「ドクター・ドゥーム(破滅論者)」の異名を取るルービニ氏は25日、ブルームバーグテレビジョンの番組で、「深刻なリセッションと深刻な債務・金融危機にわれわれが直面しようとする多くの理由が存在する。これが短く浅いものになるという見解は全くの妄想だ」と語った。「スタグフレーションを誘発する負の複合的な供給ショックに加え、借入比率も歴史的高水準にある。これまでのリセッションは過去2回のように大規模な金融緩和と財政拡大があったが、今回は金融政策の引き締めでリセッションに突入しようとしており、財政出動の余裕もない」「スタグフレーションと深刻な債務危機が同時に発生し、70年代やGFC(世界的金融危機)後より悪くなる恐れがある」と予測した。
IMFチーフエコノミストのピエールオリビエ・グランシャ氏は、「見通しは4月以降、著しく暗くなった。世界は近く、世界的リセッションの瀬戸際に立たされるかもしれない。前回の不況からわずか2年しか経過していない」とブログ投稿でコメントした。消費者物価が予想より速いペースで上昇を続ける中、IMFは食品・エネルギー価格の上昇や長引く需給不均衡を踏まえ、物価高が今年さらに加速すると予想。今年の世界インフレ率を8.3%と、1996年以来の高水準を予測し、4月時点の7.4%予想から上方修正した。
修正後の見通しへのリスクは「圧倒的に下振れ方向だ」とし、欧州向けロシア産ガス輸入の「突然の停止」やインフレの長期化、中国での不動産危機のエスカレートなどの可能性を懸念要因に挙げた。
IMFはさらに、政策当局者の最優先事項は金融引き締めを通じたインフレ抑制だとし、それによる「実際の経済へのコストは避けられないが、先送りすれば増幅させるだけだ」と論じた。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長がリセッション(景気後退)指標として強調した短期フォワードスプレッドが警鐘を鳴らしている。3カ月物米財務省短期証券(TB)の現在の利回りと18カ月後のインプライドフォワードレートの差は7月に入り約95ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)縮小した。月間の縮小幅として、データのある1996年以降で最大となる。リセッション懸念から資金が長期債に流入し、米国債のさまざまなイールドカーブはここ数週間に逆転した。
2年物米国債利回りは5年債を07年以降で最も大きく上回り、10年債との逆イールドは2000年以降で最大。パウエル議長は3月に、短期フォワードスプレッドの方がリセッション指標として重要だとし、このスプレッドは拡大していると指摘していた。しかし発言のすぐ後にスプレッドはピークとなり、現在は急低下中で来月のある時点でマイナスになってもおかしくない。
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