタル・マネジメントでは、運用実績が同社最長のマルチ戦略ファンドで2023年も2桁台のリターンを記録した。バリュー戦略が奏功した。
同社のアブソリュート・リターン戦略の運用成績は昨年18.5%だった。22年は43.5%の記録的なリターンを上げていた。関係者が匿名を条件に明らかにした。
米ヘッジファンド大手タイガー・グローバル・マネジメントは、28.5%の利益で2023年を終えたと複数の関係者が明らかにした。
テッパー氏が率いる170億ドル規模のヘッジファンド、アパルーサ・マネジメントは人工知能(AI)ブームに火が付こうとしていたタイミングでハイテク株の投資を強化した。これが勝因の一つとなってアパルーサは20%のリターンを上げ、ブルームバーグ・ビリオネア指数によるとテッパー氏の純資産は194億ドルに達した。
マクロトレーダー、サイド・ハイダー氏のヘッジファンドに資金を預けた顧客は2023年、大きな損失に見舞われた。債券市場でのレバレッジ取引が裏目となった。
ブルームバーグ・ニュースが確認した投資レターによると、同氏のファンド「ハイダー・ジュピター」は昨年の運用成績がマイナス43.5%と、20年余り前のトレーディング開始後で最悪の年間損失を記録。
22年には過去最高のプラス193%のリターンを得ていたが、わずか1年で暗転し、ハイダー氏はポートフォリオの大幅変更を余儀なくされた。
ハイダー氏は先月、「日本を除く世界中の経済データがさらに弱くなっていることから、グローバルな政策緩和期に入ったようだ」と顧客に説明。「債券と株式の両方に支援的な環境となりそうだが、一方でコモディティーとドルはさらに弱含むとみられる」との見解を示した。
キャシー・ウッド氏は、昨年の大半を通じて売っていた電気自動車(EV)メーカー、テスラ株を買い始めた。ウォール街の同社に対する見通しが急速に暗くなっている時期に買いに転じた。
メイヨー氏は既にシティを大手銀行株の2024年トップピックに挙げ、自身の選好銘柄としてJPモルガン・チェースと入れ替えていた。しかし同氏はさらに踏み込んで、シティが「変貌」を遂げるのに伴い株価は今後3年で2倍超になるとの見通しを示した。
米クオンツヘッジファンド運営会社DEショー(運用資産600億ドル=約8兆5000億円)で最大規模のヘッジファンドは2023年、10%をやや下回るリターンとなった。
事情に詳しい関係者によれば、旗艦ファンド「コンポジット」のリターンは9.6%だった。同ファンドはさまざまな資産クラスと地域に投資する。
コンポジットの年間リターンがマイナスとなったのは、2001年の立ち上げ以来1度のみ。過去22年のうち17年で2桁のプラスリターンを上げている。
中国株の60%近い下げは買いシグナルだと、一部の投資家は受け止めている。
最新のブルームバーグ「マーケッツ・ライブ(MLIV)パルス」調査では、回答者417人のほぼ3分の1が今後1年間に中国投資を増やすと答えている。2023年8月の同様の調査ではわずか19%だった。現在、中国株の保有縮小を見込んでいるのは回答者の5分の1に過ぎない。
米国債市場は2024年最初の取引日となった2日、利回りが大幅に上昇し、世界的な債券売りの流れに加わる格好となった。欧米などの主要中央銀行が今年、大幅な利下げに踏み切るとの見方が後退している。
米10年債利回りは一時9ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して3.97%を付けた。ドイツ10年債利回りも同じく一時9bp上昇して2.11%と、この2週間余りで最も高い水準を付けた。英10年債利回りは一時15bp上昇した。
米株売りと米国債および中国株の買いという三つが混然一体となって、ウォール街のコンセンサスを形成していた。
しかしそのコンセンサスは、またしても大間違いだった。上がるはずだったものは下げるか横ばいになり、下げるはずだったものが上がった。S&P500種指数は20%余り、ナスダック100指数も50%余りそれぞれ値上がりし、ドットコム・バブル以降で最大の年間上昇率となった。
新型コロナのパンデミック(世界的大流行)で抑えきれなくなった経済の力、主として成長とインフレの両方を加速させた旺盛な消費需要が、金融界にとどまらず内外の政策決定分野のエリートも困惑させ続けている。
ラッセル・インベストメントのチーフ投資ストラテジスト、アンドルー・ピース氏は「23年ほどのコンセンサスの間違いは経験がない。セルサイドは誰もが痛い目に遭った」と指摘した。
米ヘッジファンド大手タイガー・グローバル・マネジメントの創業者チェース・コールマン氏は、スコット・シュライファー氏がプライベート投資の責任者を降りる数カ月前からすでに、340億ドル(約4兆8200億円)規模のベンチャーキャピタル部門の操縦かんを握り始めていた。
ベンチャー・キャピタル・ブーム絶頂期に調達した200億ドル近い資金を急いで投入した結果、タイガーは2022年にポートフォリオ評価額の33%引き下げを余儀なくされ、23年にはさらに6%の評価損を計上した。タイガーを制御不能にしたのはコールマン氏だったのかという疑問が沸き始めていた11月、同社はシュライファー氏の降板を発表。2001年の創業以来で最も重要な経営陣の交代となった。
ダイナミック・ベータ・インベストメンツの共同創業者アンドルー・ビア氏は「タイガーが基本的に目指していたのは、波乱の多いハイテク業界にインデックス的なエクスポージャーを提供することだった」と説明。「皮肉なことにその積極投資がバブルを助長し、結果的に損失を招いたのかもしれない」と述べた。
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