ウォーレン・バフェット氏率いる投資・保険会社の米バークシャー・ハサウェイが5日に4-6月(第2四半期)決算を発表する。物価上昇や保険事業の災害損失拡大、ディールの低迷が逆風になったとみられるが、金利上昇やアップル株の保有拡大が痛みを一部和らげそうだ。
マイケル・ゲーペン氏率いるBofAのエコノミストは2日の顧客向けリポートで「最近のデータから、2024年の米経済は穏やかなリセッションに陥る可能性が最も高いとの従来予想を見直すことになった」と説明。
「過去3四半期の米経済活動の成長率は平均2.3%で、失業率は史上最低水準に近く、賃金と物価の圧力は徐々にではあるが正しい方向に向かっている」と指摘した。
BofAのエコノミストらは今週、景気の先行きに対する楽観的な見方が強まる中で、ウォール街の大手銀行として初めてリセッション予測を公式に撤回した。
アックマン氏は2日遅く、金利上昇が株価に与える影響へのヘッジと「単独」の投資として、パーシングが30年物米国債をショートにしていると明らかにした。3日には、手元資金運用で期間短めのTBを活用しているとの説明を加え、バークシャー・ハサウェイのウォーレン・バフェット会長兼CEOに同調した。
JPモルガン・チェースのプライムブローカー部門の集計データによると、株式に対し強気と弱気の両方の投資を行うプロの運用者は先週、帳簿の両サイドのポジションを縮小した。ポジション調整を急ぐ動きはすさまじく、顧客の株式フロー総額は21年に個人投資家が拍車をかけたショートスクイーズ(踏み上げ)以来の高水準に達した。
モルガン・スタンレーのヘッジファンド顧客も、ペースは鈍いものの同じようなリスク縮小パターンを示した。先週の「デグロッシング」の動きは今年に入り最大だった。ゴールドマン・サックス・グループのファンド顧客も過去14回のセッションのうち12回でポジションを縮小した。
こうした後退の動きは、市場のセンチメントの変化を示しているかもしれない。年初はほぼ全ての人が守りの姿勢だったが、その後、重力に逆らうような上昇への対応を迫られた。昨年10月以降、月間騰落率が2カ月を除き全てプラスのS&P500種株価指数はこの間に28%上昇し、22年の下落分を全て取り戻すまであと約200ポイントに迫っている。
ジョン・シュリーゲル氏らJPモルガンのチームは「屈服ー決算集中週のさなかにデグロッシングが加速」と題するリポートで、「株高はロング派にとっては好材料かもしれないが、ヘッジファンドのショート派にとっては相当な試練だ。デグロッシングという形で幅広い降伏につながっているようだ」と論じた。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)などの研究者3人が「生成AIと企業価値」と題した論文で、対話型AI「ChatGPT(チャットGPT)」公開に伴う衝撃の大きさを数量化しようと試みた。それによると、興味深いことにAI浸透で人員削減の影響が最も及ぶとみられる企業が、市場全体を上回るパフォーマンスとなっていることが分かった。
AIが生産ツールとして定着するのに伴い、自動化がキャッシュフローや株式のバリュエーションに与える影響について、株式市場では包括的な検証が水面下で進んでいるというのだ。
今回の論文は表面上、ロボットに雇用を奪われる差し迫ったリスクを浮き彫りにしているかのようにみえる。だが、論文共同執筆者の1人であるUCLAのエコノミスト、グレガー・シューベルト氏は異なる仮説を立てている。大規模言語モデルが骨の折れる知的作業の一部を肩代わりしてくれれば、人間はAIができない仕事を完了するための時間を多く確保できる。そうなれば、企業の生産性は向上し、社員を維持し、AIをうまく使いこなす企業の株価は急騰するというものだ。
シューベルト氏はインタビューで、「企業の観点からすれば、生産性の向上がすべてだ」とし、「仕事が一段と速く片付けば、企業の生産性は向上し、企業にとって価値が生まれる」と指摘。生産性が向上すれば社員の数はそこまで大きな問題ではないとの見方を示した。
米投資会社ブラックストーンの元幹部、ギデオン・バーガー、ミン・トゥー両氏はヘッジファンドを始める。10億ドル(約1430億円)超の資金規模で、数カ月以内の取引スタートの予定だ。両者から説明を受けた複数の関係者が明らかにした。
米ブラックロックの元ディールメーカー、マシュー・シリアック氏が創業した投資会社フロリンツリー・アドバイザーズ(Florintree capital partners LLP)は、インドのドローン製造セクターへの投資を強化しつつある。同国最大のドローンメーカー、アイデアフォージ・テクノロジーへの先の投資は600%近いリターンとなっている。
米投資会社ブラックストーンが出資する太陽光発電企業、オランダのエスデックは、株主配当の原資とするための6億ユーロ (約940億円) をプライベートレンダーから調達する。
アポロ・グローバル・マネジメントとJPモルガン・チェース、PSPインベストメンツに加え、ブラックストーンのクレジット部門もダイレクト融資を提供する。非公表の取引だとして事情に詳しい関係者が匿名を条件に述べた。
エスデックの共同所有者であるブラックストーンとリビアン・キャピタルに支払われる配当金の正確な額は不明だが、格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは「かなりの」額だとしている。
米プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社アポロ・グローバル・マネジメントが発表した4-6月(第2四半期)決算は過去最高益を記録した。金利上昇と力強い資金流入が傘下の保険会社アテネ・ホールディングの収益を押し上げた。
調整後純利益は75%増の10億ドル(約1430億円)、1株当たり1.70ドルで、1株利益はブルームバーグが調査したアナリスト平均予想の1.65ドルを上回った。
アポロ・グローバル・マネジメントのチーフエコノミスト、トルステン・スロック氏は「主要なリスクは、日本国債の利回り上昇を受けて、米金融市場から日本の金融市場への大規模な資産再配分が起こることだ」と指摘した。
ブラックロック・インベストメント・インスティテュートは、年限が長めの国債保有に当たり、投資家が一段の見返りを求めるようになるとの見方を示す。その結果、高いレバレッジを効かせた為替取引からバリュエーションの高い株式に至る金利の影響を受けやすい市場の一角は打撃を受け、世界経済に波紋が広がる恐れがある。
みずほインターナショナルのグローバルマクロ戦略責任者、ピーター・チャットウェル氏は「日銀のYCC修正の影響は米国や欧州で行われている量的引き締め(QT)を助長する可能性がある」と述べた。
バンガード・アセット・マネジメントによれば、日本の10年国債利回りは0.7%に向かって秩序ある形で緩やかに上昇し、国外への影響の波及は抑えられるという。金利担当グローバル責任者、ロジャー・ハラム氏は日銀の微調整でも「世界的なタームプレミアムの流れを大きく変えるものではまだない」とコメントした。
日本国外の高利回り投資の資金を調達するため低い金利で何兆円も借り入れたキャリートレードが巻き戻される可能性もある。アポロのスロック氏は「キャリートレードの巻き戻しが始まれば、金利と通貨のボラティリティーが上昇し、リスク資産への投資意欲に多少圧力をかけることになる」と予想した。
シュローダーのシドニー在勤の運用者、ケリー・ウッド氏は、日本国債先物の弱気ポジションを拡大させた。日銀の発表後に「このポジションを追加した。利回りはさらに上昇し、日本国債のイールドカーブはスティープ化する余地があるとみている」と話した。
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのチーフ・インベストメント・オフィスで世界資産配分責任者を務めるアドリアン・チュルヒャー氏は、日本の政策変更が円高に賭ける絶好の機会を提供していると考える1人だ。
同氏はブルームバーグテレビジョンの番組で「円は素晴らしい取引だ。現時点で日本関連が最も有利な取引だと思う」と述べ、今後1年間の円の適正価値は1ドル=124円程度だと付け加えた。
アリアンツ・グローバル・インベスターズのマルチアセット・グローバル最高投資責任者(CIO)、グレゴール・ヒルト氏は、「米国、ユーロ圏、英国の国債カーブは、長期利回りの上昇圧力に直面する可能性がある。日本の投資家が多くを保有する市場、とりわけ米国とユーロ圏、特にフランスの国債は、フローパターンが変わるかもしれない」と述べた。
ヘッジファンド、ブルー・エッジ・アドバイザーズ(BLUE EDGE ADVISORS PTE LTD)のポートフォリオマネジャー、カルビン・ヨーも、28日の植田総裁のメッセージは意表を突き、多くの人が日銀の政策が市場にどのような影響を与えるかについて戦略練り直しを急いでいるため、ボラティリティーが上昇する公算が大きいと考えている。
ヘッジファンド運営会社サード・ポイントの旗艦ファンドの4-6月(第2四半期)運用成績はプラス1.1%と、幅広い米市場のリターンを下回った。S&P500種株価指数を押し上げた一部ハイテク大手に重点投資していなかったことが響いた。
ローブ氏は同書簡で、自身のチームは昨年10月の相場の底を正確に予想したものの、業績を伸ばしている質の高いテクノロジー銘柄ではなく、低迷しているバリュー株に投資してしまったと説明した。
アンドルー・タイラー氏らのチームは1日のリポートで、「さらなる経済成長と企業の収益改善に加え、利上げサイクル終了が視野に入っていることも株の支援材料となるはずだ」と指摘。「最高値更新は必至であり、時間の問題とみられる」とした。
同氏はリポートで「今日のデータは、現在が政策主導の後期サイクル上昇相場であることを示唆している」と指摘。19年は連邦準備制度が金利据え置きの後に利下げをし、年末にかけてバランスシートを拡大させた。
ウィルソン氏は「19年との比較そのものが、ひとりでに指数レベルでの一段の上昇を示唆する」とした上で、米連邦準備制度が19年の7月には既に利下げをしていたことや、現在のバリュエーションが当時のピークを上回る水準に既に近づいているなどの違いも挙げた。
ブルームバーグ・セカンド・メジャーによれば、米消費者による国内主要航空会社からの直接購入は4-6月(第2四半期)に総じて減少。約2年ぶりに落ち込んだ。ただし、これは一般的なクレジットおよびデビットカードを利用した直接購入に基づく購入データで、旅行予約サイトでの購入や法人販売は除いていることから、全体像を描いているとは言えない。
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