機関投資家動向20230813-19(随時更新)
米資産家ウォーレン・バフェット氏率いる投資保険会社バークシャー・ハサウェイはアクティビジョン・ブリザード株の保有を4-6月(第2四半期)に70%削減した。住宅市場への投資も明らかにし、住宅建設のDRホートンとNVR、レナーの株式を新たに保有したことを開示した。また、保険ブローカーのマーシュ・アンド・マクレナンの保有株を売却し、シェブロンなどの株保有も減らした。
バフェット氏(92)は買収が発表された後、合併アービトラージ(裁定取引)としてアクティビジョン・ブリザード株に投資したが、その後、株保有を減らしている。
ブルームバーグの集計データによると、先週は「iシェアーズ20年超債券ETF」(ティッカー:TLT)から18億ドル(約2600億円)余りが流出し、2020年3月以降で最高を記録。ファンドの価格は前週に3%を上回る下落となり、11日までの5日間でさらに1.2%値下がりした。
クレジットサイツのクレジット戦略グローバル責任者ウィニー・サイザー氏は、政府が財政赤字増大に対処する中で供給増加が見込まれているだけに、投資家は資金を自由にするためTLTのような商品から手を引いている可能性があると分析した。
サイザー氏は「フィッチの格下げや予想を上回る規模の米財務省の四半期定例入札、日本銀行の発表が重なり、利回りに対する弱気な見方が強まったことへの遅れた反応である可能性もある」と指摘。さらに、「流動性が総じて低く、季節性も作用しているのではないかと思う。8月と9月、10月は季節的に利回りが(平均5-7ベーシスポイント)高くなる傾向があることが歴史的に分かっている」と付け加えた。
海外のヘッジファンドは4-6月期に日本の金融やテクノロジー株を売却していた。米国証券取引委員会(SEC)に提出された最新の四半期報告書で明らかになった。
株式保有報告書「フォーム13F」のデータを基にしたブルームバーグの分析によると、海外ヘッジファンドは日本の金融株の持ち高を約50億ドル(約7300億円)減らした。ソニーグループやレーザーテックなどテクノロジー株の保有も約24億ドル減少。一方、医薬品大手の武田薬品工業株は買い増した。
日本株に投資する海外ヘッジファンドの中で、株式総資産額が最も大きいミレニアム・マネジメントは三菱UFJフィナンシャル・グループやホンダの米預託証券(ADR)持ち高を減らした半面、三井住友フィナンシャルグループやオリックスは買い増した。
日本の金融株を売却した海外ヘッジファンドが多い中、対照的な動きを見せたのが資産家のケン・グリフィン氏が率いる米シタデルだ。同社は三井住友Fやみずほフィナンシャルグループ、野村ホールディングスの持ち高を増やした。
米国の成長鈍化を投資家が認識するにつれ、株式相場の上昇は一服し、季節要因が売り圧力を強める可能性が高い。マクロヘッジファンドのバンテージ・ポイント・アセット・マネジメントはこのようにみている。
同社のニコラス・フェレス最高投資責任者(CIO)は、貸し出し基準の厳格化と労働市場でスラック(たるみ)が生じ始めている兆候を挙げ、米経済がハードランディングに向かっていることが示唆されると指摘。同氏は旗艦ファンドのネットロングエクスポージャーを7月に10%としたが、これは「事実上中立」だと説明した。
バンテージ・ポイントはリスク市場の下落を見込み、中国株など大きく売られる資産への投資を膨らまる機会が生じるとみている。不動産開発業者を避けながら、百度(バイドゥ)やJDドットコム(京東)といった大手テクノロジー企業株を買うという、かつて成功を収めたトレードを再現することも計画している。
インベスコのグローバルマーケット担当チーフストラテジストのクリスティナ・フーパー氏もソフトランディングのシナリオに懐疑的で、リスク資産の下落に備えている。同氏は先週のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「株式に関しては、米国や他の先進国市場に短期的に逆風が吹く可能性があると考えている。米連邦準備制度がこれほど積極的な引き締めを行い、ダメージがないはずはない。だから私は多難なランディングを予想している」と語った。
16日に公表された7月連邦公開市場委員会(FOMC、7月25ー26日開催)の議事要旨によると、資産バリュエーションの圧力は「留意に値する」とスタッフは判断。5月にFOMCに提出された前回のスタッフリポートでは、このリスクは「穏やか」と表現されていた。
FOMC議事要旨によると、FRBスタッフは7月の金融情勢について、株価指数の上昇と社債スプレッドの縮小を指摘。全体として、金融安定リスクは留意に値するとした。
他の要因としては住宅価格と商業用不動産価格を挙げ、「ファンダメンタルズに比べて高い」と指摘。議事要旨によると、住宅価格は再び上昇を始めており、価格対家賃比は住宅ローン市場バブル崩壊前の2000年代半ばの水準に近い。
商業用不動産価格はすでに下落しているが、在宅勤務の増加により、今後さらに顕著に下落する可能性があるとスタッフは示唆した。
規制当局への届け出によると、オルタナティブ運用に重点を置くエリオット氏の会社アンリミテッドは、株式ロングショート、グローバル・マクロ、低ベータといった戦略のリターン複製を目的としたETF8本の設定を計画している。プライベートファンドが課す手数料よりも低いコストで、より洗練された戦略へのアクセスを提供することが目的だ。
ブリッジウォーターに10年以上在籍したエリオット氏は昨年、機械学習を利用して複数の戦略を追求する約4000万ドル(約58億5600万円)規模の「アンリミテッドHFNDマルチ戦略リターン・トラッカーETF」(ティッカー:HFND)を新設した。
資産家ケン・グリフィン氏が率いるシタデルでは、マルチストラテジーの旗艦ファンド「ウェリントン」の年初来の運用成績がプラス約9%となった。
金融危機以降、プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社が借り入れる相手をコントロールするために使ってきた承認された貸し手の一覧である「ホワイトリスト」に、かつては日和見主義的過ぎると見なされ除外された投資家グループであるヘッジファンドが名を連ね始めている。KKRのような最も制限が厳しい会社でさえ、一部のファンドを受け入れるためにリストを見直している。
資産運用会社の米アポロ・グローバル・マネジメントは厳しい高コスト環境で資金調達を目指すプライベート・エクイティー(PE、未公開株)投資会社向けの非伝統的な融資を強化しており、40億ドル(約5800億円)を超える「NAVローン」契約を結ぶ構えだ。
2021年遅くにソフトバンク・ビジョン・ファンド2の保有資産を裏付けにソフトバンクグループに対してアポロが行った40億ドルの融資は、NAVファイナンスを求める企業からの問い合わせに拍車をかけたと関係者の1人は話した。
タイガー・グローバル・マネジメントやマーベリック・キャピタルなど「タイガー・カブ」として知られるヘッジファンド運用会社は、4-6月(第2四半期)にハイテク株の保有を縮小した。同セクターに大量に資金を投じた他の大手運用会社とは異なる方針を採った。
チェース・コールマン氏率いるタイガー・グローバルとリー・エインズリー氏率いるマーベリックは、ハイテク株の保有をそれぞれ5.2%、3.5%縮小。スティーブ・マンデル氏率いるローン・パイン・キャピタルは、ハイテク株のポジションを2.4%縮小した。長期にわたりハイテク株に強気だったフィリップ・ラフォント氏率いるコーチュー・マネジメントは、エヌビディア、メタ・プラットフォームズ、テスラ、ネットフリックスなどの上位保有銘柄を減らした。
今回のシフトは、4-6月のハイテク株上昇を受けたポートフォリオのリバランスや利益確定の動きの可能性がある。
ヘッジファンドはテクノロジーセクターの好調と人工知能(AI)を巡る熱狂に着目し、4-6月(第2四半期)に一部の大型ハイテク株を購入したことが、米証券取引委員会(SEC)に提出された最新の四半期報告書で明らかになった。
ブルームバーグが株式保有報告書「フォーム13F」のデータを基に分析したところでは、機関投資家は4-6月期にメタ・プラットフォームズの株式570万株を67億ドル(約9750億円)で買い増したほか、マイクロソフトとアップルのポジションも拡大した。メタのポジションは時価総額ベースで単一銘柄としては最大の伸び。AI分野への進出で注目されるエヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)なども、ヘッジファンドや有力投資家の人気を集めた。
インテルは4100万株の売り越しで、最も大きなポジション減となった。一部の投資家は、同社製品がAIの技術ニーズに適していないとして、同社が取り残される可能性を懸念している。
機関投資家によるアリババグループへの投資額も減少。著名投資家マイケル・バーリ氏率いるサイオン・アセット・マネジメントは、アリババ株の保有を倍増させたわずか数カ月後に、同社への投資から撤退した。
14日公表された米証券取引委員会(SEC)への提出書類によると、バーリ氏はS&P500とナスダック100の下落に賭けている。バーリ氏率いるファンド「サイオン・アセット・マネジメント」は、S&P500に連動する運用を目指す投資信託のプットオプション(資産を特定の価格で売却する権利)を8億6600万ドル購入。ナスダック100に連動する運用を目指す投資信託のプットオプションも7億3900万ドル購入した。提出書類によると、バーリ氏はポートフォリオの9割以上を相場下落に賭けている。
ただ、今年のバーリ氏の投資判断は強気と弱気の間で揺れ動いているように見える。1月には、ツイッターで140万人のフォロワーに対し「売れ」との謎めいたメッセージを発信したものの、3月の終わりまでに前言を翻し、「売れと言ったのは間違いだった」と記した。
マイケル・バーリ氏率いるヘッジファンド運営会社サイオン・アセット・マネジメントは、中国のアリババグループとJDドットコム(京東)の全持ち分を4-6月(第2四半期)に売却した。
3月末時点でこれら中国大手ハイテク2社がサイオンのポートフォリオの20%を占め、保有上位2銘柄だったことを踏まえると、これは著しい方向転換だ。
14日の規制当局への届け出によると、サイオンは4-6月に15社の全持ち分を売却。その中には、JPモルガン・チェースに救済買収されたファースト・リパブリック・バンクや、バンク・オブ・カリフォルニアに買収されたパックウエスト・バンコープも含まれる。サイオンは1-3月(第1四半期)、一部銀行の経営破綻が金融セクターに打撃を与える中、複数の米地銀株を大量に取得していた。
サイオンの保有銘柄トップに浮上したのは、米エクスペディア・グループだ。同社は年央時点でエクスペディア株10万株(1090万ドル=約15億8600万円相当)を取得。サイオンは4-6月に大幅なポートフォリオ見直しを実施し、チャーター・コミュニケーションズやCVSヘルスなど25銘柄を新規取得した。サイオンの6月末時点の保有上位15銘柄は全て新規ポジションだった。
英ヘッジファンドのロコス・キャピタル・マネジメントはテクノロジー・セクター投資の一環として、上場投資信託(ETF)「インベスコQQQトラスト」(ティッカー:QQQ)の投資口を4-6月(第2四半期)に27億ドル(約3900億円)余り購入した。
マクロ経済関連投資を専門とするロコスは、同ETF750万口のプットオプション(売る権利)と190万口のコールオプション(買う権利)も購入した。
ロコスはまた、同四半期に「iシェアーズ・ラッセル2000ETF」の300万口のコールオプションと、貴金属のパフォーマンスを反映する「SPDRゴールド・シェア」のコールオプションを追加した。
さらに、アリババグループのコールオプション6億3000万ドル相当近くを取得。台湾積体電路製造(TSMC)の株も新たに取得し、6月末時点の時価は1億300万ドル相当。半導体メーカーのマイクロン・テクノロジーとアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の保有株も追加し、アマゾン・ドット・コム株の保有も増やした。
英ヘッジファンド運営会社オデイ・アセット・マネジメントで旗艦ヘッジファンドを運用するフレディ・ニーブ氏は、元上司で同社創業者のクリスピン・オデイ氏が建てたレバレッジ債券のポジションを解消した。ニーブ氏は退社を控え、リスクを削減した。
英ヘッジファンド運営会社オデイ・アセット・マネジメントは旗艦ヘッジファンドを運用するポートフォリオマネジャー、フレディ・ニーブ氏の転籍に向けランドシア・アセット・マネジメントと協議を進めている。オデイ・アセットは創業者クリスピン・オデイ氏の性的暴行疑惑を受けた立て直しの最終段階を迎えている。
11日の発表資料によると、オデイ・アセットは「オデイ・ヨーロピアン」と「OEI・MAC」のファンド再編案を受け、ランドシアがニーブ氏の運用する新ファンドの運用会社になる方向で協議中。この協議は規制当局の承認が条件となる。オデイ氏が以前、共同運用していたこの2本のファンドは、解約請求急増に伴い6月に運用が停止された。オデイ・ヨーロピアンの運用資産は6月末時点で7億8100万ドル(約1130億円)。
調査会社プレキンのデータによると、中国に特化したアクティブなヘッジファンドの数は少なくとも2012年以来初めて減少。また、今年新たにローンチされたファンドは6月時点で5本にとどまった。一方、清算されたファンドは18本だった。
ユーリカヘッジのデータによると、中国特化のヘッジファンド、特に銘柄選別するストックピッカーは、前例のない2年連続の損失に直面している。22年には中国ヘッジファンドの3分の2余りが損失を被ったほか、約36%のファンドが20%以上のマイナスリターンとなった。プレキンのデータによると、今年1-6月(上期)には中国ファンドの約62%が利益を上げることができなかった。
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