債券利回りから派生する今後10年の物価上昇期待が低下し、企業業績や価値に比べて割安なバリュー株のブームの流れが反転し、工業用原材料商品のスーパーサイクル(超長期サイクル)の勢いも弱まりつつある。プリンシパル・グローバル・インベスターズのチーフグローバルストラテジスト、シーマ・シャー氏は「米国のインフレはピーク到達に近づきつつあるようだ。消費者はモノからサービスにシフトし、全体の需要は鈍化し、コア消費財の物価圧力もよりデフレ気味になりつつある」と指摘した。ウェルズ・ファーゴの株式戦略責任者クリストファー・ハーベイ氏は、長く続けてきたバリュー株選好の方針を転換した。「景気が減速しつつある状況にあり、より長期のインフレ期待も和らぎつつあるようだ。われわれは一定の成果を挙げた後、約2週間前にシクリカル(景気循環)陣営を離れた」
あらゆる弱気な動きは最終的には、逆張り派が持続的な回復と見なす状況の土台となる可能性がある。だが現状では、いかなる反発もベアマーケットラリー(弱気相場の一時的な株高)に過ぎないという不安増大を反映している。米金融当局はインフレ抑制に向けここ数十年で最も積極的な引き締めサイクルにコミットしている。CIBCプライベート・ウェルス・マネジメントのデービッド・ドナベディアン最高投資責任者(CIO)はインタビューで、「押し目買いは金融当局が緩和と市場への流動性供給を進めている局面では良い戦略だ」とした上で、「当局が引き締めモードにある際には、相場上昇時に売るのがより良い取引戦略だ。今回の弱気相場が底入れしたとは思わない」と語った。
ウッド氏は28日にCNBCで、「インフレがこれほど持続的であったという点で、われわれは間違っていた」と発言。「サプライチェーンの問題が2年以上も続いていることは信じがたい。ロシアのウクライナ侵攻は、当然予測できなかった。インフレは考えていた以上に大きな問題となっている。だが、今やデフレの舞台が整っているとも考えている」と続けた。
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